社会福祉法人ホミニス会ホミニス学園平成13年度事業報告書(ホミニスだより添付版)

はじめに

 平成13年度は、これまでの流れ、すなわち苦情解決、リスクマネジメントの充実等を踏襲しながらも、利用者支援の内容を大幅に充実させた期間であった。特にホミニス学園独自の学習指導のスタイルが、概ねではあるが形作られたことは、正にこれまでの試行錯誤のエネルギーが一気に爆発したと言うべき出来事であった。
 本報告書に、平成13年度における特記すべき事項および添付する職員会議議事録(注1)に補足が必要な部分に関して記す。

(1)本年度事業計画書における重点実施事項

 (イ)リスクマネジメント及び苦情解決を通じた利用者との関係性の構築

 リスクマネジメントに関しては、利用者の現状、及び起こるべき事故、それらを可能なかぎり客観的に分析し、具体的な対策に結び付けた。特にヒヤリハット報告からの事例を慎重に分析し、事故や対策の曖昧化を避けた。また、施設において実施する支援内容を保護者に具体的に伝えると同時に、施設において負いきれない部分に関して、保護者への支援の依頼も同時に行った。
 徐々に顕著となる利用者の身体機能の低下と、それによるリスクも無視できない。これについては、外部からのコンサルテーションを受け実務に反映させた。
 苦情に関しては、利用者からの苦情あるいは要望を出来るだけ文書化し、リスクマネジメント同様に曖昧化を避けつつ、具体的な対応に繋げた。保護者からの苦情は殆ど無かった。(苦情解決に関しては別紙活動報告参照)
 上記の様に利用者及び保護者に対して、情報の公開、具体的な支援の充実、支援の明確化等に取り組んだものの、結果的には本年度内に4名の退園者があり、また保護者との連絡も活性することなく、1年が過ぎた。退園をどのように受け止めるかは個々のケースにより異り、また安易な解釈は避けるべきだが、共通することとして「全く話合いがないまま突然退園する」という事実である。
 現在の取り組みの妥当性の是非は未だ確認できる段階ではないが、少なくとも、当事者との連絡の活性化は今後も目指すべきものであることは間違いないだろう。それを前提の上に、今後も、当事者との関係性のあり方、連絡の具体的な方法を検討していきたい。

 (ロ)職員研修の充実及び、施設理念の利用者への還元

 職員研修の充実については、その体制(極力指導職の職務を減らし、十分な相談体制を整えた)を準備したのではあるが、その活用には至らなかった。利用者処遇場面を管理するために必須となる事項の習得を目指したが、ホミニス学園の処遇場面のレベルが向上するに従い指導員への要求も高くならざるを得ない。このことにより、現在は処遇場面の殆どを学園長が運営している。また、職員が学ぶべきことがらとは何かを模索するなかで、現時点では利用者に提供する学習プログラムと殆ど差異はないとの見解に至っている。つまり、現在は、利用者との授業場面への参加も、職員研修の一環となっている。
 今後も、理念を更に深め、それを極力直接援助職員に伝えることにより利用者への支援の担保を図りたい。

(2)その他の特記すべき事項

 (イ)学習指導の充実

 ホミニス学園では何のために何を学ぶのか。また具体的な方法は如何にあるべきか。自らに問い続けたこれらの事柄を、学習指導場面の形成に凝縮し、ホミニス学園独自の学習指導の大枠が出来上がった。また、それに伴い、「学習教科書」「音楽と生活の関係」などの資料を作成した。年度末に個別処遇記録を作成するにあたり、多くの有効性を確認した。

 (ロ)個人情報の取扱

 ケース記録及び保護者との連絡帳のあり方を検討し、従来の連絡帳を廃止し、指導記録「今日の勉強」を配布する方式に変更した。主旨は以下の通りである。
1 紛失の際の被害を最低限にするため、1日分の情報交換とする。
2 ケース記録と指導記録の内容を極力一致させ、当事者の知らない情報を極力文書化しない。
3 写真を使用し、指導内容を感覚的に理解出来るようにする。
4 保護者のサインを求めることで、一日単位での承諾を得る。
 保護者からも、概ね好意的な感想が寄せられている。

終わりに

 重点実施事項については、本年度に十分な結果が得られなかったこと、また恒久的なテーマでもあることから、そのまま平成14年度に引き継ぐこととした。また、今年度に行った、学事の充実への取り組みは既に過渡期を過ぎたと実感しているが、今後も更に理念を深め、利用者が充実した学びの実感を受け止められるような実施およびそれに向けた研究を心掛けたい。

以上


注1
 このホミニスだより添付版には、職員会議議事録は添付されていません。御覧になりたい方はお申し出下さい。


平成13年度苦情解決委員会活動記録

平成14年3月作成
作成者 苦情解決責任者 小堀俊二

苦情受け付けの概要

 利用者及び保護者から申し出のあった苦情は軽微なものに限られ、受け付けあるいは解決に至るプロセスの報告や説明は、既にホミニスだよりにて行われた。第三者委員との面接あるいは、個別の面談や報告書の作成にいたるものはなかった。その内容を分類すると以下のようになった。

1 生活環境に関するもの
 静かに食事を摂りたい
 私物の紛失
 給食を食べる場所
 トイレが臭い
 車イスが通りにくい
 放送で川の流れる環境音声を流してほしい 等々

2 訓練プログラムに関するもの
 運動をさせて欲しい
 服を汚さないでほしい
 紙ちぎりの作業で埃にむせる
 利用者中心授業において何をしたらよいかわからない
 指導がつまらない
 雨なのに無理に遠足に行かないでほしい 等々

3 生活支援の方法に関するもの
 送迎時の危険回避のため身体拘束を望む
 利用者の暴力が怖い
 利用者同士の関りの中での怪我
、服の汚損
 着衣の支援をして欲しい 等々

4 人権に関連するもの
 園長による大声の叱責を止めて欲しい
 利用者の暴力が怖い 等々

学園の取り組み

 多くの利用者が通常の言語での訴えが不可能であること、本人の権利に対する自覚が不足する場合もあり、極力本人からの声を代弁し、また権利を擁護する視点から受け入れを行った。また保護者から申し立てがあることは稀であったが、その際に、口約束や馴れ合い的な関係で処理することを避け、透明性、妥当性の確保に努めた。
 具体的な対応に関しては、事故に繋がったり人権を脅かす事柄については「ヒヤリハット報告」およびその会議によりその週のうちに具体的な対応に繋げることを心掛けた。また、保護者への報告、謝罪、また学園の支援の容量を超過しているケースについては、保護者に支援を依頼するなどして、改善を目指した。

今後の課題

 上記の取り組みを行ったが、幾つかの課題を残している。先ず、保護者からは苦情の申し立てが極めて少ないと共に、苦情がないまま退園をするケースが4例あったこと。これは原因の分析はともかく、本委員会の機能を問う視点からは、反省を迫られるものである。逆にいうならば苦情そのものだけを捉える限界性に直面したと言える。また、幾つかの苦情は重大な人権侵害や事故の可能性を持つにも関らず、根本的な解決策がない。これらは、今後施設の管理責任がより明確に問われる時代をひかえて、大きな課題である。従来から指摘されている保護者と施設の関係性は、殆ど改善されることなく1年が過ぎた。何故施設に通うのか、本人は何を望み、保護者は何を望んでいるのか、施設で提供すべきものは何か。これらをより明確化という視点から、今後も継続して施設だよりなどで問い続けることが必要だろう。

以上



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