弱さを肯定する生き方  ホミニス学園 学園長 小堀俊二

(社会福祉法人ホミニス会発行 あゆみの跡 第30号 '03年11月1日発行より)

 ホミニス学園では5タラントの会というボランティアグループを運営しています。ホミニス学園自体は社会福祉法に定められた所謂法内施設であるが故に、多くの補助金を受け取ることが出来ますが、その反面、運営内容について大変厳しい枠が設けられています。その為、切迫したニードがありながら法内施設としてその充足が認められないものについて、ボランティアグループによる活動としてカバーしていこうと考えたのがこの会の始まりです。
 5タラントという名前は聖書に出て来るイエス・キリストによる例え話からとりました。ある人が旅に出る時に3人の使用人に5タラント、2タラント、1タラントの財産(タラントは聖書の時代のお金の単位)を預けます。初めの2人はそれぞれ預ったお金を元手にして増やしていましたが、1タラントを預った使用人は失敗を恐れて土に埋めておきました。そして主人は旅から戻ると1タラントを預けた使用人を厳しく叱りました。
 私達は多くの能力を神から授かっています。ある人は計算に優れ、ある人は芸術、また学問、スポーツとそれぞれの才能があります。それを失敗を恐れずに社会の中で活用していくことは、とても大切です。それと同時に、私達はそれぞれが弱さをも持ち合わせています。身体的、心理的、また社会的即ち他者との関係性において弱者になっている人もいるでしょう。この私達の弱さもタラントの大切な要素だと思います。そして社会を形成する時に、強さを競い合うのではなく、弱さを皆で担いあう、そしてそのことにおいて個々の強さが発揮されるという集団形成が求められていると思います。弱さを土に埋めてしまって隠してはならないのです。この思いを込めて会の名前を付けました。
 具体的活動は社会福祉に関連した勉強会を月に1度、既にお話した施設で法的に負うことの出来ない支援(殆どは夜間の利用者の預かり)などを行っています。幸いにも職員や何名かの保護者、地域住民に想いを共にしてくれる人に恵まれ、現在5年目の活動を向かえています。
 そして、言わば5タラントの会が先導する形で、ホミニス学園の学事にもキリスト教に基づくプログラムが加えら始めました。登園時と帰宅前の祈祷、週に1度のホームルームでの聖書のメッセージなどです。一人ひとりが神によるかけがえのない大切な存在であり、弱さをも誇り、互いに支え、時に赦しあうことを、そして、その日一緒に勉強できなかった級友、病床にある人達、世界の飢餓難民、不景気のあおりで住む家を失った人達の為に祈ります。
 弱さを否定し強さを求め、競争に打ち勝つことを目指すことは、表面的には肯定的に見えるかもしれません。しかしこの裏側には「負けてはならない」「失敗してはならない」と多くの束縛があります。私達は弱さを認め、互いの才能を支えあう事に用いる道を選びました。その道のりの中から他者への祈りが生まれます。これは自分へのこだわりからの解放でもあります。この恵みに満ちた歩みを続けて参りたく願います。

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