六壬の種類「小六壬・中六壬・大六壬・六壬金口訣」
 卜占(事件を占う占術)として評価の高い六壬ですが、一般の方に知名度が低いのは残念なことです。この六壬は平安時代には盛んに陰陽師によって用いられました。あの安部晴明も六壬を得意とし「占時略訣」という六壬の書を現代に残しています。

 近年、安部晴明がちょっとしたブームですが、安部晴明が得意とした六壬がいまひとつ注目されないのは残念に思います。それどころか、安部晴明のブームにかこつけて変な占い本が次々と出版されているのは、かっての風水ブームを彷彿とさせます。

 さて、この陰陽師達によって盛んに用いられた六壬ですが、陰陽道の衰退と共に消えていきます。これは、江戸時代に儒学が推奨され易が盛んになったこととは対象的です。六壬をふたたびに世に出したのは京都の安部泰山氏です。現在、日本で六壬を使う人は大半が泰山流か、昭和40年代に台湾の張耀文氏が伝えた透派の六壬を使用しており、国内の書籍もこのほとんど2流派の系統の本のようです。

 さて、多少中国占術に詳しい方でも六壬にも幾つかの種類があることをご存知の方は少ないでしょう。六壬には「大六壬」「中六壬」「小六壬」にさらに「六壬金口訣」というものがあります。現在、我々が一般的に六壬と呼んでいるのは大六壬のことです。小六壬は別名を「李淳風六壬時課」と言われ、「大安・留連・速喜・赤口・小吉・空亡」の6つの要素を時間で算出して占うもので、占いとして比較的に単純な占いです。現在の六曜の源と言われています。

 中六壬と金口訣は大六壬と同様に十二支の天地盤を重ねて判断するもので、特に金口訣は異端の六壬と呼ぶ人もいるようですが、他の六壬が占う時間のみを基にして占うのに対して、方位を加えて判断するところに特徴があります。つまり、問占者がどちらから来訪したかによって異なる課式を出します。中国占術では2時間が同じ時間単位になる為、一般の六壬は同じ時刻内に異なることを占うには無理が生じます。この為、同じ時間内に次の問占者の依頼を鑑定する場合に、次客法といって時間を便宜的にずらす方法が取られますが、金口訣では問占者の方位によって同じ時間でも異なる式盤が出せる為、この問題をスムーズに解決できる点で興味深い占術だといえます。

 また、上記以外にも六壬断時占というものも存在します。これも小六壬と同様に時間のみで判断するのですが、年月日時の干支を出し、男性は天干の総数、女性は地支の総数で判断します。判断する要素も小六壬の6個に対して15個の要素で判断します。

 尚、これらの各種の六壬の詳細については、近く発行開始予定の会報で紹介していく予定ですので、六壬に興味がある方は楽しみにしておいて下さい。