ホミニス便り2002年8月号



「ホミニス学習指導要領」 学園長 小堀俊二
 長年(というかここ数年ですが)の目標であった、学習指導要領が暫定版ではありますが、ついに完成しました。書き上げた時は正に飛び上がるほどの解放感でした。既にインターネットでも公開されています。
 ネット上に記録していた2002年1月から6月までの授業内容を、分類したり、無意識で行っていたことの意味の再確認などを行い作成しました。今回はその内容についてお話しします。
 最初のポイントは、この文書が施設の理念からではなく、実践の蓄積から生まれたものということです。したがって、本来私達が目指していた内容とは多少のずれが生じています。その反面、少なくとも場面が成立した事実からのデータですので、再現性は非常に高くなっています。
 文書の構成は、「指導場面のおおまかな土台」、つまり音楽なのか、黒板に何かを書くのか、などが示され、次に、「何を指導するのか」です。直線的な表現、変化、対比、数、等が並び、その後、「学習の形態」や決まり事と続きます。
 私がこの文書で最も強調したかったことは、「完ぺきな授業などは無い」ということです。この文書を元に授業を組み立て、ほんの僅かで良いので、日々変化していくことが、とても大切であり、ほんの僅かで良いが故に、「指導は難しくはない」ということなのです。もしも指導者が心理的に抑圧されてしまったら、利用者の前に立つことは困難になります。
 安全で、誰も乗り遅れなくて、障害の有無に関係なくて、面白く、最も価値がある。そしてもう一つ、経費がめちゃくちゃ安い。良いことずくめの学習指導は、恐らく今後、スポットを浴びてくるでしょう。
 と、あれこれ偉そうな事を書きましたが、肝心のその文書のサイズは印刷したらA4で僅か1枚です。既にネットでも公開されていますので、是非御覧になって感想や質問をお寄せください。「ホミニス学園」で検索すれば、直ぐに見つかります。

〜〜リレーエッセイ〜〜
葛藤6 主任指導員 吉永暁子
 私の無関心さは恥ずかしながら継続しています。それに加え、最近新たに気付いたことがあります。それは、『無知』ということです。
 ホミニスに来て、生きる上で、他者との共存がいかなることかという事を日々見せつけられ、学び追い求めています。そして、他者への無関心と共にいかに独り善がりで生活をし、周囲の人々への無関心と何も知らない無知な自分がいます。
 言葉がありません。この視野を世界に向けるとどうでしょうか。さらに、無知なことが後から後から沸き起こっています。
 無知はとても恥ずかしい事だと思いますが、今までその自分の無知に気付かなかった事を思えば少し前進したでしょうか。無関心と無知な私。ここを出発点に、多くの事を学んでいきたいです。

〜〜リスクマネジメント研究 1〜〜
暴力って何?1
 利用者同士の暴力はホミニスでのリスクマネジメントのとても大きな割合を占めます。それをより積極的に防ぐには、どうしたら良いのか。それが現在取り組んでいるテーマの一つです。事例を取り上げながら、対応方法を振り返ったり、原因を探ったりする中で、ある事に気付きました。それは、そもそも暴力とは何なのかを定義付けしないと、話しが進まないのです。
 私達が既に暴力として認識している行動は、殴る、噛みつく、髪の毛を引っ張る等、身体的なものが中心です。しかし、その引きがねになっているものは、繰り返される大きな物音、自分の行動を邪魔されるような行動、著しく反社会的な行動などです。これらは心理的な抑圧を加害者に与えています。
 ここまでで、少なくとも身体的にも精神的にも暴力は成り立つということが確認されました。これから数回に分けてこのテーマで書いていきます。(続く)


〜~出張報告〜〜 
7月8日〜12日
 救急法セミナー:竹田指導員
7月15日
 県立茅ヶ崎養護学校進路連絡協議会:竹田指導員
7月2日、23日
 利用者通院付き添い:吉永主任指導員

質問コーナー 
今回はホミニスに就職の面接に来られた方からの質問です。
Q ホミニス学園に就職するにはキリスト教信者にならなければなりませんか?(見学者cさん)
A ホミニス学園に就職することに伴い、キリスト教信仰について一切の強制はありません。但し、現在、ホミニス学園はキリスト教に強く傾倒しており、今後その度合いは更に強くなるかもしれません。宗教的な強制は一切ないにしても、賛美歌や聖書の話しなどが生活の随所に出てくることは、ご理解下さい。
 着任にあたっては、大変沢山の勉強が必要とされることと、利用者の問題行動などからも、心身共に非常に厳しい職場であることをご承知の上、申し込んで下さい。


やっぱり外は気持ち良い
 6月21日に江ノ島のヨットハーバーに行きました。驚いたことは、利用者の表情が全然違うことです。ホントに全然違うのです。学習指導にむきになって取り組み、随分出不精になっていたと思います。やはり、バランス感覚も大切だなと、思い直しました。

今月の苦情 
保護者の方から以下の苦情を戴きました。
*利用者とボランティアの間の、金品のやり取りについて、職員の介入を望む。
 ここ数カ月、解決を見ないままの苦情でありますが、プライバシーの配慮から、この苦情については非公開とします。


〜〜苦情大歓迎〜〜
 ホミニス学園を利用していて、納得が行かなかったり、直接言いにくい要望があるときは、第三者委員または下記機関までご連絡下さい。
 今年度の第三者委員は、下記の通り、戸塚教会の尾毛牧師です。

・第三者委員
  日本キリスト教団戸塚教会
  尾毛佳靖子牧師 (045-881-3416)(受け付け、及び苦情報告受理)

・福祉サービス運営適正化委員会(045-317-2200)

・権利擁護センター「アシスト」(045-312-1121)


〜〜〜5タラントの会報告〜〜〜
愛と無関心主任指導員 吉永暁子
 愛と無関心について、考えました。マザ−・テレサは、次のように話しています。「愛の反対は憎しみではありません。愛の反対にあるものは無関心なのです。」では、「愛とは」何なのか、「無関心とは」何なのかと言うことを得に「無関心」を中心に据えて「マザ−・テレサ あふれる愛」の本を引用して考えました。
 「無関心」とは・・・
 人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない、自分はこの世に不必要な人間なのだと思い込むことだ。そしてまた、現世の最大の悪は、そういう人に対する愛が足りないことだ。
 「愛」とは・・・
 親切で慈しみ深くありなさい
 あなたに出会った人が誰でも
 前よりもっと気持ちよく
 明るくなって帰るようになさい
 親切さがあなたの表情に
 まなざしに、ほほえみに
 温かく声をかけることばにあらわれるように
 子どもにも貧しい人にも
 苦しんでいる孤独な人すべてに
 いつでも喜びにあふれた笑顔をむけなさい
 世話をするだけでなく
 あなたの心をあたえなさい
 上記のように自分自身が愛に溢れ、無関心と向き合えたらと思いますが、なかなか思うように行かず難しい・・・と思ってしまいます。この愛と無関心に付き合って行くにはどうしたら良いのかいうことを考えてました。
 「祈る事、神の声を聴く事」だとマザ−・テレサは話しています。そして、神が愛すように人を愛し、あわれみや見下しではなく、親切な愛を与える事だと。それを実行するべく、発表の中で祈りの言葉と歌を参加して下さった皆さんの愛に触れて行い、発表を終えました。
 今回の発表を通し、今の私に出来ることを考えました。祈る事と神の声を聴こうとする事を行いたいと思います。

施設におけるリスクマネジメントとデブリーフィング(障害施設での事故報道を元に) 学園長 小堀俊二

 今回の発表は、ホミニス学園と同じ通所施設で起きた事故の報道と、過酷な体験をした人の心理的支援についてです。
 報道の内容は、職員に付き添われて散歩をしている最中に、近隣の幼児を陸橋の下に投げ落とし重症を負わせた、というものです。その事故をきっかけに、障害についての学びや加害者と被害者双方の対話が地域ぐるみで行われ始めたとのことですが、私はこの記事から2つの視点を持ちました。
 1つは、散歩をする必要が本当にあったのだろうかというものです。問題行動の見積もり違い、直接援助に関る職員は反対していても何らかの圧力により散歩を行わざるを得なかった、又は、事故を予測はしていても対策を考えなかった、等の原因が考えられます。ホミニス学園も例外ではなく、積極的に事故の予防に取り組み始めたのはつい最近の事です。現場がマンネリして思考力を失っていた時代もありますし、管理職と現場が意志の疎通が無かった時もあります。
 もう一つの私の関心事は、担当していた職員の心理的なフォローです。この事故の様な規模ではなくても、援助に関る施設職員は日々神経をすり減らし、小さな傷が癒されない内に次の傷が出来て、気が付くと回復不能な程になっていることは珍しくありません。日々事故すれすれ、驚異的な環境の悪さ、身体的精神的に痛めつけられながら、援助者は責務感から傷を癒すどころか時に自分を責め立てます。その受けた傷を内側にため込まないで「吐き出す」ことがとても大切で、被災者支援の分野では、これをデブリーフィングと呼んでいます。
 施設の管理者として、従来の常識に捕らわれない大胆且つ明確なリスクマネジメントと、受けてしまった傷を吐き出し受け止めあう関係性。この二つを大切に育みたいと思います。
 なお、報道記事中の施設に対して批判的な表現となりましたが、これらは私個人の推測の域を出るものではありません。発表の性質により避けることが出来なかったことをお断わりしお詫び致します。


8月の予定
1日 体重測定
9日 1学期終業式
10〜18日 夏休み
19日 2学期始業式
21日 防災訓練
28日 誕生会

9月の予定
2日 体重測定
19日 バス旅行(詳細未定)
11日 防災訓練
26日 誕生会
(未定)歯科講習会

 夏休み中など利用者の預かりが必要なときは、お気軽にご連絡下さい。「5タラントの会」で対応します。また福祉相談なども無料で行っています。



8月の歌 賛美歌495番

イエスよ、この身を 行かせたまえ

愛の滴る 十字架さして

我は誇らん ただ十字架を

天つ憩いに 入るときまで



編集後記
 やっと学習指導要領が完成しました。感無量です。大きなハードルを越えたと実感しています。これからも、学園で取り組んだことの、その価値観、実践を、出来るだけ文書に残したいと思います。(小堀)


発行:社会福祉法人ホミニス会ホミニス学園
電話 0467-53-2980 ファックス 0467-52-4160

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