長老との再会

しばらく更新はしていなかった釣りバカ日誌ですが、
釣りに行っていないわけではありませんのです。
(というよりもほぼ毎週行っているというわけで)

11月1日(日)

日曜日というと台風だ、大風だ、という日が多かったが、
絶好のいい天気で釣り日和。
気持ちよくウキを浮かべて釣っていると
おじいさんがひとり乗りのボートを漕ぎながら横切ってゆく。
それであわてて
「ひっかかりますよー」と言うと、
にこにこして片手をあげて
「大丈夫だよー」
糸の上を通っていくので大丈夫だったわけだが
その意味がわからなかった僕はあわてて竿をあげて巻いてしまった。
「あー、あげちゃだめだよー。もう引っかかっちゃったな」
お言葉通り、糸がボートの底に引っかかっている。
「しょうがねえな」
と、言いながら糸を外すとおじいさんは
またオールを漕いで岸へと向かっていった。
「ちぇっ、あのじいさんが横切っていったのに
なんだか俺がわるいみたいじゃないか。納得いかねえなあ」
などと思いながら見ていると
岸に着いたおじいさん。
ひとりでボートを持ち上げて
とめてあったワンボックスの後ろに入れたと思ったら、
(す、すごい)
こっちに近づいてきたではないか。
「よう、釣れてるか」
「え?」
よく見るとはじめて城ヶ島に来たときに出会った
「ごんずい」のおじいさんだった。
朝からボートで僕たちには行けない離れ島みたいになっている堤防に渡って
こんなでかい真鯛(マダイですよ、マダイ)
を四匹も釣り上げたという。
さて。
おじいさんがワンボックスを運転して帰った頃にはすっかり暗くなっていたので、
灯りがついている港に移動して車のライトで照らして仕掛けをつくっていたのだが、
ありゃありゃ。
S先生がドアをがちゃがちゃやっているぞ。
でもエンジンはかかっている。
これはひょっとして?
と、いうわけでJAFに電話だ、ということになった。
(携帯を 持ってたことを 思い出し   非常時にわかる携帯電話のありがたさ、という句)
そして
待つこと一時間、かと思ったら30分足らずで軽トラックがやってきた。
降りてきたのはどうもJAFの人らしくないおじさんだ。
「うちは修理屋なんだけどよ〜。ほんとは今日は休みなんだけどよ〜。
委託でJAFの仕事をやってんだ〜」(三浦方面の方言?)
「いやあ、ありがとうございます。助かりました」
「釣りみたいだけど〜?もう帰っちゃうのか〜?
これからおもしろいのによ〜?」
「いや、これから釣ろうと思ってたらこうなってしまったわけで・・・」
「俺もよ〜、かわはぎ3匹釣ってきたよ〜、自家用船でよ〜」
(このおじさんも、自家用船持ってんのか?)
ほんとのJAFの人とはちがって
魔法のようにさっと開く、というわけにはいかず、
「これ開けないと帰れないよな〜」
などと言っていたおじさんだったが、
(おいおい、帰れないのはこっちだよー)
助手席の方にチャレンジしてようやくドアが開いた。
(今日は仕事休みだったというし、自家用船でかわはぎ釣って
それを肴に家でいっぱいやってたのかも)
S先生が書類にサインしておじさんが軽トラで帰る別れ際、
「あの、自家用船持ってないんで防波堤で釣るとしたらどこがいいでしょうね。
いつも城ヶ島に渡って釣っているんですが」
と、僕が聞くとおっさんはちょっとびっくりした顔をして
「ああ、城ヶ島はあんまり食わねえな。
(魚があまりいない、という意味)
釣るんなら渡らないで橋の下で釣ってみな」
と、秘密のポイントを教えてくれた。
うーん、そうだったのか。次はそこに行ってみるかな。
それからの夜釣りに向かう時の気持ちはすっかりいい気分。
マイナスとプラスは紙一重。
意外な出会いあり、再会あり、
これだから釣りはやめられない。

それから三崎港で最近買った投げ竿で投げ釣りの練習をやったのだが、
竿を振るといきなり重たい感触が。
リールを巻いてみると魚ではなくて「えぎ」というあおりいかを釣るための
ルアーのようなものがかかっていた。
(後日釣り具の上州屋に行ってみると同じ物が1000円くらいで売っていた)
おそらく前に来た誰かがなくしたものを釣り上げてしまったのだろう。
今まで釣った中では一番の大物かも?
(近くのスーパーでアジが2匹260円で売っていましたからねえ・・・うーむ)


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