ホミニス便り2004年10月号



誰も乗り遅れない授業 学園長 小堀俊二

 授業で何が行われているのか全く分からないままその場にいなければならない苦痛。いわゆる落ちこぼれだった僕はこの実感を今でもはっきりと覚えています。これは脳ではなく身体全体に染み込むものです。その場にいながら集団と隔離されている不思議な状態は、言い様のない不安感と共に存在を否定された孤独感を生みます。私は二度とそれを味わいたくありません。だからホミニス学園では「誰も乗り遅れない」ことが鉄の掟です。先月まで、事故を防ぐために必然的に大きな集団で学習や音楽を行うことについてお話ししてきましたが、今月は、誰もが疎外感を味わうことのない「利用者中心授業」について考えていきたいと思います。
 言わばホミニス流授業の方法論の中心は、「主導権が利用者にある」ことです。朝の会での、さあ、今日は何の勉強をしようか、の質問から授業はスタートします。そして、利用者の提示した課題を元に、その場にいる一人ひとりにスポットを当てます。また、利用者のちょっとした言動を授業の流れを変化させるきっかけとして活かしていきます。その結果、一見すると毎日同じような黒板に絵を書くだけの授業ですが、実は毎回が新鮮な空気を保っているのです。更に参加するしないも利用者の決定に委ねられます。勿論、途中参加退席も自由です。利用者の生活が利用者の管理下にあることがとても大切だからです。
 これらを集約して言い換えるならば「利用者の声を良く聴く」ことと、「それに応えていく」こととなります。利用者が何を望んでいるのかを慎重に聴き一人ひとりの声にならない声までにも耳を澄ませ、そしてそれに応答していくこと。つまり、カウンセリングの技法と殆ど同じなのです。
 このような考え方を通じて、利用者が中心にいることの意味を考えさせられます。それは利用者が中心になって何かをするのではなく、私達の関心の対象が一人ひとりの利用者に注がれている、ということではないでしょうか。何かができるから集団に所属可能なのではなく、そもそも一人ひとりが神から生を受けたかけがえのない存在だからです。


コミュニケーションとは 吉永主任指導員

 最近、グループを客観的に見て、そして、学習者としての体験を通して、コミュニケーションとは、いかに相手を周囲を気遣う意識が大切かを考えさせられました。
 コミュニケーションを取る時、周囲の者への意識と交流をどれだけ考えているでしょうか。私は、よく一方通行になっています。
 しかし、利用者の方が望んでいるのは、言葉を超えた交流です。もちろん、会話を楽しんではいますが、全ての方がそうではないと言う事を忘れてはいけません。これを自分が体験しハッとさせられました。楽しさから乗り遅れた者は、こんなにも置いて行かれるわびしさを感じるのかと。
 私は、利用者の方の大きな胸を借りて学んでいますが、謙虚さの乏しさを感じます。私に、学べることの有難さと謙虚さをそして他者を気遣う心を授けて欲しいです。


~~5タラントの会報告(8月28日)~~
「人間尊重の心理学」から学んだこと   発表者 生活指導員 竹田朝子

今回の発表はc.ロジャースの「人間尊重の心理学」から学んだことを発表させて頂きました。ロジャースはその中で「一致」という言葉を用いています。セラピストがクライエントと関わる時に、セラピスト自身の内側で抱いている感情と、実際に言葉などによって表出されるものが違ってはいけない、透明な自己をクライエントに示すという事です。
 偽りのない、真実な自己を相手に伝えるという事は本当に難しいことだと私自身感じています。そこには、弱い自分を見られたくない、正直な自分の気持ちでなく、相手が期待するようなことを言いたいなどといった思いがあります。
 その反面、利用者の方々を見ると、本当に率直であり、偽りがないなと感じさせられます。利用者の方が素の自分を見せてくれた瞬間、なんとも言えない清々しさを感じます。
 今回はその事に気付けたことに嬉しさを感じました。自分の心の奥深い所での声に耳を傾け、それを他者に伝えるという事は、私の今後の課題です。


~~5タラントの会報告 2~~
キリスト者の自由/ルター 解説:徳善義和牧師 発表者:小堀俊二

 信仰は、神と人間の間に物々交換が行われることです。イエス・キリストの汚れない輝きと、私達の罪、苦しみ、悲しみ、が交換されます。私達とキリストは一体となり、私達の内面にキリストが住んで下さいます。
 そしてそうであるならば、私達は、今生きる社会において、困窮している人との物々交換を促されているのではないでしょうか。しかし、これは人間の思いからではなく、神の働きかけによるものなのです。
 神からの働きかけに委ねきる信仰を持ち続けたいと祈り願います。

*この発表は、キリスト教放送FEBCのラジオ番組を発表者がレポートにまとめる形で行われています。

-------------------------------------------------

 キリスト教主義のボランティアグループ、5タラントの会では、毎週土曜日に、勉強会、懇談会、音楽教室、その他の活動を行っています。

〜〜今月の苦情&ヒヤリハット〜〜

*怪我の対応
 女性の利用者が怪我をした際、服をめくるような状態で患部の確認および消毒が行われました。このような場合、プライバシーを保護するために更衣室などに移動して行うことが必要ですが、他の利用者がいる作業室で対応されました。その場で学園長が指示を出し更衣室に移動しました。怪我およびその後の対応の不備について、本人及び保護者に謝罪しました。

苦情解決委員会責任者 小堀俊二


*施設を利用していて疑問に思うこと、要望などお気軽にお話し下さい。また、苦情、要望など、直接申し出難い場合は、以下の窓口を御利用下さい。
・第三者委員
  日本キリスト教団戸塚教会
  尾毛佳靖子牧師 (045-881-3416)
・福祉サービス運営適正化委員会 (045-317-2200)
・権利擁護センター「アシスト」 (045-312-1121)


お知らせ

 現在ホミニス会は年間1千万円の赤字を出しており、この状況が続けば数年後の破産は確実です。その理由は利用者の大幅な定員割れにあり、更にそれは、関係機関が施設利用者のあっせん調整を全く行わないこと、利用者本人の意思を確認しないまま退園させてしまうことによります。これは、利用者の「自己選択権」を踏みにじる行為と言わざるを得ません。
 このような現状について、今年6月11日に、神奈川県庁において、神奈川県知事宛に小堀憲助理事長より、「施設経営救済の願書」が提出されました。県はこの訴えを受け、既にホミニス学園や幾つかの関係機関と話し合いを行い、また、口頭ではありますが、県に責任があることも認めています。
 法内施設として厚生省から認可を受け、全国からの寄付金に支えられながら、純粋に利用者の利益を追い求てきたホミニス学園が閉鎖する正当な理由は全くありません。
 今後も話し合いは続くと思われますが、私達からの主張は「自己選択権の保証」の一点です。また、施設閉鎖の可能性も現実的に見えておりますので、その意味からも、是非、保護者の方々にも関心を持っていただきたく、お願いいたします。


焼成を待つ器達





俊二先生のヒゲは伊勢エビ
脇重男くんのヒゲは甘エビ
おなかに卵 入っている
城ケ島 岬
          荒木賢一郎


10月の予定

6日 防災訓練
12日〜15日 授業参観
25日 内科検診(高橋医院にて)
28日 誕生会

 授業参観は、1日に数名までにしたいと思いますので、早めに希望日をお申し出下さい。内容はいつも通りの気楽な授業です。給食も希望される方はお申し出下さい。


11月の予定

10日 1日防災訓練
11日 お楽しみ会(内容未定)
25日 祈祷会


10月の歌 賛美歌第二編195番

キリストにはかえられません
世の宝も、また富も
このお方がわたしに
代わって死んだゆえです。
世の楽しみよ、去れ
世のほまれよ、行け
キリストにはかえられません
世のなにものも。


*ホミニス学園では、見学、ボランティア、福祉相談など、いつでも受け付けています。お気軽に御相談下さい。

編集後記

 先日、電子メールで福祉相談を受け付けました。利用されている施設改善を望む声を聞かせて頂き、我が身のこととして身が引き締まる思いがしました。(小堀)


発行:社会福祉法人ホミニス会ホミニス学園
電話 0467-53-2980 ファックス 0467-52-4160

ホミニス学園のページへ

誰も乗り遅れないバス のページへ