社会福祉法人ホミニス会ホミニス学園2002年度事業報告書(暫定)(インターネット版)

はじめに

 2002年度の特色は、先ず指導場面における方法論の充実が挙げられる。これは昨年度の学習指導で実施された手法が、音楽演奏、工芸などの創作活動へ範囲を広げ、学事全体に広まったものである。また、リスクマネジメントの充実、職員研修のあり方に関する洞察も一層深まる年度となった。
 本報告書に、平成14年度における特記すべき事項および添付する職員会議議事録に補足が必要な部分に関して記す。(このインターネット版では職員会議議事録は添付されていません。)

(1)本年度事業計画書における重点実施事項

 (イ)リスクマネジメント及び苦情解決を通じた利用者との関係性の構築

 リスクマネジメント及び苦情解決について、従来通り書面による報告、会議、対応の具体化、施設便りにおける公開の方法を踏襲した。今年度は、これまで解決不可能であると思われた利用者同士の暴力について中心的な研究テーマ*1として扱い、その具体的な対応方法の方向性の確認の段階まで辿り着いた。その方向性とは「利用者の最低限のグループ分け」と「グループリーダーを担当出来る職員の育成」であり、現在追い求めている職員研修とリスクマネジメントが統合される結果となった。それが一朝一夕に実現できるものではないが、その気付きだけを以てしても、利用者間の暴力およびそれに関する苦情は激減した。

 (ロ)職員研修の充実と援助場面への反映

 これまで通り、週に1回の研究発表会を中心とした職場内研修を行った。職場外研修は、有効と思われる研修が少なかったこと、職員数が定数割れしているための現場への影響等の理由により、消極的な取り組みとなった。  また、それぞれの職員について、可能な範囲において現場における実地研修を導入した。これまでの「必要な学びをしてそれを利用者へ還元する」方法から、「利用者と共に自ら学ぶ」方法への転換を目指しているところである。「利用者へのサービスの質を保証できる管理体制」が大前提にあることは言うまでも無い。

(2)その他の特記すべき事項

 (イ)指導方法の充実

 学習、音楽、創作活動など全ての科目において共通する方法論として、「共同表出*2」「集合個人*3」を導入した。多くの利点が確認され、これらの概念は学事運営の土台となっている。

終わりに

 重点実施事項について、リスクマネジメント及び苦情解決に関しては、方向性が定まったことにより概ね目標を達成したと言える。今後、職員研修を継続して扱い、新たな方向性における「利用者、職員の共なる学びの場」の創造に励みたい。

*1 施設における利用者同士の暴力に関する研究
 利用者同士の暴力について、そうならざるを得ないストレスに対して、施設は無関心過ぎたという反省が中心となる。集団に対して特に心理的にストレスを加えるような行動に対して、施設の特性上仕方がない、笑ってやり過ごせば問題ない、利用者は寛容である等の考え方が誤りであることを認め、職員がより積極的に介入することにより、その後の暴力を防ごうという取り組みである。この研究により「自由に過ごす権利」と「集団に属するには責任が伴う」という「車の両輪」の概念を援助者の立場から具現化したと言える。

*2 共同表出
 例えば絵画などにおいて、筆を持つ指導者の腕に学習者が手を乗せ、お互いの力の入れ方、息づかい、感情を感じながら、共同の表現を行う方法。文字、絵画、楽器演奏、工作など、あらゆる場面に応用が可能である。その反面、本人独自の自由な表現は望みにくいので、目的を絞った活用が必要とされる。

*3 集合個人
 グループワークを形成するときに、それぞれのメンバーが同時に活動するのではなく、指導者と1対1の個別の指導場面の連続として集団を形成する。全ての利用者が参加し易い、個々の能力に応じた指導が可能であるなどの特性があるが、最大のメリットは、指導者と学習者の人数比率(一人の指導者で多くの学習者に対応出来る)にある。

以上




2002年度苦情解決委員会活動報告


2003年3月作成

作成者 苦情解決責任者 小堀俊二

苦情受け付けの概要

 利用者及び保護者から申し出のあった苦情は軽微なものに限られ、受け付けあるいは解決に至るプロセスの報告や説明は、既にホミニスだよりにて行われた。第三者委員との面接あるいは、個別の面談や報告書の作成にいたるものはなかった。その内容を分類すると以下のようになった。

1 生活支援に関するもの
 食事の量を変えて欲しい
 トイレの室温が不適切、清掃が足りない
 トイレでの支援が足りない 等々

2 生活環境に関するもの
 部屋が暑い、寒い
 照明が切れている 等々

3 人権に関するもの
 利用者の暴力が恐い
 ロッカーを荒らされた 等々

4 利用者同士への介入(保護者より)
 金品のやり取りを止めさせてほしい 等々

学園の取り組み

 大変重要でありながらも解決策の見出せなかった、大声、大暴れ、集団活動を阻害する行動を、改めて「暴力」として利用者の痛みの視点から受け止め直した。その管理方法に関して、本年度の中心的研究テーマとして扱い、その対応の向上に努めた。

今後の課題

 保護者との関係性に関連して、本年度も苦情がないまま1名が退園した。もはや保護者との関係性の是正には、苦情解決は機能しないと理解することが妥当だろう。無論、保護者からの苦情も透明性の中で解決に導く手続きは従来通り行うが、保護者の「表立っては言えない」の言葉が象徴するように、苦情解決は明確な限界を持っているという認識に至った。
 むしろ現時点では、在籍する利用者に、「快適な施設の利用」という狭義の中の機能を追い求めていくことが妥当であると判断する。
 利用者からの苦情は、件数の大多数を食事と排せつに関わるものが占めた。生活の基盤に関わるこれらを大切に受け止め、今後の支援向上に努めたい。



以上



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