【流通講座】


04−02 卸 売 業 界       

last updatedFriday,March 07, 2008 
ブログ・「ビジュアル 流通の基本」:日経文庫−2月15日 4版発行

1 日本型流通システムと問屋の位置づけ

 アメリカは,新天地に急速に工業化社会ができたことから,問屋機能(中間流通)は未整備でした。大規模小売業が登場してきたときに,必然的にゼロから流通システムをつくっていかなければなりませんでした。
 対して,日本では,米国や主要先進国に比べて早い段階で,生産者,問屋,小売業という,タテ型の比の流通機構ができあがっていました。日本の流通は,問屋という存在なしに語ることはできません。
 江戸時代は,呉服や米などの生活物資は,大阪など中央都市の問屋→消費地の問屋→小売商人という,商品流通の通のしくみが成り立っていました。その伝統は現在までずっと残っています。 こうした歴史的背景のもとでの日本の卸売業の特徴は,@中小の卸売業が非常に多いことです。1999年の商業統計によると,従業員数1〜20人の卸商店数37万9千店で卸商店数の9割を占めます。A業種型流通と呼ばれるメーカー,卸売業,小売業というタテの流れの中で,薬卸,酒卸,米卸といったように,限定された分野のみを扱う業種卸が多いことです。これは,商品群ごとに全部違った流通が形成されてきた歴史の背景があります。

 

2 流通の現状

 日本の流通に大きな影響力を持つ総合スーパーの問屋に対する考え方は,二極化しています。
・問屋中抜き―――流通外資,イオン対生配販同盟
 トイザらス,カルフールといった日本進出の流通外資,イオンは,基本的には,メーカーとの直取引,問屋中抜きによる流通コストの低減を目ざしています。対して,ヨーカ堂,セブン-イレブンは,当面は問屋中抜きではなく,優れた経営資源を持つ既存の問屋に,ヨーカ堂やセブン−イレブンに合うやり方での取引を求めています。すなわち対立より,協働を図るというものです。
 事実,
規模の小さい産地メーカーが直接,全国的に商品を流通させることは,現実的には不可能です。また消費者の商品に対する要望やイメージについて,正しい情報を得ることは容易ではありません。
 

3 問屋経営のあり方−−時代対応戦略

 少子高齢化時代の到来,経済の縮小期という経営環境を踏まえて,卸売業の時代対応の経営を考えます。いま,流通再編の時代にあって,メーカーが生産する商品を小売業に押しつけるだけという古い問屋体質から脱皮し,流通全体に目配りする卸へと発展していくことがこれからの卸売業に求められるところです。
 そのためには,流通の中継点にあって,メーカーや小売店が抱えている問題に取り組む協働の経営体制づくりととその実践が,卸の存在領域の確保に有効な策です。
 例えば国税庁がまとめた,「酒類産業の現状と今後のあり方」のなかで,酒類卸しの今後のあり方について,次のように提言しています。酒類卸売業界では,卸マージンの低下など収益構造の変化が大きく、機能性の低下が問題である。その打開策としては,専門家による研修・提言,リーディングケース・サクセスストーリーの提供などが必要としています。
 以上のような現状認識を踏まえて,卸売業経営のあり方を以下に示します。

●生・配・販の協働―――信用・物流・情報力の強化−−書き込み中

 日本最大の食品卸・菱食の廣田正会長は,「20世紀は製造技術の革新の時代だった。しかし,21世紀は提供技術の革新の時代だ」と語っています。この言葉通り,提供技術の革新が,問屋経営にも求められます。
 問屋は小売店,メーカーと連携し,小売店頭の商品の販売情報の共有化,卸売業は情報の流れの結節点にあって,売れ残り(造りすぎ)と欠品(品不足)の低減にむけての情報加工・提供機能,さらに物流機能の発揮といった提供技術の革新が基盤強化の道でもあります。  

@小売店頭の商品の販売情報の共有化−−書き込み中
 小売店頭での情報共有化に関連しては,「小売業の仕入れ代理機能を強める」

 例えば,青果では,売り手である生産者や集荷をする農協(共販)に対し,消費者ニーズや他産地情報,市況、新製品情報などをタイムリーに提供していくこと。それには,今何が売れるのか,どういう食べ方をすればよいか,など有用な情報を収集し分析し,提供できることが卸売業者の生残る条件になるでしょう。
 買い手であるスーパー等の要請に対応した多機能化を進める必要もあります。倉庫や配送センターが,スーパー等との取引が拡大することに伴って,卸売業者自らが輸送までを手がける必要性が強まっています。


Aマネジメント力の強化
 「小売店とメーカーとの情報の共有化」の実現には,マネジメント力の強化が必要不可欠です。現実的な具体策は,@顧客情報の整備(データベース化),Aデータマイニング,B「顧客情報の整備(データベース化)」,「データマイニング」のための社員の能力開発への取り組みの3点があげられます。

B合併,経営統合による経営規模の拡大
 卸の規模のメリットとしては主に次の点が上げられます。まとめて配送することによる物流の効率化や,メーカーとの仕入れ条件の交渉力の優位性の確立です。それに加え、小売りでの販売実績を基にメーカーが計画的に生産するなど,メーカー,卸,小売りの「製配販」の総合的な効率化ができる効果も期待できます。

米国の問屋機能の実態―――ブローカーの役割

 米国では,無数のローカルグローサリーストアが群雄割拠していた時代がありました。当時地域に根づき,多くの小売業と密接な商取引を行うブローカーは,“メーカーが必要とする効率的な営業活動を代行する”という,非常に大きな価値を持つ存在でした。こうした経緯のもとで,“生産”と“販売”の成長に合わせて,ブローカーは確実に進化を遂げてきました。
 アメリカのブローカー業界は90年代には,単なる仲介業者から,メーカーの営業とマーケティング活動を店頭起点でサポートするエージェンシーへと変貌を遂げました。食品小売業界で1990年代に進んだ上位集中化の影響を受けて,ブローカー業界も大きく変化し,現在はメガブローカー3社(アドバンテージ・セールス&マーケティング,アコスタ・セールス&マーケティング ,クロスマーク)と,専門性に特化したスペシャリティブローカーに二極化しています。業界1位のアドバンテージ社の売上高は年間6億ドル超(1ドル110円換算だと660億円)です。

●メーカーの販売機能を代行 − CROSSMARK

 CROSSMARKは,業界3位の大手ブローカーである。1万人以上の従業員を擁し,カナダ,オーストラリア,ニュージーランドなど,海外展開も積極的に進めている。特にデータマネジメントの強化が著しく,人的サービスとあいまって,いまや製販双方にとって不可欠な存在となっています。

●メーカーの店頭活動を代行する−Mosaic InfoForce

 全米をカバーするサードパーティ・マーチャンダイジング企業大手の一つ,従業員数は,8000人超。サードパーティ・マーチャンダイジングは時間当たりの料金体系で店頭支援サービスのみに特化する。ブローカーでは埋めきれない店頭サービスの提供で差別化をはかり,1990年代に入り急成長しました。


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