ホミニス便り2002年6月号


 施設を利用する人たちが自分で利用する施設を選ぶ為には、当然の事ながらその施設がどんな施設かを知らなければなりません。そうしないと選ぶに選べません。
 私達はその為にホミニスだよりをインターネットで公開することにしました。既に当事者の方々には承諾を得ていますが、気になる点がありましたら、何時でもお申し出下さい。写真がカラーできれいですよ。

「故郷に帰ろう」 学園長 小堀俊二
 先日、昔の音楽仲間から電子メールがきました。彼はまだ現役で活動しており、「神奈川でやるときは声をかけるよ」と言ってくれました。私は率直に喜びながらも「楽器は弾いていない。もう現役には一生戻れないだろう」と返事をしました。
 ホミニス学園では「音楽的な生活」に強く拘っています。互いに聴きあうこと、自然な変化に富んでいること、偶然性を大切にすること、等々。人と人が一緒に生活する時に、音楽の特性を意識することがとても大切だと思うからです。
 その考えを土台に、利用者との学習場面を考え続けてきました。文字、図形、数等の認知能力中心のもの。色、音、運動などの感覚的な物。単独で行うものとグループで気持ちを繋げて行うもの。そして、それが実生活の行動能力を向上させるものと、そうで無いもの。正に暗中模索の中でひたすら追い求めました。
 そうこうしている内に、私は今まで気づきながらも自分自身で見てみぬふりをしていたことにいよいよ直面せざるを得なくなりました。余りに沢山の方法論があります。切りが無いのです。と同時に、余りに無我夢中で理想の形を追いかけたので、時として疲れ果てました。そして胸に抱くのは「いつか止ってしまったら、利用者と学ぶことが出来なくなってしまう」という、かなり確率の高い予感です。
 私はその恐怖にも似た感情を抑えながら、新たなステップを捜しました。良い学習を求めるのは当然だが、それは決まった形にあるのではなく、新鮮な雰囲気、指導者と学習者の豊かな関係性、そしてその日一日分の創造力に価値があるのではないか、という仮説にたどり着きました。音楽同様に日々の学びは止ったらお終いで、それと同時に、最善を尽くしても自分の思うようにはなるはずはないのです。
 私は漸く音楽家の魂を蘇らせる気になり始めました。その瞬間の音を活き活きと創造し続けること。これこそが、最も音楽的であることの条件だと、やっと思い出したからです。

〜〜リレーエッセイ〜〜 「葛藤5」 主任指導員 吉永暁子
 援助者として成長の過程にいる私としては、『自分の耳を塞がずに、打ちのめされる』必要があると前回お話をしたと思います。
 ただ今、打ちのめされています。最近利用者から自己犠牲そして、愛と言うものを見せられました。その時の私は、「それは、駄目だ」と真っ向から否定しました。自己犠牲や愛を私は、否定したのです。
 しかし、私はどれだけ惨い事を行ったかを今でも十分に理解していないと思います。それだけ、私が他者への無関心さを浮き彫りにしているのだと思います。
 こんな、酷い先生でも彼等やホミニスに通ってくる全ての方々は、ありの儘の私を受け入れてくれています。愛情深い人々に、私は感謝の気持ちと申し訳なさがあります。きっと、これが援助者として一番今私に求められている事だと思います。まだまだ、打ちのめされる必要があります。人生とは学びの道です。

質問コーナー
Q 利用者にどう接したら良いか分からない。(見学者Aさん)
A ずばりコミュニケーションに関する事柄ですね。ホミニス学園では、「聴くこと」をその中核として考えています。どう声かけするかよりも、先ず相手の声を「聴く」ことが大切です。

「誰も乗り遅れないヘリコプター」 
 完成しました。天井に吊るした後、「飛んでる」と思わず声が出ました。誰も乗り遅れないシリーズの第二弾で、この課題の素晴らしい所は、誰でもが参加できることと、とても安全であるということです。これまでの紙工芸、農園芸、木工、などに比べると、ダンボールと絵の具の組み合わせはたとえ口に入れてもそれ程の大事にはなりませんし、材料に困ることもありません。  また、利用者の方達には絵の具による着色を行ってもらっていますが、ここではホミニスオリジナルの「一筆書き」という方法が用いられています。これは職員が筆に絵の具を付け、それを利用者が使い、絵の具が筆からなくなったら次の人に交代という方法です。これにより順番という秩序、グループ活動による関係性などが体験出来るのです。
「共鳴」 
 利用者の小堀さんが、金曜日のグループワークで絵画のプログラムに参加している場面です。この時は何も気付かなかったのですが、週が明けて保護者の方から、週末に今までに無い程沢山の絵画を描いたと連絡を受けました。学園の授業が本人の心に響いたのでしょう。心して日々の授業を運営したいと思います。

〜〜苦情大歓迎〜〜
 ホミニス学園を利用していて、納得が行かなかったり、直接言いにくい要望があるときは、第三者委員または下記機関までご連絡下さい。
 今年度の第三者委員は、下記の通り、戸塚教会の尾毛牧師です。

・第三者委員
  日本キリスト教団戸塚教会
  尾毛佳靖子牧師 (045-881-3416)(受け付け、及び苦情報告受理)

・福祉サービス運営適正化委員会(045-317-2200)

・権利擁護センター「アシスト」(045-312-1121)


〜〜今月の苦情〜〜
保護者の方から以下の苦情を戴きました。
*帰りの送迎の時間が早すぎる。
 現在、帰りの会が2時30分から大体45分に行われ、バスの出発は3時前後となります。その為、市役所には早いときで3時20分位に到着します。しかし、4時位までは市役所でバスで待機することは可能であり、そのことを申し立てた保護者に説明し、承諾を得ました。
 早く学園を出発する理由は幾つかありますが、大きく分けて3つの理由があります。1つ目は事故(他害など)を防ぐことです。2つ目は交通渋滞です。学園から市役所までは混雑の具合によっては1時間弱かかることもあるからです。そして3つ目は、利用者がバスに確実に乗ってくれる確証が無いことです。1名の利用者を数十分待ち、結局間に合わず別の車で送迎ということも度々あります。その様なことから、早めに出発することになってしまうのです。


変化しなければならないのはどちらか
〜〜5タラントの会報告〜〜 小堀俊二
 4月27日の勉強会では、障害と社会の関係をテーマに3つの資料と聖書を用いて発表を行いました。1つ目の資料は当日の新聞記事です。それには第二時大戦中に障害児や問題児とされた子供達がナチスの収容所で殺され、その遺体が漸く埋葬されたというものです。2つ目の資料は、今年の3月半ばの新聞記事で、自閉症の治療は幼児期が肝心で、それにも関わらず児童精神科医が足りない。そして、その現状は特別な才能を持っている障害者のケースでは、本人にとっても社会にとっても損失である、と主張しています。1つ目のナチスによる優生思想、2つ目の社会の利益を目的とした治療主義。本質的には同じではないでしょうか。社会の都合が基準になっているからです。
 3つ目の資料は、キリスト教会による「心苦しむ人と教会」という勉強会の報告書です。ここには、心を病んだ方の心境を綴った文章や、教会が歩むべき姿が問われています。そして、障害者の心理状況、社会的な立場、そして教会はどのように受け入れるべきかが簡潔に記されています。  ここでは、障害を持った方が抱く、ある種の心理的重圧、孤独感、自分に対する低い評価などの感情と共に、周囲の人が行うべき配慮として、当事者が集団へ所属している感覚や、自分が必要とされている実感を持てるようにしようと訴えられています。そして、これらは障害の有無には関係なく対人関係あるいは集団形成の為に至極当然な事として気付かされるのです。その上でこの3番目の資料は痛烈に教会を批判します。つまり、教会は良い信徒を育てようとはしてきたが、全ての人を受け入れる事、全ての人に合わせて教会自体が変化してきたか、と問い直しているのです。私達は、教会を社会あるいはホミニス学園と読み直しました。
 そしてその根拠となる聖書の言葉として「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」という箇所が引用されています。これは世の終末に神が裁きを行うときの例え話しです。ここで私達は新たな問いを与えられます。それは「最も小さな者」とは誰のことなのか、安易に障害を負った方と当てはめて良いのか、という事です。私達は手がかりとして、「愛の反対語は無関心である」というマザーテレサの言葉を用いました。無関心の結果、叫びが封じ込められている人、叫んでいるにも関わらず誰にもそれが届かない人。この愛のもっとも反対側にある人が、最も小さな者であり、最も小さくさせられている人なのではないでしょうか。
 私達は障害と社会の関係を問いながら、むしろ誰でも人と人は互いに叫びを聴き合い、互いが尊重されるべき事を学びました。そして、問われるべきなのは、叫んでいる人の声を聞こえない振りをしてきた社会の側であるという、社会福祉に取り組む大前提を指し示されたのです。

 次回は5月25日です。報告は竹田朝子指導員が担当します。勉強会と共に職員との懇談、交流の時を持ちましょう。また、今まで通り、宿泊や、休日の利用者預かり等がありましたら、気軽に連絡して下さい。福祉相談も大歓迎です。勿論、全て無料です。


6月の予定
  3日 体重測定
 12日 防災訓練
 13日 バス旅行
 27日 誕生会

7月の予定
  1日 体重測定
 10日 防災訓練
 11日 バーベキュー大会

 11日のバーベキュー大会は、まだ内容が定まっていません。ホームルームを中心に話しあいますが、保護者の方からの意見も大歓迎です。お気軽にお寄せ下さい。


6月の歌 賛美歌24番

父の神よ夜は去りて

新たなる朝となりぬ

我らは今御前にいでて

御名を崇む

 日々許され、新しい朝を迎えられることを感謝し、神様の光に照らされて歩みたいと思います。


5タラントの会より
 5タラントの会(旧ボランティアグループ)では、5月25日に勉強会を行います。今回の発表は竹田朝子指導員(聖書)と小堀学園長(沖縄についての報道)です。どなたでも参加できます。また、職員との懇談の時も持ちましょう。
 場所:ホミニス学園
 時間:10時から12時
 持ち物:特にありません。
学園祭のお知らせ
 5月18日(土曜日)は学園祭です。今年度の学園祭は公開授業が中心になります。
*プログラムは以下の通りです。
 10時00分:開会式
 10時30分:学習指導
 11時20分:音楽指導
 12時40分:閉会式

*送迎時間(帰りのみ)が変更になりますのでご注意下さい。

 学園出発(13時) 鶴ケ台(13時20分)
 市役所(13時40分)

*20日は代休になります。ご注意下さい。
編集後記
 いよいよ学園祭です。これまでの飾り付けや作品の展示に追われていたのが嘘のようです。今年は公開授業のみですので、いよいよ中身が問われるという緊張と同時に、目的が一点に絞られた安心感があります。(小堀)


発行:社会福祉法人ホミニス会ホミニス学園
電話 0467-53-2980 ファックス 0467-52-4160

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