ホミニス便り2005年5月号



音を楽しむ 学園長 小堀俊二

 ある日ラジオを聴いておりますと、次のようなエピソードが紹介されていました。障害を持つ小学生のAちゃんは、あるテレビの音楽番組が大好きです。番組に見入って拍手をすることもあります。その様子を見たお母さんはとても喜びました。それは、Aちゃんが、その曜日と時間をちゃんと分かって、テレビの前で待ち、番組が終わるまでの40分間座っていられることが嬉しかったからです。
 私はここまで聞いて、地面に叩き付けられる思いがしました。Aちゃんが受ける痛みが私の身体に直に伝わってきました。Aちゃんは純粋にその番組を楽しんでいるのに、横にいるお母さんはそれに共感せず、本人の能力的側面を喜んでいるからです。「どうせ分かりはしない」というAちゃんの声が、私にははっきり聴こえました。そして、「大丈夫、僕には聴こえている」とラジオの、そのまた向こうにエールを送ったのでした。
 私は不思議に思います。どうしてこうも能力主義が蔓延るのでしょう。何故何かができる事がそんなに尊ばれるのでしょう。もっと不思議に思うのは、何の為の能力かは不明確なことです。目的なく、やたらと能力を競い合うのは、少し離れて冷静に見てみれば滑稽なことです。ただ、Aちゃんからしてみれば、滑稽では済まされません。
 何も出来なくたって構いません。もっと大切なことがあるはずです。人にとって本当の幸せは何なのでしょうか。私は施設に勤務していると、そのヒントが利用者さんが示している気がしてなりません。他者と自分を愛すること、しっかりと相手の話を聴く事、無闇にとやかく言わないこと、楽しむこと。この様なシンプルな生き方は、儲け主義に目が眩んだ人達に対する道しるべだと思います。
 私は音楽が「音を楽しむ」と書くことがとても気に入っています。その反面、私もこの単純なことを忘れがちなのも事実です。綺麗に仕上げたくなったり人目が気になったりするからです。  私の中にも生産主義が、まだ燻っているのでしょう。



創造的な生活と・・・主任指導員  吉永暁子

 先日学園の始業式で、創造的な生活をして行きたいとスピーチをさせて頂きました。
スピーチでは、人種の垣根を越えて互いが知り合うだけでは駄目である事、知り合いそして、認め合いながらどの様な生活を共にして行くかを創造する事が大切であるというキング牧師の言葉を引用させて貰いました。
 その日から、数週間が過ぎ学園生活を振り返ると、いかに言葉通りの生活が隣人の為であるかと考えさせられます。利用者の方、自分自身が楽しむ事、そしてそれを見守ってくれている神を思い浮かべ、創造的な生活を、と日々学園生活に身を置いています。
 しかし、その生活を素直な心で受け容れられていない事も同時に痛感させられています。正直に申しますと、受け容れ難い生活が大半を占めていると思います。それこそが私の歩むべき道のりである事を解ってはいますが、直視する事はそんなに単純な事ではありません。
 自分の姿を認める事が第一歩だと助言を頂いています。私が今年度の生活で学び得る事が何なのかまだ解りませんが、辛さと共に希望をそして、創造的な生活と人生を育む糧が出来たらと思います。


〜〜5タラントの会報告(3/26)〜〜
「人間尊重の心理学」を読んで 発題者 竹田朝子

 今回はc.ロジャース著の「人間尊重の心理学」より、ある一人の女性についての孤独について書かれた章を読んで感じたことを発表させて頂きました。
 その女性は内面的な葛藤、心に耐え難い痛みを抱えていたにも関わらず、専門家達は「対象者」としか見ずに、また一人の人間として彼女と向き合おうとしなかったとの事です。周囲に複数の専門家が存在し、何らかのアプローチはされたけれども彼女は孤独であった。
 これを読み、彼女のみに関わらず自分自身も含めて、誰でも自分の訴えを聞いてくれない「孤独」に陥る時はあるのでは?と感じずにはいられませんでした。
 その様な孤独はなるべくなら味わいたくないと思います。しかし自分が経験したその様な痛みは時間が経てば隣にいる痛みを負っている方々との関わりで役立つ時が来るのではとのご意見を頂きました。例えその時はつらくともその経験が決して無駄にはならないこと、それは容易な事ではありませんが与えられたものと信じて歩んでいけたらと思います。


~~ 5タラントの会報告 2~~
2004年度5タラントの会活動報告 小堀俊二

 5タラントの会は、キリスト教を土台としたボランティアグループで、ホミニス学園の活動の制度の枠を超えた部分をカバーする、また共に学ぶ場として活動しています。
 04年度は、社会福祉に関する勉強と、休日の利用者預かりなどの活動を行いました。勉強会は宗教改革者マルチンルターや、カウンセリングの父であるカールロジャース、マザーテレサ等の本や、施設における個人情報の扱い、施設の研究テーマであったリーダー論などを扱いました。休日、夜間の預かりは概ね60回で、ホミニス学園、又はボランティアの自宅にて行いました。
 今後も、勉強とその実践という言わば車の両輪の活動を続けていきたいと思います。ご協力いただいた方々に、深くお礼を申し上げます。

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 キリスト教主義のボランティアグループ、5タラントの会では、毎週土曜日に、勉強会、懇談会、音楽教室、その他の活動を行っています。

〜〜今月の苦情&ヒヤリハット〜〜

*蛇口の衛生管理

 うがいをするときに、殆どの利用者が蛇口をくわえてしまいますが、蛇口と取り付けられているスポンジ状のフィルターの衛生管理がされていませんでした。その為、うがいの時は援助者が必要な支援をすることとし、フィルターは消毒しやすい形状の物に変更しました。

苦情解決委員会責任者 小堀俊二


*施設を利用していて疑問に思うこと、要望などお気軽にお話し下さい。また、苦情、要望など、直接申し出難い場合は、以下の窓口を御利用下さい。
・第三者委員
  日本キリスト教団戸塚教会
  尾毛佳靖子牧師 (045-881-3416)
・福祉サービス運営適正化委員会 (045-317-2200)
・権利擁護センター「アシスト」 (045-312-1121)







5月の予定

9日 内科検診
11日 防災訓練
12日 学園祭
26日 祈祷会
28日 5タラントの会勉強会

*今年度より、誕生日に合わせて誕生会を行います。最終木曜日はお祈りの会をします。

4月の予定

1日 歯科検診
8日 防災訓練
9日 リクリエーション(旧お楽しみ会)
23日 祈祷会
25日 5タラントの会勉強会

*お楽しみ会はリクリエーションに名称を変更しました。「再創造」の方がぴったりくると思ったからです。




5月の歌 賛美歌2番

いざやともに こえうちあげて

くしきみわざ ほめうたわまし

つくりましし あめつちみな

かみによりて よろこびあり


*ホミニス学園では、見学、ボランティア、福祉相談など、いつでも受け付けています。お気軽に御相談下さい。

編集後記

 人生の価値、本当の実感は、その時ではなく後から分かるものかなと思います。登山の一歩一歩は険しいのだと思います。(小堀)


発行:社会福祉法人ホミニス会ホミニス学園
電話 0467-53-2980 ファックス 0467-52-4160

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