平塚新港で投げ釣り開眼!?
1999.5/23


天気も最高、釣り日和。
今日は平塚新港にやってきた。
ここは河が海に注ぎ込むような形になっていて、
一面の砂浜から長い堤防がL字型にのびている。
長い堤防、というがほんとに長くて、
前に一度来たときは、
荷物を抱えてえっちらおっちら、
ようやくはじっこまで行ったところで
ん?これはいかん、ん?
と長いみちのりをもう一度
引き返したのだった。
ちなみに砂浜のところの船宿、庄三郎丸で
トイレが借りられるのだが、ただトイレだけ借りる
というわけにもいかないので、
「す、すいません。コーヒーください」
「は〜い、ここ置くわね〜」
「そ、それからトイレはどこでしょう」
ダーッ
というかんじで事なきを得たのだった。

そういうこともあったのであらかじめすませるものはすませておいて、
堤防へと向かった。
(コレがお昼頃)



さて、3時間ほどが経過。

こないだから始めた投げ釣り仕掛けでやっていたが、
ここまで一匹の獲物もなし。
まわりで釣っている家族連れの人達も、
ほとんど釣れている人はいないようだ。
同行のS先生は一匹釣り上げていたが、
なんとそれはによろにょろした海ヘビであった。
(きゃー)
まあ、天気はいいし、のんびりやるか、
と竿を出しながら堤防のコンクリートに横になると
これがほどよくあたたかく、ぽかぽかしていて気持ちがいい。
3時間のうち2時間ぐらいはごろごろうとうとしていたような。
そうこうしているうちに
われわれとはちがうところで釣っていたこの港の主とみえる
常連の人達のトコロで歓声が上がった。
「すごいぞ、こりゃ」
「でかいでかい」
あっという間に人だかりができて、
口々に感嘆と賞賛の声を上げているのだが、
「お〜い、タモないの?アミ、誰か持ってない〜」
あ、そういえば網もってたっけ。
(以前にボラを釣ったときに使って以来、使う機会もないので
組み立ててもいないで竿ケースの中に眠っていたのだが)
でも、今からじゃあ間に合わないだろうなあ、
と思いつつも取り出してセッティングしていると、
「お〜い、おいおい、それ、網貸してくれよ〜」
と、頭にタオルを巻いて、コギャルどころか
煮しめた佃煮のように真っ黒に日焼けしたおじさんが
虫取り網みたいなの(そのへんのこどもがもっていたやつらしい)
を手にやってきた。
「これじゃあ、とてもすくえないからオ。助かった助かった」
タモを使って上げてみると、
いやいやこれはなかなかのクロダイだ。
「いやあ、こんなやつがここにいるんだね〜」
「こいつ、尾ビレのここんとか黄色くなってるだロ。
こりゃ、黄ビレだゼ」
「これ見ちゃったら後のは全部めだかにみえちゃうナ〜」
というわけで釣り上げた人は堤防のヒーロー状態で、
アミを貸した僕もまんざらではない気分。
さあ、今度はこっちの番だ。
と、張り切って始めると。
来た、来た、来ましたよ。
今日はじめての当たりです。、

しかし、上げてみると、

フグ。

(フグって針から外そうとするとギーギー泣くんだよね。はじめて知りました)

でもやっぱりなんにも釣れないよりはぜんぜんいい。
すぐに放してしまおうと思ったが、とりあえず水くみバケツの中に入れといた。
するとしばらくして5歳くらいのこどもがバケツをのぞいている。
「お魚さんいるでしゅか?」
(よくバケツを覗いて「なんにもいないよ〜」と叫ぶコドモがいるが、
これはかなりグサリとくるのだ)
「いるでしゅよ」
「なんのお魚さんでしゅか?」
「フグでしゅよ」(と、いいつつフグのまね)
「おかあさ〜ん、しゅごいよ〜フグでしゅよ〜」
するとその子のおかあさんやその友だちやその友だちのコドモやら、
さっきのクロダイのこともあって、なんだなんだ、と見に来る人もいて、
時ならぬ人だかりが出来てしまった。
バケツに入っているのがフグ一匹なのでちょっとはずかしい。
(でもちょっといい気分でもあったりした)
さて、そうこうしているうちに
もう一匹フグを釣り上げ、もう今日はフグフグであきらめて帰るかなあ、
と思っていた矢先。
さっきのタオルを巻いたおじさんがやってきて突然僕の竿を取り上げた。
「ここじゃあダメダメだ。こっちで釣ってみな」
どうやらそこは常連の人たちが釣っている堤防一の好ポイント。
ここからあそこめがけてああしてこうして投げてみなよ。ほれ」
荷物を持って、場所を移動。
そしてS先生もとなりで釣り始めたのだが
「あ、釣れた釣れた」
なかなかいい型のシロギスじゃないですか。
するとおじさんがまたやってきて、
「おお〜、釣れたね〜」
「あの、僕じゃなくて、こっちの・・」
「あ〜、う〜ん、そうか〜。
ちょっとふってみな〜。
あ〜、糸を竿にくっつけて指でおさえないと安定しないでしょ。
それに握り方もちがうなあ。こうしてこう。ほれ、やってみ」
おじさんの言う通りにやってみると、
なるほど今までのやり方とは段違いにまっすぐ飛ぶようになった。
もう、こうなるとなんとか一匹釣らないことには帰れないぞ。
「仕掛けは針3本ついているんじゃ、だめなの。
2本でないとな。
針と針の間が広くないとだめなんだ。
だから、3本のやつは一本切っちゃえばいいんだヨ。
あ、上や下を切っちゃだめだヨ。まん中切らないと」
仕掛けも替えて再度チャレンジ。
「あ〜、ダメだダメだ。そんなに急いで巻いちゃあ。
竿をねかしてゆっくり、ゆっくり巻いて、とめる。
それから、またゆっくり巻いて、
そしたらキスがくっついてくるから。
ほら、おもりが底を引きずっているのがわかるだろ」
なるほど。
そういわれてみると、手に感触が伝わってくるような。
今までただ投げて、巻いて、
そんなこと、ぜんぜん考えていなかっただけに
これはちょっと感動的ともいえる感じだった。
なんだか釣りのおもしろさに目覚めた、とでもいったような。
そして。

あ、釣れた。

小さい小さい。しかしたしかにシロギスだぞ、こいつは。
と、とにもかくにも一匹釣れて、辺りも暗くなっていたし、
おじさんにお礼を言って、帰途についたのだった。

今日はビールでシロギスだ、へつづく

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