ホミニス便り2002年11月号



「ホミニスの新しい流れ」 学園長 小堀俊二

 学習指導や創作活動の基本的な考え方、即ち「聖書的であること」「芸術的であること」などは変わりようのない王道ですが、実施にあたっての具体的方法論には、その時期その時期での流れがあります。また組織も生き物であるので重要視するポイントも多少の流動性はあります。今月はホミニス学園の学事における最近の流れを紹介します。
 大きな二つの流れのうちの1つは「集合個人」という集団形成の方法です。これはグループ活動ではあるのですが、一度に全員が活動するのではなく言わば個人授業が連続している状態のことです。全ての人に指導が行き渡りますが、その時間は人数分の一ということになります。これは一見非常に効率が悪いように見えますが、それぞれの個性に合わせ易い、高度な対応が可能、グループからこぼれる可能性が低い等のメリットを持ちます。
 もう一つの方法は「共同表出」と私が呼んでいる方法です。書道の分野でいう手取法と一見同じで、筆を学習者と指導者が一緒に持ち、あるいは身体的に接触を持ち支援しながら、お互いの力、息遣いを感じつつ、一つの動作をすることを示します。この方法も高度な表現が可能になる、独力で出来る必要がない、身体接触による心理的効果など、多くのメリットを持ちます。
 これらの二つが組合わさることで、従来にない創作活動が可能となりました。リスクマネージメントを理由に多くの作業を切り捨ててきましたが、この流れの中で再び行われる課題も出てくると予感しています。

「県福祉部による監査報告」

 10月16日に県福祉部による監査が行われました。法人、施設共、指摘事項はありませんでした。詳しくお聞きになりたい方は、気軽にお問い合わせ下さい。

〜〜リレーエッセイ〜〜
傾聴 生活指導員 竹田朝子

 今現在、ロ−ルプレイを通してカウンセリングを学んでいます。そこで人の話を聴くという事はどういう事なのだろう?と考えさせられました。
 そして、自分は人の話を聴いている様で本当は聴いていなかった事に気付きました。確かに相手の「話す言葉」は聴いているのだろうけど、心では聴けていなかったのです。
 その上、相手にとても失礼な話ですが、話を聴いていると中盤辺りから集中力がなくなってくるのです。頭がボーッとしてきて頭の整理が付かない状態になってきます。無駄に肩の力が入ってしまい変に緊張もしてしまいます。
 真摯な気持ちで「聴く」ことは本当に難しいと思いました。しかし、クライエントが抱える、話すことすらいたたまれない思いに耳を傾け、その感情を分かち合うような気持ちで「傾聴」ができたら援助者として、人間としての大きな糧になるのだなと実感します。

〜〜リスクマネジメント研究 4〜〜
グループ活動の限界性

 前回図式化した[暴力の要因==加害者==被害者]のそれぞれのポイントに対して、それを未然に防いだり、あるいは事故後のフォローなどのアプローチがあります。その中から、今回特に注目している暴力の要因として作用する集団に対する暴力(大声、大暴れなどにより集団の機能を止めてしまう)について、考えて見たいと思います。
 大声や大暴れ等は彼らの持つ障害からある程度は仕方がないと同時に、ホミニス学園に通所することで余計にそれが大きくなっていることが殆どです。何故なら、学園内は大抵の場合騒がしく、心理的に不安定になりやすいからです。学園の外で落ち着いていた利用者が建物に入った途端に大暴れということは日常的に見られています。
 その部分にアプローチするならば、本人への療育的手法、暴力に繋がりにくい環境設定、また混乱した本人に対する心理的支援などの方法がありますが、これらは、絶望的といえるほど無力です。特に、現時点での暴力を防ぐことを目指すなら尚更です。(続く)


脱力の達人。

質問コーナー 

Q なぜホミニス学園では作業をしないのですか?(見学者fさん)

A 絵画、陶芸、段ボールの工作等、生産性の伴う作業はかなり取り組まれています。質問者がその場面を見ながらもそれを作業と認識できなかったのは、その指導の形態によるのでしょう。
 現在私たちは「集合個人」と呼ばれる、個人指導の連続(学習者が順番に入れ替わる)の方法で指導方法を用いています。多くのメリットを持つこの方法ですが、ぱっと見には殆どの人は何もしていないように映ります。事実何もしていません。それは何故かというと、1そもそも生産性に重きを置いていない、2指導者が一人しかいない、3利用者の作業能力からするならば現状で丁度良い、等の理由があげられます。
 ただし、現在ネットで公開されている音楽、段ボールのオブジェ等を見て、生産性がないかどうか判断するのは、人それぞれの主観に依存する事柄ではあります。
 また、質問の行間からにじむ「何故させないのですか」という意味に対しては、ここでは論じないこととします。




ホームルーム

 ホミニス学園では利用者中心の話し合いの場として「ホームルーム」というプログラムを毎週金曜日の午後に行っています。
 学園での楽しいことや嫌なことの話し合い、想い出話、そして勿論音楽。週の最後をゆったりとした雰囲気で過ごしています。

今月の苦情 

利用者の方から以下の要望を戴きました。
*水を飲みたい。

 利用者の方の様子を見て、のどの渇き、体調面からの配慮の必要に気を付けて、対応することを説明し、承諾して戴きました。

 補足説明
 ホミニス学園の水道は一般の水道水ではなく井戸水です。敷地内にある井戸から組み上げられ浄化および塩素が混ぜられています。しかし、その水は飲料水としての基準を満たしません。水道に関る問題行動を防ぐ為もあり、施設内の蛇口はトイレを除いて手で回せないようになっています。

〜〜苦情大歓迎〜〜

 ホミニス学園を利用していて、納得が行かなかったり、直接言いにくい要望があるときは、第三者委員または下記機関までご連絡下さい。

・第三者委員
  日本キリスト教団戸塚教会
  尾毛佳靖子牧師 (045-881-3416)(受け付け、及び苦情報告受理)

・福祉サービス運営適正化委員会(045-317-2200)

・権利擁護センター「アシスト」(045-312-1121)


〜〜〜5タラントの会報告〜〜〜

社会的な痛みとは 生活指導員 竹田朝子

 今回の発表は「人間が感じる4種類の痛み」にスポットを当てて意見を交換し合いました。人の感じる痛みは1.身体的な痛み2.精神的な痛み3.社会的な痛み4.霊的な痛みに大別されます。人間はこれらの痛みを持つのと同時に、言い換えるならば身体的な存在、精神的な存在、社会的な存在、霊的な存在という風にも捉える事が出来るのでは、という意見がありました。
 私は人間の存在を心理的あるいは身体的には意識していましたが、それ以外のものは馴染みがありませんでした。人間の存在を社会的に見直し、その痛みを考えると、集団に属せない痛み、逆に属する故の痛みが思い浮かびました。孤独や疎外感、関りの中での痛み等です。
 更には、社会に属することは責任を伴うことであり、その責任を果たせない事に痛みが伴うとの助言を受けました。これは、例えば、自らが死を迎える時に、まだ自分の会社の跡継ぎがいない時などに「死ぬに死ねない」程の痛みを覚えるというものです。つまり死ぬより辛い痛みなのです。
 私は自らの生活の中で、「責任を果たせないことの痛み」を意識したことはありませんでした。いわば無痛症の状態です。特に園生の方々の生活を支援するという大切な役割を与えられながらも、その責任の重さについてはそれ程考えることもなくここまで来てしまいました。
 神様から与えられた今の環境そして責任を無力な私がどこまで果たすことが出来るかは分かりませんが、せめて、自らの責務を果たせないことの痛みを感じられるような人に、変えられていきたいと祈ります。そして、その道のりを利用者の方々に感謝しつつ、一歩一歩大切に歩んで行きたいと思います。



音楽と生活の関係  学園長 小堀俊二

 今回の発表は、私が書きました「音楽と生活の関係」という資料を元に、その名が示す通り、生活や支援のあり方と音楽の特性を照らし合わせながら、学びました。
 私は20年程の音楽演奏者としての経験、またその中のレッスンプロとしての経験から、音楽演奏、特に即興演奏をするスキルと、対人援助との関係がとても似ていることの気付きました。例えば、美しい音楽は大抵変化に富んでいたり、音楽の価値は数値化出来ないなどがあります。その中から幾つかを紹介します。
 先ず、良い演奏者は必ず、非常に良い耳を持っています。共演者の音を敏感に察知することは合奏には欠かすことが出来ないからです。これは対人援助にぴったりと当てはまります。相手が何を言っているのか、何を叫んでいるのかを聴くことができない援助者は、原理的に援助が成立しません。多くの場合、独り善がりになったり、押し付けがましくなったり、自己満足になったり等々、ロクな援助にはなりません。
 次に、ハプニングを肯定的に受け止める必要があげられます。演奏中のハプニングを積極的に活用するならば、弾き間違いすら音楽を彩る大切な要素になります。日々の生活場面でも同様で、利用者との生活は毎日ハプニングの連続です。そのため、グループリーダーには高い柔軟性、授業のアイディアのストック、瞬時の判断力が求められます。それがなければ、同じ集団を形成することは不可能だからです。
 最後に、どんなに努力しても自らの力では及ばない部分があること、つまり、自らの無力さを認めることの重要性があります。どんなにしっかりと準備された授業でも、前述のようなハプニングは予想がつきませんし、究極的に言うならば、自分の表現が相手にどう伝わるかは、音楽にしろ対人援助にしろ、自分には分からないからです。無力を認めないと大概はバランスを崩したり、力づくになったりします。
 今回紹介した以外にも、音楽と生活や援助の特性はとても似ています。それらを今後も深めていこうと思います。
 また、今回扱った資料は、ネットで公開されています。興味がある方は是非ご覧になって下さい。


5タラントの会

 キリスト教主義の勉強会、懇談会を毎月最終土曜日に行っています。場所はホミニス学園、時間は10時からです。どなたでも参加できますのでお気軽にどうぞ。


11月の予定

1日 体重測定
7日 お楽しみ会
13日 防災訓練
28日 誕生会

12月の予定

2日 体重測定
11日 防災訓練、歯科検診
19日 クリスマス会
25日 2学期終業式(半日)
26日〜1月8日 冬休み
1月9日 3学期始業式

*冬休みに利用者の預かりが必要な時など、気軽に御相談下さい。5タラントの会で対応致します。



11月の歌 賛美歌377番

時代は来たりて また過ぎ去れども

み神の国こそ ときわにさかゆれ

えればれし民よ おおしくたたかえ

み神はかならず その国をたまわん





編集後記

 ホミニスは、利用者の問題行動に対して寛容過ぎました。その問題行動の被害にあっている利用者の声をないがしろにしてきました。そのことを真摯に振り返り、方向を新たに定めたいと思います。(小堀)


発行:社会福祉法人ホミニス会ホミニス学園
電話 0467-53-2980 ファックス 0467-52-4160

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