ホミニス便り2005年10月号



思えば遠くへ来たものだ 学園長 小堀俊二

 今年度の取り組みの一つに施設評価基準の作成があります。既にある厚生労働省による基準も悪くはないのですが、その補足的な意味で作ろうと思っています。
 聖書の中心的メッセージの一つは、「皆で力を合わせて仲良く生きていきなさい」です。お互いを身体の部分に例えて、鼻が目に向ってお前は不要だとは言えない、と書かれています。私はそのようなイメージで、ホミニス学園という共同体が、個々が力を合わせて成立する一つの有機体と考えています。
 施設が、健康で健やかに成長していくにはどんなことが必要なのでしょうか。先ず、他者の痛みに敏感であることが必要です。例えば、指先を怪我してもそれを放置したならばい菌は全体に回るかも知れないし、出血が止まらないかも知れません。だから、一ケ所の痛みを全体の事として対処しなければなりません。
 また、それぞれの部分が円滑な連絡で繋がっていることが必要です。怪我の場合は勿論のこと、何かを判断しなければならないときには、単独で行うことはできません。何故なら私達は部分のみでは不完全であり、それをお互いがそれぞれの感性、経験、立場、から助言しあうことで、全体が健康であることができるからです。
 私は以前、職員が「万能型」であることを求めていました。皆が全体管理も、個別支援も、あるいは客観的評価もできたなら、大変柔軟な組織になると思ったからです。しかし、これは結果としては全く成功せず、職員に負担を強いただけでした。やはり、それぞれの持ち味が活きる「分業制」の方が現実的なようです。また、今でも、多くの決済を私は一人で行う傾向が残っています。全員で相談すれば良いのは分かっていても、せっかちな私は我慢が出来なくなるのです。
 まあ、それでも、ホミニス学園に来た9年前の私は、施設全体など眼中にない音楽指導専門の個人プレーヤーでしたので、それからするならば、随分変わったかなとも思います。



歩み  生活指導員 竹田朝子

 私事なのですが、現在就職活動をしています。面接などを通して自分自身がこの約三年間の中で何を学んできたのか?相手の方に言葉で伝えたり、文章にすることを通して今までの本当に小さな歩みを振り返る機会を与えられています。
 胸を張り「私はこんな事を勉強してきました!」と自信を持って話せない時もあるのですが、同じ対人援助という職に就く限り学園で学んでいる事は、未だに十分に利用者の方に還元出来ていない時もあるものの、本当に貴重な糧だと思います。
 そう思うと今目の前にいらっしゃる利用者の方々に対して恥ずかしくない関わりをしなければと気持ちが引き締まる思いです。逆に「自分は今のままで大丈夫だ、問題ない」と、何の疑問も無く安心し切っているとしたら、その様な自分に恐怖すら覚えます。
 そうなってしまう事はとても簡単なことかもしれません。自分の失敗や至らない点を見ることは難しいことですが、自分の成長のために必要な事と思いながら前向きに歩んでいきたいと思います。


〜〜5タラントの会報告(8/27)〜〜
信仰 発題者 吉永暁子

 学園に勤務して初めて、聖書や賛美歌に出会いました。私は、クリスチャンではありませんが、聖書の勉強をする事も賛美歌を歌う事も好きです。
 困った時の神頼みではありませんが、自分自身を見つめる時に、聖書に触れた事で、本当に心の支えや指針を示されている事を感じます。何より、心が穏やかになる事が一番嬉しい事です。
 しかし、信仰告白となると、それが出来ません。なぜだかは解りません。けれど、信仰は、人が生きて行く上で必要不可欠なことだとも思っています。
 この2つの相反する感情をどの様に整理していけば良いか、それを考えるべく発表をしたのですが、立ち止まったまま考えるのではなく、日々の生活の中から見つけ出せ、と言われているのかも知れないと思い始めました。自分の思うように生きてみよ!と。

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 5タラントの会は、毎月最終土曜日に勉強会をしています。どなたでも気軽に御参加下さい。


〜〜今月の苦情&ヒヤリハット〜〜

*ホミニス学園で実施した非公式の里親活動について

 ホミニス学園では03年11月より非公式の里親活動を行っております。この活動について、本人の実父および、県福祉部、市福祉部より、「入所施設に移行させたい」という働きかけが続いており、本件を施設への苦情として扱い、その経過を報告します。

 実父および自治体からの申し出を拒否している理由

1 本人の障害特性から、入所施設への移行は全く不可能です。重度のトゥレット症候群(チック症)である本人は安心してチックを出せる環境を求めており、ホミニス学園はそれに合致します。
2 実父および市福祉部、県福祉部は本人に意志決定能力がないという障害者差別により、廃止されたはずの行政処分を行おうとしています。
(添付書類参照)いうまでもなく全ての人には、意志決定能力が備わっており、まして本ケースの利用者は、実父が来たなら「逃げる」、既に住居として経験した自宅、入所施設や学園長宅などと比較選択し「ホミニス学園に住みたい」と明確に意思表示しており、その論拠も合理性の高いものです。また、行政処分である措置制度は既に廃止されています。
3 入所施設は海外はもとより国内でも「脱施設化」のスローガンのもと、グループホームなど地域生活への移行が進められています。かつて、大規模コロニーから入所施設、そして現在はグループホームへと支援方法はより地域の中へ、そして家庭的形態へと向かっています。その更に先にあるのが、本ケースにおける里親活動であるのはいうまでもありません。

 本ケースの概略

 本人は2000年にホミニス学園に入園した。母親は死亡し父娘の家庭。入園当初から家庭における療育放棄が危惧されていた。例えば、入浴をしないことから体臭が酷かったり、何日も同じ服を続ける、長そでの下着の上に半そでのシャツを着て来る、頭髪が伸び過ぎていることを連絡すると実父により乱暴に切られてくる、家庭での服薬支援の不備など。実父との書面のやりとりにおいては心理的な不安定さを示す乱れた記述が散見されていた。また、実父は本人に対する支援の具体的な必要性に全く無理解だった。
 2003年7月に実父の暴力により顔面を腫らせて登園することがあり、それを期に短期の宿泊支援をその時の状況に合わせて月に1回程度実施した。また同じ頃体重が減少してきており、毎週土曜日の午前、昼食までの預かりを実施した。同年11月になり、家庭が金銭的に切迫していることが発覚し、実父の心理状態と合わせて考えるならば、重大な人権侵害を防ぐために本人を帰宅させるべきではないと判断し、預かりを開始した。
 預かり当初は学園長宅に3ヶ月宿泊したが、本人の障害特性と環境が馴染まず、本人の希望もあり04年2月より宿泊場所をホミニス学園へと移した。
 05年6月末に支援方法を振り返り、今後の宿泊の長期化に備え、国民健康保険証の取得、本人の財産の搾取からの保護、を目的として、本人の住所をホミニス学園に移動すると共に障害者年金の受け取り口座を学園で新設した。実父はこれに反対すると共に、市に抗議をし、これを境に、実父と市から、本人を入所施設に入所させるべく働きかけが頻発することとなった。
 文頭にある通りの理由により、ホミニス学園はそれを拒否し、現在は小堀学園長夫妻と養子縁組を行い、住民登録および居住地は大磯のホミニス会小堀理事長宅に移動し、本人の希望に合わせて随時ホミニス学園を宿泊場所として利用する形となった。また、これまでの県や市の劣悪な福祉行政から可能な限り本人を保護する為に施設利用契約は7月末を持って解約し、現在は見学者としてホミニス学園を利用している。万が一、本人の身柄が強制的に移されることに備え、茅ヶ崎警察小出駐在所に事情を説明し、随時協力を得られる体制となっている。県は養子縁組は無効であると主張し、それにより障害者手帳および支援費サービス受給者証の再交付、国民健康保険医療費助成書の発行が受けられない状況が続いている。実父からは成年後見人の申立て手続き(「かながわ権利擁護相談センターあしすと」の助言による)が行われている。
 里親活動に関わる経費は、法人格なき社団ホミニス会から支援を受け、養子縁組み後は、親族となった小堀学園長の私費と暫定的になっている。

 現在の取組み

 ホミニス学園は本ケースを本来的に親子2名の困窮からの救出であり、本人の救出は概ね完了し、現在必要なのは実父の救出であると考えます。定期的な面接を実施し、双方の意見をいたずらに対立させるのではなく、社会福祉の専門的な視点からの助言、会話を通じて歩みを共にする中で人間性の回復を促したいと考えております。
 本人の入所施設への移行については、現在の里親活動を継続したいと考えます。

 本ケースの問題点

 そもそもこのケースには実父による療育放棄、不況による経済的困窮、家庭に対する支援不足、という視点が必要ですが、県と市は、ホミニス学園が入所施設として無認可であることのみを、加害者である実父の申し出を論拠に取り上げる、正に木を見て森を見ずといえる対応をしています。援助技術論からの妥当性は全く認めることができませんし、いうまでもなくそこからは実父の人間性の回復は得られません。
 また、本人には意志決定能力がないという有無をいわさぬ差別意識は、現在の支援費制度の根幹である自己決定、自己選択を無視するものであり、制度運用の視点から常軌を逸していると言わざるを得ません。
 本来、このような事例は保健福祉事務所に届け出るべきなのですが、それ以前の他の利用者の家庭内暴力の通報に対して介入できないと回答したり、利用者の意志を全く配慮しない退園手続きなどから、届け出ることが本人に対する重大な不利益に繋がることが明白であったため、秘密裏に行わざるを得ませんでした。
 ホミニス学園が短期入所事業の実施の意志があり、且つ設備上は適合しているにも関わらず認可を取得出来ないのは、利用者の斡旋が自治体から得られないことによる経営不振が原因です。自治体はその法律上の責務を放棄し、昨年度から度重なる会議において、県は管理責任上の取組みを怠ったこと、当事者や施設の意見に耳を貸さなかったことを幾度となく謝罪してきたにも関わらず、実質的には何ら善処していません。つまり無認可にならざるを得ない原因は自治体にこそあるのです。
 また、本ケースは特に深刻なケースではありますが、言わば氷山の一角であることも事実です。現在も家庭における過ごし方に疑いを持たざるを得ない利用者についてこそ、特に障害者虐待防止法が政府内で検討されている昨今であるなら尚更のこと考えていかねばなりませんが、この申し出についても県や市は全く反応を示していません。
 在宅障害者への暴力に関する法律は現在はまだありません。県や市は、既存の制度に本ケースを無理矢理ねじ込むという本末転倒の対応を、本人の人格を無視して行おうとしています。つまり本ケースは制度のはざまにあるものであり、このようなケースこそ、地域の専門家が知恵を合わせ、既にある社会資源を柔軟に運用し、創造的に解決することが望まれているのではないでしょうか。

 今後の取組み

 これまでの本人および実父に対する支援方針を踏襲し、話し合いを継続していく予定です。また、密室性を避け、透明性、公平性を心掛けながら取り組みたいと思います。

備考

 この活動は元々ボランティアグループ5タラントの会にて行ってきたものですが、厚生労働省からの「ボランティア活動ではあっても、施設建物を利用しているので、自治体からは責任上施設の活動と見ざるを得ないだろう」との助言に基づき、施設の苦情として扱うこととしました。
 苦情解決第三者委員、日本キリスト教団戸塚教会 尾毛佳靖子牧師への報告はこのホミニス便りの記事により行うこととします。
 別添の書類について、県からは「支持する」、厚生労働省からは「本来は介入する立場ではないが、書面を見て、問題が重大ならば介入する」との返答を受けています。

苦情解決責任者 小堀俊二




----------ここより添付文書----------


17茅障福第373号
平成17年7月21日


社会福祉法人ホミニス会
 ホミニス学園施設長 小堀俊二 様

茅ヶ崎市保健福祉部障害福祉課長



貴学園利用者について


 先日の視察の際は、ご協力いただきましてありがとうございました。市障害福祉課といたしましても、ご本人のお顔を拝見いたしまして安心いたしました。
 市障害福祉課としては、現状については下記のような問題があることから、入所施設で預かっていただくことが適切と考えております。



1 夜間の介護者について
 夜間の介護者は、同性介護が通常と考えております。
 先日の聴き取りの中で、ほとんど施設長様が付き添われているとのことでしたが、ご本人が女性でありますので、異性介護は不適切と考えます。

2 本人の障害特性による入所施設の受け入れの可否について
 ご本人の状態により、他の入所施設では受け入れは不可能とのお話でしたが、各入所施設にも重度の障害者は生活しており、薬等を必要以上に服用させることもありません。ご本人だけが入所施設で生活していくことが不可能であるとは考えがたく、他入所施設でも十分に生活していけると考えております。この点は、入所施設にも確認いたしました。
 また、お話しのような重度の状態であるならば、尚更設備や体制の整った入所施設で安定した生活を送ることが必要であると考えております。

3 本人の判断能力について
 ご本人に判断能力があるとのお話でしたが、市障害福祉課としてはそのようには考えておりません。また、この件については更生相談所等第三者の公的機関の判断が必要と考えております。

4 通所施設での宿泊について
 貴学園は通所施設であり、利用者であるご本人が宿泊することは不適当と考えております。

5 保護者の意向について
 既に保護者である父親から貴学園にお話があったとおり、父親には入所施設に移したいという意向があります。貴学園にそれに応じられないという権限はないと考え、父親の意向のとおり入所施設に移すことが適切と考えます。
 尚、貴学園にご心配いただいている父親の家庭内暴力についても、入所施設に直接移しますので、心配はありません。


 上記の件を踏まえ、7月27日(水)13時30分にご本人を引き取るためのご相談に伺いますので、ご対応をよろしくお願いいたします。


事務担当 茅ヶ崎市保健福祉部障害福祉課
障害福祉担当        
電話 0467-82-1111(代)



----------添付文書ここまで----------



*施設を利用していて疑問に思うこと、要望などお気軽にお話し下さい。また、苦情、要望など、直接申し出難い場合は、以下の窓口を御利用下さい。
・第三者委員
  日本キリスト教団戸塚教会
  尾毛佳靖子牧師 (045-881-3416)
・福祉サービス運営適正化委員会 (045-317-2200)
・権利擁護センター「アシスト」 (045-312-1121)



10月の予定

5日 防災訓練
11~13日 授業参観
27日 祈祷会
29日 5タラントの会勉強会

*授業参観はいつもと同じ、気楽な勉強です。どなたでもご参加下さい。

11月の予定

9日 一日防災訓練
10日 リクリエーション
24日 祈祷会
26日 5タラントの会勉強会

未定 内科検診



10月の歌 賛美歌294番

みめぐみゆたけき 主の手にひかれて

この世の旅路を あゆむぞうれしき

たえなるみめぐみ 日に日にうけつつ

みあとをゆくこそ こよなきさちなれ



発行:社会福祉法人ホミニス会ホミニス学園
電話 0467-53-2980 ファックス 0467-52-4160

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