山梨の田舎暮しと災害・防災対策
(生命・身体・財産の保護)

東海地震の「地震防災対策強化地域」に指定された山梨
2003.02.18

5. 災害対策関係の法律の概要抜粋

目次

5-0 災害対策関係の法律全般
5-1 大規模地震対策特別措置法
5-2 大規模地震対策特別措置法施行令
5-3 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
5-4 地すべり等防止法
5-5 砂防法
5-6 森林法
5-7 河川法
5-8 地震防災対策特別措置法
5-9 災害対策基本法
 
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1. 東海地震の地震防災対策強化地域・山梨
2. 地震防災対策強化地域指定の経緯は
3. 大規模地震対策特別措置法とはどんなもの
4. 頼りになる法律があるのですか
5. 災害対策関係の法律の概要
6. 「生命・身体・財産」の自己防衛:具体例(無許可農地転用による農地法違反がひきおこす農地の凶器化、行政の対応、約束の履行状態)
7. 農地法の形骸化(農業委員会と役場の役割、山梨県知事による原状回復命令、農地法違反と最高裁判決、農地法の形骸化には行政が大きく関わっていた、「農地法潰し」画像)


5-1 大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年六月十五日法律第七十三号)
詳細は、全文をご覧ください。

●目的(第一条)
この法律は、大規模な地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災対策強化地域の指定、地震観測体制の整備その他地震防災体制の整備に関する事項及び地震防災応急対策その他地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

●定義(第二条)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 地震災害 地震動により直接に生ずる被害及びこれに伴い発生する津波、火事、爆発その他の異常な現象により生ずる被害をいう。
二 地震防災 地震災害の発生の防止又は地震災害が発生した場合における被害の軽減をあらかじめ図ることをいう。
三 地震予知情報 気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)第十一条の二第一項に規定する地震に関する情報及び同条第二項に規定する新たな事情に関する情報をいう。
四 地震防災対策強化地域 次条第一項の規定により指定された地域をいう。
五 指定行政機関 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第三号に規定する指定行政機関をいう。
六 指定地方行政機関 災害対策基本法第二条第四号に規定する指定地方行政機関をいう。
七 指定公共機関 災害対策基本法第二条第五号に規定する指定公共機関をいう。
八 指定地方公共機関 災害対策基本法第二条第六号に規定する指定地方公共機関をいう。
九 地震防災計画 地震防災基本計画、地震防災強化計画及び地震防災応急計画をいう。
十 地震防災基本計画 中央防災会議が地震防災対策強化地域について地震防災に関し作成する基本的な計画をいう。
十一 地震防災強化計画 災害対策基本法第二条第九号に規定する防災業務計画、同条第十号に規定する地域防災計画又は石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画のうち、第六条第一項各号に掲げる事項について定めた部分をいう。
十二 地震防災応急計画 第七条第一項又は第二項に規定する者が地震防災応急対策に関し作成する計画をいう。
十三 警戒宣言 第九条第一項の規定により内閣総理大臣が発する地震災害に関する警戒宣言をいう。
十四 地震防災応急対策 警戒宣言が発せられた時から当該警戒宣言に係る大規模な地震が発生するまで又は発生するおそれがなくなるまでの間において当該大規模な地震に関し地震防災上実施すべき応急の対策をいう。

●地震防災対策強化地域の指定等(第三条)
内閣総理大臣は、大規模な地震が発生するおそれが特に大きいと認められる地殻内において大規模な地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域を地震防災対策強化地域(以下「強化地域」という。)として指定するものとする。
 内閣総理大臣は、前項の規定による強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ
中央防災会議に諮問しなければならない。
 内閣総理大臣は、第一項の規定による強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。この場合において、関係都道府県知事が意見を述べようとするときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴かなければならない。
 内閣総理大臣は、第一項の規定による強化地域の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
 前三項の規定は、 内閣総理大臣が第一項の規定による強化地域の指定の解除をする場合に準用する。

指定の経緯:
強化地域の指定を必要とする大規模な地震としては、2002年11月現在、東海地震のみが考えています。また、強化地域は市町村単位で指定されます。
昭和54年8月7日、甲府市、富士吉田市、塩山市、都留市、山梨市、大月市、韮崎市、山梨郡春日居町、同郡牧丘町、同郡勝沼町、同郡大和村、東八代郡、西八代郡、南巨摩郡、中巨摩郡、北巨摩郡双葉町、同郡明野町、同郡白州町、同郡武川町、南都留郡及び北都留郡上野原町の21市町村と郡が指定されて公示(総理府告示第26号)されました。平成13年1月26日の中央防災会議において、内閣総理大臣より地震防災対策強化地域などの見直しの必要性が指示されました。平成14年4月24日、県北部の小菅村、丹波山村そして三富村の3村を除く、すべての市町村が地震防災対策強化地域に指定され公示されました。詳しくは中央防災会議の開催経緯などをご覧ください。
地震防災対策強化地域の指定は2度にわたって行われましたが、その違いは何なのでしょうか。
第1回目(昭和54年8月7日)の地震防災対策強化地域は、「著しい地震災害が生ずるおそれがある地域」という漠然たる表現でしたが、今回(平成14年4月24日)は「木造建築物が一般的に著しい被害を被る地震の揺れという見地から、震度6弱以上の揺れが発生する地域」としています。また、東海地震の震源域も第1回目の位置より西側にずれています。地震の観測体制の整備や観測技術の高度化などによって、より正確な位置が指定されたわけです。しかし、漠然とした状態で土地を購入して田舎暮しを始めた私としては、第2回目の震度6弱という表現には、私の心臓も震度6以上に激しく震えました。こんなことが分かっていたなら、山梨に移住することはなかったと思います。さらに、糸魚川-静岡構造線断層帯を震源とする巨大地震の範囲にも入っています。この地震の発生確率は今後30年間に14%、マグニチュードは8程度、そして震度は甲府近くで 7とのことです。また、富士山の噴火とか、東京湾直下型地震とか、天災の種には事欠くことがありません。
●強化地域に係る地震に関する観測及び測量の実施の強化(第四条)
国は、強化地域に係る大規模な地震の発生を予知し、もつて地震災害の発生を防止し、又は軽減するため、計画的に、地象、水象等の常時観測を実施し、地震に関する土地及び水域の測量(以下この条及び第三十三条において「測量」という。)の密度を高める等観測及び測量の実施の強化を図らなければならない。
●強化地域の指定があつたとき、緊急に整備すべき施設等(第六条第一項第二号)
地方防災会議等(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長。)は地域防災計画において、次の事項を定めなければならない。
二 避難地、避難路、消防用施設その他当該大規模な地震に関し地震防災上緊急に整備すべき施設等で政令で定めるものの整備に関する事項




5-2 大規模地震対策特別措置法施行令(昭和五十三年六月十五日法律第七十三号)
 詳細は全文をご覧ください

地震防災上緊急に整備すべき施設等(第二条)
大規模地震対策特別措置法第六条第一項第二号の政令で定める施設等は、次のとおりとする。
一 次に掲げる施設で主務大臣が定める基準に適合するもの
イ 避難地
ロ 避難路
ハ 消防用施設
ニ 緊急輸送を確保するため必要な道路、港湾施設(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第五項第三号のけい留施設及び同項第四号の臨港交通施設に限る。)又は漁港施設(漁港法(昭和二十五年法律第百三十七号)第三条第一号イの外郭施設及び同号ロの係留施設に限る。)
ホ 津波により生ずる被害の発生を防止し、又は軽減することにより円滑な避難を確保するため必要な海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条第一項に規定する海岸保全施設又は河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第三条第二項に規定する河川管理施設
ヘ 砂防法(明治三十年法律第二十九号)第一条に規定する砂防法設備、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十一条第二項に規定する保安施設事業に係る保安施設、地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第二条第三項に規定する地すべり防止施設又は急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)第二条第二項に規定する急傾斜地崩壊防止施設で、避難路、緊急輸送を確保するため必要な道路又は人家の地震防災上必要なもの
ト 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十一条に規定する公的医療機関の建物のうち、地震防災上改築を要するもの
チ 公立の小学校又は中学校の建物のうち、地震防災上改築又は補強を要するもの
リ 社会福祉施設の建物のうち、地震防災上改築又は補強を要するもの
ヌ 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第二項第一号の農業用用排水施設であるため池で、避難路、緊急輸送を確保するため必要な道路又は人家の地震防災上改修その他の整備を要するもの
二 地震防災応急対策を実施するため必要な通信施設
三 石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第二条第二号に規定する石油コンビナート等特別防災区域に係る緩衝地帯として設置する緑地、広場その他の公共空地(昭和五五政一四一・一部改正)



5-3 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)
 詳細は、全文をご覧ください。

●目的(第一条
急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を保護するため、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置を講じ、もつて民生の安定と国土の保全とに資することを目的とする。

定義(第二条
この法律において「急傾斜地」とは、傾斜度が三十度以上である土地をいう。
2  この法律において「急傾斜地崩壊防止施設」とは、次条第一項の規定により指定される急傾斜地崩壊危険区域内にある擁壁、排水施設その他の急傾斜地の崩壊を防止するための施設をいう。
3  この法律において「急傾斜地崩壊防止工事」とは、急傾斜地崩壊防止施設の設置又は改造その他次条第一項の規定により指定される急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊を防止するための工事をいう。


急傾斜地崩壊危険区域の指定(第三条)
都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見をきいて、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣接する土地のうち、当該急傾斜地の崩壊が助長され、又は誘発されるおそれがないようにするため、第七条第一項各号に掲げる行為が行なわれることを制限する必要がある土地の区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定することができる。

調査(第四条)
前条第一項の指定は、必要に応じ、当該指定に係る土地に関し、地形、地質、降水等の状況に関する現地調査をして行なうものとする。

●調査のための立入り(第五条)
都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、前条の調査のためにやむを得ない必要があるときは、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。
2  前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
3  第一項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
4  日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5  第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
6  第一項の規定により特別の用途のない他人の土地を材料置場又は作業場として一時使用しようとする者は、あらかじめ、当該土地の占有者及び所有者に通知して、その意見をきかなければならない。
7  土地の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入り又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。
8  都道府県は、第一項の規定による立入り又は一時使用により損失を受けた者がある場合においては、その者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
9  前項の規定による損失の補償については、都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。
10  前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県は、自己の見積つた金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服のある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条の規定による裁決を申請することができる。

標識の設置(第六条
都道府県は、急傾斜地崩壊危険区域の指定があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該急傾斜地崩壊危険区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。

●行為の制限(第七条)
急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるその他の行為については、この限りでない。
一  水を放流し、又は停滞させる行為その他水のしん透を助長する行為
二  ため池、用水路その他の急傾斜地崩壊防止施設以外の施設又は工作物の設置又は改造
三  のり切、切土、掘さく又は盛土
四  立木竹の伐採
五  木竹の滑下又は地引による搬出
六  土石の採取又は集積
七  前各号に掲げるもののほか、急傾斜地の崩壊を助長し、又は誘発するおそれのある行為で政令で定めるもの
2  都道府県知事は、前項の許可に、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な条件を附することができる。
3  急傾斜地崩壊危険区域の指定の際当該急傾斜地崩壊危険区域内においてすでに第一項各号に掲げる行為(非常災害のために必要な応急措置として行なう行為及び同項ただし書に規定する政令で定めるその他の行為を除く。)に着手している者は、その指定の日から起算して十四日以内に、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4  国又は地方公共団体が第一項の許可を受けなければならない行為(以下「制限行為」という。)をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議することをもつて足りる。

監督処分(第八条)
都道府県知事は、次の各号の一に該当する者に対して、前条第一項の許可を取り消し、若しくは同項の許可に附した条件を変更し、又は制限行為の中止その他制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置をとることを命ずることができる。
一  前条第一項の規定に違反した者
二  前条第一項の許可に附した条件に違反した者
三  偽りその他不正な手段により前条第一項の許可を受けた者
2  都道府県知事は、前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくてその措置をとることを命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認めるれるときは、その者の負担において、その措置をみずから行ない、又はその命じた者若しくは委任した者に行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置をとるべき旨及びその期限までにその措置をとらないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行なうべき旨を、あらかじめ、公告しなければならない。

●土地の保全等(第九条)
急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、その土地の維持管理については、当該急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊が生じないように努めなければならない。
2  急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者は、当該急傾斜地の崩壊による被害を除却し、又は軽減するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
3  都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊による災害を防止するために必要があると認める場合においては、当該急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者又は占有者、その土地内において制限行為を行つた者、当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者等に対し、急傾斜地崩壊防止工事の施行その他の必要な措置をとることを勧告することができる。

立入検査(第十一条)
都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、第七条第一項、第八条第一項又は前条第一項若しくは第二項の規定による権限を行なうために必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地における急傾斜地崩壊防止工事若しくは制限行為の状況を検査することができる。
2  第五条第五項の規定は、前項の場合について準用する。
3  第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

●都道府県の施行する急傾斜地崩壊防止工事(第十二条)
都道府県は、急傾斜地崩壊防止工事のうち、制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な工事以外の工事で、当該急傾斜地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者が施行することが困難又は不適当と認められるものを施行するものとする。
2  前項の規定は、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により指定された土地、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項若しくは第二十五条の二第一項若しくは第二項の規定により指定された保安林(同法第二十五条の二第一項後段又は第二項後段において準用する同法第二十五条第二項の規定により指定された保安林を除く。)若しくは同法第四十一条の規定により指定された保安施設地区又は地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第三条第一項の規定により指定された地すべり防止区域若しくは同法第四条第一項の規定により指定されたぼた山崩壊防止区域については、適用しない。
3  都道府県は、漁港法(昭和二十五年法律第百三十七号)第二条に規定する漁港の区域(水域を除く。)内、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第三十七条第一項に規定する港湾隣接地域内又は海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条第一項に規定する海岸保全区域内において第一項の規定による急傾斜地崩壊防止工事(以下「都道府県営工事」という。)を施行しようとするときは、あらかじめ、漁港管理者、港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない。ただし、港湾法第三十七条第一項及び第三項又は海岸法第十条第二項の規定により港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない場合においては、この限りでない。

都道府県以外の者の施行する工事(第十三条)
国又は地方公共団体以外の者が急傾斜地崩壊防止工事を施行しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2  国又は地方公共団体は、急傾斜地崩壊防止工事を施行しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。

急傾斜地崩壊防止工事の施行の基準(第十四条)
急傾斜地崩壊防止工事は、急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊の原因、機構及び規模に応じて、有効かつ適切なものとしなければならない。
2  急傾斜地崩壊防止工事は、政令で定める技術的基準に従い、施行しなければならない。

受益者負担金(第二十三条)
都道府県は、都道府県営工事により著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、その者に、当該都道府県営工事に要する費用の一部を負担させることができる。
2  前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲及びその徴収方法については、都道府県の条例で定める。

罰則(第二十七条から第三十条)

第二十七条  第八条第一項の規定による都道府県知事の命令に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第二十八条  次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一  第五条第七項(第十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二  第七条第一項の規定に違反した者
三  第十条第一項又は第二項の規定による都道府県知事の命令に違反した者
四  第十一条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

第二十九条  次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一  第六条の規定により設置した標識を移動し、汚損し、又は破損した者
二  第七条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三  第二十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第三十条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。




5-4 地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)
詳細は、全文をご覧ください。

目的(第一条)
この法律は、地すべり及びぼた山の崩壊による被害を除却し、又は軽減するため、地すべり及びぼた山の崩壊を防止し、もつて国土の保全と民生の安定に資することを目的とする。
定義(第二条)
この法律において「地すべり」とは、土地の一部が地下水等に起因してすべる現象又はこれに伴つて移動する現象をいう。
2  この法律において「ぼた山」とは、石炭又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山であつて、この法律の施行の際現に存するものをいい、鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第四条又は第二十六条の規定により鉱業権者又は鉱業権者とみなされる者が必要な措置を講ずべきものを除くものとする。
3  この法律において「地すべり防止施設」とは、次条の規定により指定される地すべり防止区域内にある排水施設、擁壁、ダムその他の地すべりを防止するための施設をいう。
4  この法律において「地すべり防止工事」とは、地すべり防止施設の新設、改良その他次条の規定により指定される地すべり防止区域内における地すべりを防止するための工事をいう。

地すべり防止区域の指定(第三条)
主務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事の意見をきいて、地すべり区域(地すべりしている区域又は地すべりするおそれのきわめて大きい区域をいう。以下同じ。)及びこれに隣接する地域のうち地すべり区域の地すべりを助長し、若しくは誘発し、又は助長し、若しくは誘発するおそれのきわめて大きいもの(以下これらを「地すべり地域」と総称する。)であつて、公共の利害に密接な関連を有するものを地すべり防止区域として指定することができる。
2  前項の指定は、この法律の目的を達成するため必要な最小限度のものでなければならない。
3  主務大臣は、第一項の指定をするときは、主務省令で定めるところにより、当該地すべり防止区域を告示するとともに、その旨を関係都道府県知事に通知しなければならない。これを廃止するときも、同様とする。
4  地すべり防止区域の指定又は廃止は、前項の告示によつてその効力を生ずる。

地すべり防止区域の管理(第七条)
地すべり防止工事の施行その他地すべり防止区域の管理は、当該地すべり防止区域の存する都道府県を統括する都道府県知事が行うものとする。

標識の設置(第八条)
都道府県知事は、第三条第三項の規定による地すべり防止区域の指定の通知を受けたときは、主務省令で定めるところにより、その地すべり防止区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。
●主務大臣の直轄工事(第十条)
主務大臣は、次の各号の一に該当する場合において、当該地すべり防止工事が国土の保全上特に重要なものであると認められるときは、都道府県知事に代つて自ら当該地すべり防止工事を施行することができる。この場合においては、主務大臣は、あらかじめ当該都道府県知事の意見をきかなければならない。
一  地すべり防止工事の規模が著しく大であるとき。
二  地すべり防止工事が高度の技術を必要とするとき。
三  地すべり防止工事が高度の機械力を使用して実施する必要があるとき。
四  地すべり防止工事が都府県の区域の境界に係るとき。
2  主務大臣は、前項の規定により地すべり防止工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、都道府県知事に代つてその権限を行うものとする。
3  主務大臣は、第一項の規定により地すべり防止工事を施行する場合においては、主務省令で定めるところにより、その旨を告示しなければならない。

築造等の基準(第十二条)
地すべり防止施設の種類、配置、構造及び規模並びに水流の付替、地すべり地塊の除去その他地すべりの防止のための工事は、当該地すべり防止区域における地すべりの原因、機構及び規模に応じて、有効かつ適切なものとしなければならない。
2  地すべり防止施設は、次の各号に定めるところにより築造しなければならない。
一  排水施設は、次に掲げるところにより、地すべりの原因となるべき地表水及び地下水をすみやかに地すべり防止区域から排除することができるものであること。
イ 地表水の排除については、明渠、管渠、暗渠、導水管又は排水トンネルを用いること。
ロ 地下水の排除については、暗渠、ボーリング排水孔、排水トンネル、集水井戸、地下止水壁、明渠、管渠又は導水管を用いること。
二  擁壁、くい及び土留は、地すべり力に対して安全な構造のものであること。
三  ダム、床固、護岸、導流堤及び水制は、特に地すべりの規模及び流水による浸食の防止に適合するものであること。

●行為の制限(第十八条)
地すべり防止区域内において、次の各号の一に該当する行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
一  地下水を誘致し、又は停滞させる行為で地下水を増加させるもの、地下水の排水施設の機能を阻害する行為その他地下水の排除を阻害する行為(政令で定める軽微な行為を除く。)
二  地表水を放流し、又は停滞させる行為その他地表水のしん透を助長する行為(政令で定める軽微な行為を除く。)
三  のり切又は切土で政令で定めるもの
四  ため池、用排水路その他の地すべり防止施設以外の施設又は工作物で政令で定めるもの(以下「他の施設等」という。)の新築又は改良
五  前各号に掲げるもののほか、地すべりの防止を阻害し、又は地すべりを助長し、若しくは誘発する行為で政令で定めるもの
2  都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、当該許可の申請に係る行為が地すべりの防止を著しく阻害し、又は地すべりを著しく助長するものであると認めるときは、これを許可してはならない。
3  都道府県知事は、第一項の許可に、地すべりを防止するため必要な条件を附することができる。

●立退の指示(第二十五条)
都道府県知事又はその命を受けた吏員は、地すべりにより著しい危険が切迫していると認められるときは、必要と認める区域内の居住者に対し避難のために立ち退くべきことを指示することができる。この場合においては、都道府県知事又はその命を受けた吏員は、直ちに、当該区域を管轄する警察署長にその旨を通知しなければならない。

●地すべり防止区域の管理に要する費用の負担原則(第二十七条)
地すべり防止工事の施行及び標識の設置その他地すべり防止区域の管理に要する費用は、この法律及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、当該地すべり防止区域を管理する都道府県知事の統括する都道府県の負担とする。

●主務大臣の直轄工事に要する費用の負担(第二十八条)
第十条第一項の規定により主務大臣が施行する地すべり防止工事で、渓流(山間部におけるその直下流を含む。以下同じ。)において施行するもの及びこれと一体となつて直接渓流に土砂を排出することを防止するために施行するものに要する費用は、国がその三分の二を、都道府県がその三分の一を負担する。
2  第十条第一項の規定により主務大臣が施行する地すべり防止工事で前項に規定するもの以外のものに要する費用は、国及び都道府県がそれぞれその二分の一を負担する。
3  前二項の場合において、当該地すべり防止工事によつて他の都府県も著しく利益を受けるときは、主務大臣は、政令で定めるところにより、その利益を受ける限度において、当該地すべり防止区域を管理する都府県知事の統括する都府県の負担すべき負担金の一部を著しく利益を受ける他の都府県に分担させることができる。
4  前項の規定により著しく利益を受ける他の都府県に負担金の一部を分担させようとする場合においては、主務大臣は、あらかじめ当該都府県の意見をきかなければならない。


●都道府県知事の施行する地方すべり防止工事に要する費用の一部負担(第二十九条)
国は、政令で定めるところにより、都道府県知事の施行する地すべり防止工事に要する費用の二分の一を負担する。ただし、渓流において施行する地すべり防止工事及びこれと一体となつて直接渓流に土砂を排出することを防止するために施行する地すべり防止工事については、当該地すべり防止工事が災害による土砂の崩壊等の危険な状況に対処するために施行する緊急地すべり対策事業に係るものであるときは三分の二を、当該地すべり防止工事が再度災害を防止するために施行するものであつて災害による土砂の崩壊等の危険な状況に対処するために施行する緊急地すべり対策事業に係るもの以外のものであるときは十分の五・五を国の負担割合とする。

●受益都府県の分担金(第三十条)
都府県知事の施行する地すべり防止工事によつて他の都府県も著しく利益を受けるときは、当該都府県知事は、政令で定めるところにより、他の都府県の知事と協議して、他の都府県の利益を受ける限度において、当該都府県知事の統括する都府県の負担すべき負担金の一部を著しく利益を受ける他の都府県に分担させることができる。

●市町村の分担金(第三十一条)
前四条の規定により都道府県が負担する費用のうち、その地すべり防止工事又は地すべり防止施設の維持が当該都道府県の区域内の市町村を利するものについては、当該工事又は維持による受益の限度において、当該市町村に対し、その工事又は維持に要する費用の一部を分担させることができる。
2  前項の費用について同項の規定により市町村が分担すべき金額は、当該市町村の意見をきいた上、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない。

●受益者負担金(第三十六条)
都道府県知事は、その施行する地すべり防止工事によつて著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる。
2  前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲及びその徴収方法については、当該都道府県知事の統括する都道府県の条例で定める。


●主務大臣等(第五十一条)
地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域の指定及び管理についての主務大臣は、次のとおりとする。
一  砂防法第二条の規定により指定された土地(これに準ずべき土地を含む。)の存する地すべり地域又はぼた山に関しては、国土交通大臣
二  森林法第二十五条第一項若しくは第二十五条の二第一項若しくは第二項(同法第二十五条の二第一項後段又は第二項後段において準用する同法第二十五条第二項を除く。)の規定により指定された保安林(これに準ずべき森林を含む。)又は同法第四十一条の規定により指定された保安施設地区(これに準ずべき森林又は原野その他の土地を含む。)の存する地すべり地域又はぼた山に関して、農林水産大臣
三  前二号に該当しない地すべり地域又はぼた山のうち、
イ 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第二項に規定する土地改良事業が施行されている地域又は同法の規定により土地改良事業計画の決定されている地域(これらの地域に準ずべき地域を含む。)の存する地すべり地域又はぼた山に関しては、農林水産大臣
ロ イに該当しない地すべり地域又はぼた山に関しては、国土交通大臣
2  地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域の指定は、関係主務大臣が相互に協議してしなければならない。
3  この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

●主務大臣等(第五十一条)
地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域の指定及び管理についての主務大臣は、次のとおりとする。
一  砂防法第二条の規定により指定された土地(これに準ずべき土地を含む。)の存する地すべり地域又はぼた山に関しては、国土交通大臣
二  森林法第二十五条第一項若しくは第二十五条の二第一項若しくは第二項(同法第二十五条の二第一項後段又は第二項後段において準用する同法第二十五条第二項を除く。)の規定により指定された保安林(これに準ずべき森林を含む。)又は同法第四十一条の規定により指定された保安施設地区(これに準ずべき森林又は原野その他の土地を含む。)の存する地すべり地域又はぼた山に関して、農林水産大臣
三  前二号に該当しない地すべり地域又はぼた山のうち、
イ 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第二項に規定する土地改良事業が施行されている地域又は同法の規定により土地改良事業計画の決定されている地域(これらの地域に準ずべき地域を含む。)の存する地すべり地域又はぼた山に関しては、農林水産大臣
ロ イに該当しない地すべり地域又はぼた山に関しては、国土交通大臣
2  地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域の指定は、関係主務大臣が相互に協議してしなければならない。
3  この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

●罰則(第五十二条)
第十八条第一項又は第四十二条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

●罰則(第五十三条)
次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一  第六条第七項(第十六条第二項又は第四十五条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して土地の立入若しくは一時使用を拒み、又は妨げた者
二  第二十二条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
三  第二十二条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

●両罰規定(第五十五条)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し、第五十二条又は第五十三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。




5-5 砂防法(明治三十年法律第二十九号)
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砂防法設備(第一条)
此ノ法律ニ於テ砂防設備ト称スルハ国土交通大臣ノ指定シタル土地ニ於テ治水上砂防ノ為施設スルモノヲ謂ヒ砂防工事ト称スルハ砂防設備ノ為ニ施行スル作業ヲ謂フ



5-6 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)
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5-7 河川法(昭和三十九年七月十日法律第百六十七号)
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5-8 地震防災対策特別措置法(平成七年六月十六日法律第百十一号)
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目的(第一条)
この法律は、地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災緊急事業五箇年計画の作成及びこれに基づく事業に係る国の財政上の特別措置について定めるとともに、地震に関する調査研究の推進のための体制の整備等について定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

地震防災緊急事業五箇年計画の作成等(第二条)
都道府県知事は、人口及び産業の集積等の社会的条件、地勢等の自然的条件等を総合的に勘案して、地震により著しい被害が生ずるおそれがあると認められる地区について、災害対策基本法 (昭和三十六年法律第二百二十三号)第四十条 に規定する都道府県地域防災計画に定められた事項のうち、地震防災上緊急に整備すべき施設等に関するものについて平成八年度以降の年度を初年度とする五箇年間の計画(以下「地震防災緊急事業五箇年計画」という。)を作成することができる。
 2  都道府県知事は、地震防災緊急事業五箇年計画を作成しようとするときは、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
 3  都道府県知事は、地震防災緊急事業五箇年計画を作成しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。この場合において、内閣総理大臣は、同意をしようとするときは、関係行政機関の長の意見を聴かなければならない。
 4  前三項の規定は、地震防災緊急事業五箇年計画を変更する場合について準用する。

●地震防災緊急事業五箇年計画の内容(第三条)
地震防災緊急事業五箇年計画は、次に掲げる施設等の整備等であって、当該施設等に関する主務大臣の定める基準に適合するものに関する事項について定めるものとする。
 一  避難地
 二  避難路
 三  消防用施設
 四  消防活動が困難である区域の解消に資する道路
 五  緊急輸送を確保するため必要な道路、交通管制施設、ヘリポート、港湾施設(港湾法 (昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第五項第二号 の外郭施設、同項第三号 の係留施設及び同項第四号 の臨港交通施設に限る。)又は漁港施設(漁港法 (昭和二十五年法律第百三十七号)第三条第一号 イの外郭施設、同号 ロの係留施設及び同条第二号 イの輸送施設に限る。)
 六  共同溝、電線共同溝等の電線、水管等の公益物件を収容するための施設
 七  医療法 (昭和二十三年法律第二百五号)第三十一条 に規定する公的医療機関その他政令で定める医療機関のうち、地震防災上改築又は補強を要するもの
 八  社会福祉施設のうち、地震防災上改築又は補強を要するもの
 九  公立の小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程のうち、地震防災上改築又は補強を要するもの
 十  公立の盲学校、ろう学校又は養護学校のうち、地震防災上改築又は補強を要するもの
 十一  第七号から前号までに掲げるもののほか、不特定かつ多数の者が利用する公的建造物のうち、地震防災上補強を要するもの
 十二  津波により生ずる被害の発生を防止し、又は軽減することにより円滑な避難を確保するため必要な海岸法 (昭和三十一年法律第百一号)第二条第一項 に規定する海岸保全施設又は河川法 (昭和三十九年法律第百六十七号)第三条第二項 に規定する河川管理施設
 十三  砂防法 (明治三十年法律第二十九号)第一条 に規定する砂防設備、森林法 (昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十一条 に規定する保安施設事業に係る保安施設、地すべり等防止法 (昭和三十三年法律第三十号)第二条第三項 に規定する地すべり防止施設、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律 (昭和四十四年法律第五十七号)第二条第二項 に規定する急傾斜地崩壊防止施設又は土地改良法 (昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第二項第一号 に規定する農業用用排水施設であるため池で、家屋の密集している地域の地震防災上必要なもの
 十四  地震災害時において災害応急対策の拠点として機能する地域防災拠点施設
 十五  地震災害時において迅速かつ的確な被害状況の把握及び住民に対する災害情報の伝達を行うために必要な防災行政無線設備その他の施設又は設備
 十六  地震災害時における飲料水、電源等の確保等により被災者の安全を確保するために必要な井戸、貯水槽、水泳プール、自家発電設備その他の施設又は設備
 十七  地震災害時において必要となる非常用食糧、救助用資機材等の物資の備蓄倉庫
 十八  負傷者を一時的に収容及び保護するための救護設備等地震災害時における応急的な措置に必要な設備又は資機材
 十九  老朽住宅密集市街地に係る地震防災対策
 二十  前各号に掲げるもののほか、地震防災上緊急に整備すべき施設等であって政令で定めるもの
 2  地震防災緊急事業五箇年計画に定める事業のうち、市町村が実施する事業については、災害対策基本法第四十二条 に規定する市町村地域防災計画に定められたものでなければならない。



5-9  災害対策基本法
 詳細は、全文をご覧ください。

第1章 総則

目的(第1条)
この法律は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

定義(第2条)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1.災害
暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。

2.防災
災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。

3.指定行政機関次に掲げる機関で内閣総理大臣が指定するものをいう。
イ 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第1項及び第2項に規定する機関並びに国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項に規定する機関
ロ 内閣府設置法第37条及び第54条並びに宮内庁法(昭和22年法律第70号)第16条第1項並びに国家行政組織法第8条に規定する機関
ハ 内閣府設置法第39条及び第55条並びに宮内庁法第16条第2項並びに国家行政組織法第8条の2に規定する機関
ニ 内閣府設置法第40条及び第56条並びに国家行政組織法第8条の3に規定する機関
4.指定地方行政機関
指定行政機関の地方支分部局(内閣府設置法第43条及び第57条(宮内庁法第18条第1項において準用する場合を含む。)並びに宮内庁法第17条第1項並びに国家行政組織法第9条の地方支分部局をいう。)その他の国の地方行政機関で、内閣総理大臣が指定するものをいう。

5.指定公共機関
独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)、日本銀行、日本赤十字社、日本放送境界その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、内閣総理大臣が指定するものをいう。

6.指定地方公共機関
港湾法(昭和25年法律第218号)第4条第1項の港湾局、土地改良法(昭和24年法律第195号)第5条第1項の土地改良区その他の公共的施設の管理者及び都道府県の地域において電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、当該都道府県の知事が指定するものをいう。

7.防災計画
防災基本計画及び防災業務計画並びに地域防災計画をいう。

8.防災基本計画
中央防災会議が作成する防災に関する基本的な計画をいう。

9.防災業務計画
指定行政機関の長(当該指定行政機関が内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項の委員会若しくは第3号ロに掲げる機関又は同号ニに掲げる機関のうち合議制のものである場合にあつては、当該指定行政機関。第12条第8項、第28条の3第6項第3号及び第28条の6第2項を除き、以下同じ。)又は指定公共機関(指定行政機関の長又は指定公共機関から委任された事務又は業務については、当該委任を受けた指定地方行政機関の長又は指定地方公共機関)が防災基本計画に基づきその所掌事務又は業務について作成する防災に関する計画をいう。

10.地域防災計画
一定地域に係る防災に関する計画で、次に掲げるものをいう。

イ 都道府県地域防災計画
都道府県の地域につき、当該都道府県の都道府県防災会議が作成するもの

ロ 市町村地域防災計画市町村の地域につき、当該市町村の市町村防災会議又は市町村長が作成するもの
ハ 都道府県相互間地域防災計画
2以上の都道府県の区域の全部又は一部にわたる地域につき、都道府県防災会議の協議会が作成するもの

ニ 市町村相互間地域防災計画
2以上の市町村の区域の全部又は一部にわたる地域につき、市町村防災会議の協議会が作成するもの


国の責務(第3条)
国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。
 国は、前項の責務を遂行するため、災害予防、災害応急対策及び災害復旧の基本となるべき計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関等が処理する防災に関する事務又は業務の実施の推進とその総合調整を行ない、及び災害に係る経費負担の適正化を図らなければならない。
 指定行政機関及び指定地方行政機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第1項に規定する国の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、この法律の規定による都道府県及び市町村の地域防災計画の作成及び実施が円滑に行なわれるように、その所掌事務について、当該都道府県又は市町村に対し、勧告し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらなければならない。

都道府県の責務(第4条)
都道府県は、当該都道府県の地域並びに当該都道府県の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該都道府県の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、その区域内の市町村及び指定地方公共機関が処理する防災に関する事務又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行なう責務を有する。
 都道府県の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、前項に規定する都道府県の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。

市町村の責務(第5条)
市町村は、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施する責務を有する。
 市町村長は、前項の責務を遂行するため、消防機関、水防団等の組織の整備並びに当該市町村の区域内の公共的団体等の防災に関する組織及び住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織(第8条第2項において「自主防災組織」という。)の充実を図り、市町村の有するすべての機能を十分に発揮するように努めなければならない。
 消防機関、水防団その他市町村の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第1項に規定する市町村の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。

住民等の責務(第7条)
地方公共団体の区域内の公共的団体、防災上重要な施設の管理者その他法令の規定による防災に関する責務を有する者は、法令又は地域防災計画の定めるところにより、誠実にその責務を果たさなければならない。
 前項に規定するもののほか、地方公共団体の住民は、自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、自発的な防災活動に参加する等防災に寄与するように努めなければならない。

施策における防災上の配慮等(第8条)
国及び地方公共団体は、その施策が、直接的なものであると間接的なものであるとを問わず、一体として国土並びに国民の生命、身体及び財産の災害をなくすることに寄与することとなるように意を用いなければならない。
 国及び地方公共団体は、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止するため、特に次に掲げる事項の実施に努めなければならない。
1.災害及び災害の防止に関する科学的研究とその成果の実現に関する事項
2.治山、治水その他の国土の保全に関する事項
3.建物の不燃堅牢化その他都市の防災構造の改善に関する事項
4.交通、情報通信等の都市機能の集積に対応する防災対策に関する事項
5.陀災上必要な気象、地象及び水象の観測、予報、情報その他の業務に関する施設及び組織並びに防災上必要な通信に関する施設及び組織の整備に関する事項
6.災害の予報及び警報の改善に関する事項
7.地震予知情報(大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)第2条第2号の地震予知情報をいう。)を周知させるための方法の改善に関する事項
8.気象観測網の充実についての国際的協力に関する事項
9.台風に対する人為的調節その他防災上必要な研究、観測及び情報交換についての国際的協力に関する事項
10.火山現象等による長期的災害に対する対策に関する事項
11.水防、消防、救助その他災害応急措置に関する施設及び組織の整備に関する事項
12.地方公共団体の相互応援に関する協定の締結に関する事項
13.自主防災組織の育成、ボランティアによる防災活動の環境の整備その他国民の自発的な防災活動の促進に関する事項
14.高齢者、障害者、乳幼児等特に配慮を要する者に対する防災上必要な措置に関する事項
15.海外からの防災に関する支援の受入れに関する事項
16.被災者に対する的確な情報提供に関する事項
17.防災上必要な教育及び訓練に関する事項
18.防災思想の普及に関する事項
 国及び地方公共団体は、災害が発生したときは、すみやかに、施設の復旧と被災者の援護を図り、災害からの復興に努めなければならない。

第二章 防災に関する組織

第一節 中央防災会議

●中央防災会議の設置及び所掌事務(第11条)
内閣府に、中央防災会議を置く。
 中央防災会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
1.防災基本計画を作成し、及びその実施を推進すること。
2.非常災害に際し、緊急措置に関する計画を作成し、及びその実施を推進すること。
3.内閣総理大臣の諮問に応じて防災に関する重要事項を審議すること。
4.前号に規定する重要事項に関し、内閣総理大臣に意見を述べること。5.内閣府設置法第9条第1項に規定する特命担当大臣(同項の規定により命を受けて同法第4条第1項第7号又は第8号に掲げる事項に関する事務及びこれに関連する同条第3項に規定する事務を掌理するものに限る。以下「防災担当大臣」という。)がその掌理する事務について行う諮問に応じて防災に関する重要事項を審議すること。
6.防災担当大臣が命を受けて掌理する事務に係る前号の重要事項に関し、当該防災担当大臣に意見を述べること。
7.前各号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務
 前項第5号の防災担当大臣の諮問に応じて中央防災会議が行う答申は、当該諮問事項に係る事務を掌理する防災担当大臣に対し行うものとし、当該防災担当大臣が置かれていないときは、内閣総理大臣に対し行うものとする。
 内閣総理大臣は、次に掲げる事項については、中央防災会議に諮問しなければならない。
1.防災の基本方針
2.防災に関する施策の総合調整で重要なもの
3.非常災害に際し一時的に必要とする緊急措置の大綱
4.災害緊急事態の布告
5.その他内閣総理大臣が必要と認める防災に関する重要事項

●中央防災会議の組織(第12条)
中央防災会議は、会長及び委員をもって組織する。
 会長は、内閣総理大臣をもつて充てる。
 会長は、会務を総理する。
 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。 委員は、次に掲げる者をもつて充てる。
1.防災担当大臣
2.防災担当大臣以外の国務大臣、指定公共機関の代表者及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する者
 中央防災会議に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。
 専門委員は、関係行政機関及び指定公共機関の職員並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
 中央防災会議に、幹事を置き、内閣官房の職員又は指定行政機関の長(国務大臣を除く。)若しくはその職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
 幹事は、中央防災会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。
10 前各項に定めるもののほか、中央防災会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

●関係行政機関等に対する協力要求等(第13条)

中央防災会議は、その所掌事務に関し、関係行政機関の長及び関係地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関並びにその他の関係者に対し、資料の提出、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。
 中央防災会議は、その所掌事務の遂行について、地方防災会議(都道府県防災会議又は市町村防災会議をいう。以下同じ。)又は地方防災会議の協議会(都道府県防災会議の協議会又は市町村防災会議の協議会をいう。以下同じ。)に対し、必要な勧告をすることができる。

第二節 地方防災会議

●地方防災会議(第14条)

都道府県に、都道府県防災会議を置く。
 都道府県防災会議は、次の各号に掲げる事務をつかさどる。
1.都道府県地域防災計画を作成し、及びその実施を推進すること。
2.当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害に関する情報を収集すること。3.当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害に係る災害応急対策及び災害復旧に関し、当該都道府県並びに関係指定地方行政機関、関係市町村、関係指定公共機関及び関係指定地方公共機関相互間の連絡調整を図ること。
4.非常災害に際し、緊急措置に関する計画を作成し、かつ、その実施を推進すること。
5.前各号に掲げるもののほか、法律又はこれに基づく政令によりその権限に属する事務

市町村防災会議(第16条)
市町村に、当該市町村の地域に係る地域防災計画の作成及びその実施の推進のため、市町村防災会議を置く。
 前項に規定するもののほか、市町村は、協議により規約を定め、共同して市町村防災会議を設置することができる。
 市町村は、前項の規定により市町対防災会議を共同して設置したときその他市町村防災会議を設置することが不適当又は困難であるときは、第1項の規定にかかわらず、市町村防災会議を設置しないことができる。
 市町村は、前項の規定により市町村防災会議を設置しないこととするとき(第2項の規定により市町村防災会議を共同して設置したときを除く。)は、都道府県知事に協議しなければならない。
 都道府県知事は、前項の規定による協議に際しては、当該都道府県防災会議の意見を聴かなければならない。
 市町村防災会議の組織及び所掌事務は、都道府県防災会議の組織及び所掌事務の例に準じて、当該市町村の条例(第2項の規定により設置された市町村防災会議にあつては、規約)で定める。

●災害対策本部(第23条)

都道府県又は市町村の地域について災害か発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、防災の推進を図るため必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長は、都道府県地域防災計画又は市町村地域防災計画の定めるところにより、災害対策本部を設置することができる。
 災害対策本部の長は、災害対策本部長とし、都道府県知事又は市町村長をもつて充てる。
 災害対策本部に、災害対策副本部長、災害対策本部員その他の職員を置き、当該都道府県又は市町村の職員のうちから、当該都道府県の知事又は当該市町村の市町村長が任命する。
 災害対策本部は、地方防災会議と緊密な連絡のもとに、当該都道府県地域防災計画又は市町村地域防災計画の定めるところにより、当該都道府県又は市町村の地域に係る災害予防及び災害応急対策を実施するものとする。
 都道府県知事又は市町村長は、都道府県地域防災計画又は市町村地域防策計画の定めるところにより、災害対策本部に、災害地にあつて当該災害対策本部の事務の一部を行う組織として、現地災害対策本部を置くことができる。
 都道府県の災害対策本部長は当該都道府県警察又は当該都道府県の教育委員会に対し、市町村の災害対策本部長は当該市町村の教育委員会に対し、それぞれ当該都道府県又は市町村の地域に係る災害予防又は災害応急対策を実施するため必要な限度において、必要な指示をすることができる。
 前各項に規定するもののほか、災害対策本部に関し必要な事項は、都道府県又は市町村の条例で定める。

第三節 非常災害対策本部及び緊急災害対策本部

●非常災害対策本部(第24条)

非常災害が発生した場合において、当該災害の規模その他の状況により当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法第40条第2項の規定にかかわらず、臨時に内閣府に非常災害対策本部を設置することができる。

●緊急災害対策本部(第28条の2)

著しく異常かつ激甚な非常災害が発生した場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法第40条第2項の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に内閣府に緊急災告対策本部を設置することができる。

第四節 災害時における職員の派遣

●災害時における職員の派遣(第29条)
都道府県知事又は都道府県の委員会若しくは委員(以下「都道府県知事等」という。)は、災害応急対策又は災害復旧のため必要があるときは、政令で定めるところにより、指定行政機関の長、指定地方行政機関の長又は指定公共機関(独立行政法人通則法第2条第2項に規定する特定独立行政法人に限る。以下この節において同じ。)に対し、当該指定行政機関指定地方行政機関又は指定公共機関の職員の派遣を要請することができる。
 市町村長又は市町村の委員会若しくは委員(以下「市町村長等」という。)は、災害応急対策又は災害復旧のため必要があるときは、政令で定めるところにより、指定地方行政機関の長又は指定公共機関(その業務の内容その他の事情を勘案して市町村の地域に係る災害応急対策又は災害復旧に特に寄与するものとしてそれぞれ地域を限つて内閣総理大臣が指定するものに限る。次条において「特定公共機関」という。)に対し、当該指定地方行政機関又は指定公共機関の職員の派遣を要請することができる。

●職員の派遣のあっせん(第30条)

都道府県知事等又は市町村長等は、災害応急対策又は災害復旧のため必要があるときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣又は都道府県知事に対し、それぞれ、指定行政機関、指定地方行政機関若しくは指定公共機関又は指定地方行政機関若しくは特定公共機関の職員の派遣についてあつせんを求めることができる。
 都道府県知事等又は市町村長等は、災害応急対策又は災害復旧のため必要があるときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣又は都道府県知事に対し、地方自治法第252条の17の規定による職員の派遣についてあつせんを求めることができる。
 前条第3項の規定は、前2項の規定によりあつせんを求めようとする場合について準用する。

第三章 防災計画

●防災基本計画の作成及び公表(第34条)

中央防空会議は、防災基本計画を作成するとともに、災害及び災害の防止に関する科学的研究の成果並びに発生した災害の状況及びこれに対して行なわれた災害応急対策の効果を勘案して毎年防災基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
 中央防災会議は、前項の規定により防災基本計画を作成し、又は修正したときは、すみやかにこれを内閣総理大臣に報告し、並びに指定行政機関の長、都道府県知事及び指定公共機関に通知するとともに、その要旨を公表しなければならない。

●指定公共機関の防災業務計画(第39条)
指定公共機関は、防災基本計画に基づき、その業務に関し、防災業務計画を作成し、政び毎年防災業務計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
 指定公共機関は、前項の規定により防災業務計画を作成し、又は修正したときは、速やかに当該指定公共機関を所管する大臣を経由して内閣総理大臣に報告し、及び関係都道府県知事に通知するとともに、その要旨を公表しなければならない。

●都道府県地域防災計画(第40条)
都道府県防災会議は、防災基本計画に基づき、当該都道府県の地域に係る都道府県地域防災計画を作成し、及び毎年都道府県地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
この場合において、当該都道府県地域防災計画は、防災業務計画に抵触するものであつてはならない。

 都道府県地域防災計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
1.当該都道府県の地域に係る防災に関し、当該都道府県の区域の全部又は一部を管轄する指定地方行政機関、当該都道府県、当該都道府県の区域内の市町村、指定公共機関、指定地方公共機関及び当該都道府県の区域内の公共的団体その他防災上重要な施設の管理者の処理すべき事務又は業務の大綱
2.当該都道府県の地域に係る防災施設の新設又は改良、防災のための調査研究、教育及び訓練その他の災害予防、情報の収集及び伝達、災害に関する予報又は警報の発令及び伝達、避難、消火、水防、救難、救助、衛生その他の災害応急対策並びに災害復旧に関する事項別の計画
3.当該都道府県の地域に係る災害に関する前号に掲げる措置に要する労務、施設、設備、物資、資金等の整備、備蓄、調達、配分、輸送、通信等に関する計画
4.前各号に掲げるもののほか、当該都道府県の地域に係る防災に関し都道府県防災会議が必要と認める事項
 都道府県防災会議は、第1項の規定により都道府県地域防災計画を作成し、又は修正しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。この場合において、内閣総理大臣は、中央防災会議の意見をきかなければならない。
 都道府県防災会議は、第1項の規定により都道府県地域防災計画を作成し、又は修正したときは、その要旨を公表しなければならない。

●市町村地域防災計画(第42条)

市町村防災会議(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長。以下この条において同じ。)は、防災基本計画に基づき、当該市町村の地域に係る市町村地域防災計画を作成し、及び毎年市町村地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。この場合において、当該市町村地域防災計画は、防災業務計画又は当該市町村を包括する都道府県の都道府県地域防災計画に抵触するものであつてはならない。
 市町村地域防災計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
1.当該市町村の地域に係る防災に関し、当該市町村及び当該市町村の区域内の公共的団体その他防災上重要な施設の管理者の処理すべき事務又は業務の大綱
2.当該市町村の地域に係る防災施設の新設又は改良、防災のための調査研究、教育及び訓練その他の災害予防、情報の収集及び伝達、災害に関する予報又は警報の発令及び伝達、避難、消火、水防、救難、救助、衛生その他の災害応急対策並びに災害復旧に関する事項別の計画
3.当該市町村の地域に係る災害に関する前号に得げる措置に要する労務、施設、設備、物資、資金等の整備、備蓄、調達、配分、輸送、通信等に関する計画
4.前各号に掲げるもののほか、当該市町村の地域に係る防災に関し市町村防災会議が必要と認める事項
 市町村防災会議は、第1項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。この場合において、都道府県知事は、都道府県防災会議の意見をきかなければならない。
 市町村防災会議は、第1項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正したときは、その要旨を公表しなければならない。
 第21条の規定は、市町村長が第1項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正する場合について準用する。

第四章 災害予防

●災害予防及びその実施責任(第46条)

災害予防は、次の各号に掲げる事項について、災害の発生を未然に防止する等のために行なうものとする。
1.防災に関する組織の整備に関する事項
2.防災に関する訓練に関する事項
3.防災に関する物資及び資材の備蓄、整備及び点検に関する事項
4.防災に関する施設及び設備の整備及び点検に関する事項
5.前各号に掲げるもののほか、災害が発生した場合における災害応急対策の実施の支障となるべき状態等の改善に関する事項
 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関その他法令の規定により災害予防の実施について責任を有する者は、法令又は防災計画の定めるところにより、災害予防を実施しなければならない。

●防災に関する組織の整備義務(第47条)
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関、公共的団体並びに防災上重要な施設の管理者(以下この章において「災害予防責任者」という。)は、法令又は防災計画の定めるところにより、それぞれ、その所掌事務又は業務について、災害を予測し、予報し、又は災害に関する情報を迅速に伝達するため必要な組織を整備するとともに、絶えずその改善に努めなければならない。
 前項に規定するもののほか、災害予防責任者は、法令又は防災計画の定めるところにより、それぞれ、防災業務計画又は地域防災計画を的確かつ円滑に実施するため、防災に関する組織を整備するとともに、防災に関する事務又は業務に従事する職員の配置及び服務の基準を定めなければならない。

●防災訓練義務(第48条)
災害予防責任者は、法令又は防災計画の定めるところにより、それぞれ又は他の災害予防責任者と共同して、防災訓練を行なわなければならない。
 都道府県公安委員会は、前項の防災訓練の効果的な実施を図るため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該防災訓練の実施に必要な限度で、区域又は道路の区間を指定して、歩行者又は車両の道路における通行を禁止し、又は制限することができる。
 災害予防責任者の属する機関の職員その他の従業員又は災害予防責任者の使用人その他の従業者は、防災計画及び災害予防責任者の定めるところにより、第1項の防災訓練に参加しなければならない。
 災害予防責任者は、第1項の防災訓練を行おうとするときは、住民その他関係のある公私の団体に協力を求めることができる。

防災に必要な物資及び資材の整備等の義務(第49条)
災害予防責任者は、法令又は防災計画の定めるところにより、その所掌事務又は業務に係る災害応急対策又は災害復旧に必要な物資及び資材を備蓄し、整備し、若しくは点検し、又はその管理に属する防災に関する施設及び設備を整備し、若しくは点検しなければならない。

第五章 災害応急対策

第一節 通則

災害応急対策及び実施責任(第50条)
災害応急対策は、次の各号に掲げる事項について、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に災害の発生を防禦し、又は応急的救助を行なう等災害の拡大を防止するために行なうものとする。
1.警報の発令及び伝達並びに避難の勧告又は指示に関する事項
2.消防、水防その他の応急措置に関する事項
3.被災者の救難、救助その他保護に関する事項
4.災害を受けた児童及び生徒の応急の教育に関する事項
5.施設及び設備の応急の復旧に関する事項
6.清掃、防疫その他の保健衛生に関する事項
7.犯罪の予防、交通の規制その他災害地における社会秩序の維持に関する事項
8.緊急輸送の確保に関する事項
9.前各号に掲げるもののほか、災害の発生の防禦又は拡大の防止のための措置に関する事項
 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関その他法令の規定により災害応急対策の実施の責任を有する者は、法令又は防災計画の定めるところにより、災害応急対策を実施しなければならない。

●情報の収集及び伝達(第51条)
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関、公共的団体並びに防災上重要な施設の管理者(以下第58条において「災害応急対策責任者」という。)は、法令又は防災計画の定めるところにより、災害に関する情報の収集及び伝達に努めなければならない。

●防災信号(第52条)
市町村長が災害に関する警報の発令及び伝達、警告並びに避難の勧告及び指示のため使用する防災に関する信号の種類、内容及び様式又は方法については、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか、内閣府令で定める。
 何人も、みだりに前項の信号又はこれに類似する信号を使用してはならない。

●被害状況等の報告(第53条)
市町村は、当該市町村の区域内に災害が発生したときは、政令で定めるところにより、速やかに、当該災害の状況及びこれに対して執られた措置の概要を都道府県(都道府県に報告ができない場合にあつては、内閣総理大臣)に報告しなければならない。
 都道府県は、当該都道府県の区域内に災害が発生したときは、政令で定めるところにより、速やかに、当該災害の状況及びこれに対して執られた措置の概要を内閣総理大臣に報告しなければならない。
 指定公共機関の代表者は、その業務に係る災害が発生したときは、政令で定めるところにより、すみやかに、当該災害の状況及びこれに対してとられた措置の概要を内閣総理大臣に報告しなければならない。
 指定行政機関の長は、その所掌事務に係る災害が発生したときは、政令で定めるところにより、すみやかに、当該災害の状況及びこれに対してとられた措置の概要を内閣総理大臣に報告しなければならない。
 第1項から前項までの規定による報告に係る災害が非常災害であると認められるときは、市町村、都道府県、指定公共機関の代表者又は指定行政機関の長は、当該非常災害の規模の把握のため必要な情報の収集に特に意を用いなければならない。
 内閣総理大臣は、第1項から第4項までの規定による報告を受けたときは、当該報告に係る事項を中央防災会議に通報するものとする。

第二節 警報の伝達等

●発見者の通報義務等(第54条)
災害が発生するおそれがある異常な現象を発見した者は、遅滞なく、その旨を市町村長又は警察官若しくは海上保安官に通報しなければならない。
 何人も、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。
 第1項の通報を受けた警察官又は海上保安官は、その旨をすみやかに市町村長に通報しなければならない。
 第1項又は前項の通報を受けた市町村長は、地域防災計画の定めるところにより、その旨を気象庁その他の関係機関に通報しなければならない。

●都道府県知事の通知等(第55条)
都道府県知事は、法令の規定により、気象庁その他の国の機関から災害に関する予報若しくは警報の通知を受けたとき、又は自ら災害に関する警報をしたときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、予想される災害の事態及びこれに対してとるべき措置について、関係指定地方行政機関の長、指定地方公共機関、市町村長その他の関係者に対し、必要な通知又は要請をするものとする。

●市町村長の警報の伝達及び警告(第56条)
市町村長は、法令の規定により災害に関する予報若しくは警報の通知を受けたとき、自ら災害に関する予報若しくは警報を知つたとき、法令の規定により自ら災害に関する警報をしたとき、又は前条の通知を受けたときは、地域防災計画の定めるところにより、当該予報若しくは警報又は通知に係る事項を関係機関及び住民その他関係のある公私の団体に伝達しなければならない。この場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、住民その他関係のある公私の団体に対し、予想される災害の事態及びこれに対してとるべき措置について、必要な通知又は警告をすることができる。


第3節 事前措置及び避難

市町村長の出動命令等(第58条)
市町村長は、災害が発生するおそれがあるときは、法令又は市町村地域防災計画の定めるところにより、消防機関若しくは水防団に出動の準備をさせ、若しくは出動を命じ、又は警察官若しくは海上保安官の出動を求める等災害応急対策責任者に対し、応急措置の実施に必要な準備をすることを要請し、若しくは求めなければならない。

市町村長の事前措置等(第59条)
市町村長は、災害が発生するおそれがあるときは、災害が発生した場合においてその災害を拡大させるおそれがあると認められる設備又は物件の占有者、所有者又は管理者に対し、災害の拡大を防止するため必要な限度において、当該設備又は物件の除去、保安その他必要な措置をとることを指示することができる。
 警察署長又は政令で定める管区海上保安本部の事務所の長(以下この項、第64条及び第66条において「警察署長等」という。)は、市町村長から要求があつたときは、前項に規定する指示を行なうことができる。この場合において、同項に規定する指示を行なつたときは、警察署長等は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。

市町村長の避難の指示等(第60条)

災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退きを勧告し、及び急を要すると認めるときは、これらの者に対し、避難のための立退きを指示することができる。
 前項の規定により避難のための立退きを勧告し、又は指示する場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、その立退き先を指示することができる。
 市町村長は、第1項の規定により避難のための立退きを勧告し、若しくは指示し、又は立退き先を指示したときは、すみやかに、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
 市町村長は、避難の必要がなくなつたときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。前項の規定は、この場合について準用する。
 都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の発生により市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなつたときは、当該市町村の市町村長が第1項、第2項及び前項前段の規定により実施すべき措置の全部又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。
 都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。
 第5項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。

警察官等の避難の指示(第61条)
前条第1項の場合において、市町村長が同項に規定する避難のための立退きを指示することができないと認めるとき、又は市町村長から要求があつたときは、警察官又は海上保安官は、必要と認める地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退きを指示することができる。前条第2項の規定は、この場合について準用する。
 警察官又は海上保安官は、前項の規定により避難のための立退きを指示したときは、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
 前条第3項及び第4項の規定は、前項の通知を受けた市町村長について準用する。


第4節 応急措置

市町村の応急措置(第62条)
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、消防、水防、救助その他災害の発生を防禦し、又は災害の拡大を防止するために必要な応急措置(以下「応急措置」という。)をすみやかに実施しなければならない。
 市町村の委員会又は委員、市町村の区域内の公共的団体及び防災上重要な施設の管理者その他法令の規定により応急措置の実施の責任を有する者は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、地域防災計画の定めるところにより、市町村長の所轄の下にその所掌事務若しくは所掌業務に係る応急措置を実施し、又は市町村長の実施する応急措置に協力しなければならない。

市町村長の警戒区域設定権等(第63条)
災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。
 前項の場合において、市町村長若しくはその委任を受けて同項に規定する市町村長の職権を行なう市町村の吏員が現場にいないとき、又はこれらの者から要求があつたときは、警察官又は海上保安官は、同項に規定する市町村長の職権を行なうことができる。この場合において、同項に規定する市町村長の職権を行なつたときは、警察官又は海上保安官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
 第1項の規定は、市町村長その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、自衛隊法(昭和29年法律第165号)第83条第2項の規定により派遣を命ぜられた同法第8条に規定する部隊等の自衛官(以下「災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官」という。)の職務の執行について準用する。この場合において、第1項に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、起ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。

応急公用負担等(第64条)

市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該市町村の区域内の他人の土地、建物その他の工作物を一時使用し、又は土石、竹木その他の物件を使用し、若しくは収用することができる。
 市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、現場の災害を受けた工作物又は物件で当該応急措置の実施の支障となるもの(以下この条において「工作物等」という。)の除去その他必要な措置をとることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、市町村長は、当該工作物等を保管しなければならない。
 市町村長は、前項後段の規定により工作物等を保管したときは、当該工作物等の占有者、所有者その他当該工作物等について権原を有する者(以下この条において「占有者等」という。)に対し当該工作物等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
 市町村長は、第2項後段の規定により保管した工作物等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又はその保管に不相当な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該工作物等を売却し、その売却した代金を保管することができる。
 前3項に規定する工作物等の保管、売却、公示等に要した費用は、当該工作物等の返還を受けるべき占有者等の負担とし、その費用の徴収については、行政代執行法(昭和23年法律第43号)第5条及び第6条の規定を準用する。
 第3項に規定する公示の日から起算して6月を経過してもなお第2項後段の規定により保管した工作物等(第4項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該工作物等の所有権は、当該市町村長の統轄する市町村に帰属する。
 前条第2項の規定は、第1項及び第2項前段の場合について準用する。
 第1項及び第2項前段の規定は、市町村長その他第1項又は第2項前段に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、第1項又は第2項前段に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
 警察官、海上保安官又は災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、第7項において準用する前条第2項又は前項において準用する第2項前段の規定により工作物等を除去したときは、当該工作物等を当該工作物等が設置されていた場所を管轄する警察署長等又は内閣府令で定める自衛隊法第8条に規定する部隊等の長(以下この条において「自衛隊の部隊等の長」という。)に差し出さなければならない。この場合において、警察署長等又は自衛隊の部隊等の長は、当該工作物等を保管しなければならない。
10 前項の規定により警察署長等又は自衛隊の部隊等の長が行う工作物等の保管については、第3項から第6項までの規定の例によるものとする。ただし、第3項の規定の例により公示した日から起算して6月を経過してもなお返還することができない工作物等の所有権は、警察署長か保管する工作物等にあつては当該警察署の属する都道府県に、政令で定める管区海上保安本部の事務所の長又は自衛隊の部隊等の長が保管する工作物等にあつては国に、それぞれ帰属するものとする。

応急公用負担等(第65条
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、当該市町村の区域内の住民又は当該応急措置を実施すべき現場にある者を当該応急措置の業務に従事させることができる。
 第63条第2項の規定は、前項の場合について準用する。
 第1項の規定は、市町村長その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同項に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。

都道府県の応急措置(第70条)
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、その所掌事務に係る応急措置をすみやかに実施しなければならない。この場合において、都道府県知事は、その区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれることとなるように努めなければならない。
 都道府県の委員会又は委員は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、都道府県知事の所轄の下にその所掌事務に係る応急措置を実施しなければならない。
 第1項の場合において、応急措置を実施するため、又はその区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれるようにするため必要があると認めるときは、都道府県知事は、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は当該都道府県の他の執行機関、指定公共機関若しくは指定地方公共機関に対し、応急措置の実施を要請し、又は求めることができる。

都道府県知事の従事命令等(第71条)
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、第50条第1項第4号から第9号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、災害救助法(昭和22年法律第118号)第24条から第27条までの規定の例により、従事命令、協力命令若しくは保管命令を発し、施設、土地、家屋若しくは物資を管理し、使用し、若しくは収用し、又はその職員に施設、土地、家屋若しくは物資の所在する場所若しくは物資を保管させる場所に立ち入り検査をさせ、若しくは物資を保管させた者から必要な報告を取ることができる。
 前項の規定による都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、その一部を市町村長が行うこととすることができる。

都道府県知事の指示(第72条)
都道府県知事は、当該都道府県の区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれるようにするため特に必要があると認めるときは、市町村長に対し、応急措置の実施について必要な指示をし、又は他の市町村長を応援すべきことを指示することができる。
 前項の規定による都道府県知事の指示に係る応援に従事する者は、応急措置の実施については、当該応援を受ける市町村長の指揮の下に行動するものとする。

都道府県知事による応急措置の代行(第73条)
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の発生により市町村がその全部又は大部分の事務を行なうことができなくなつたときは、当該市町村の市町村長が第63条第1項、第64条第1項及び第2項並びに第65条第1項の規定により実施すべき応急措置の全部又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。
 都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。
 第1項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。

災害時における交通機関の規制等(第76条)
都道府県公安委員会は、当該都道府県又はこれに隣接し若しくは近接する都道府県の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、道路の区間(災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場所及びこれらの周辺の地域にあつては、区域又は道路の区間)を指定して、緊急通行車両(道路交通法(昭和35年法律第105号)第39条第1項の緊急自動車その他の車両で災害応急対策の的確かつ円滑な実施のためその通行を確保することが特に必要なものとして政令で定めるものをいう。次条及び第76条の3において同じ。)以外の車両の道路における通行を禁止し、又は制限することができる。
 前項の規定による通行の禁止又は制限(以下この項、次条第1項及び第2項並びに第76条の4において「通行禁止等」という。)が行われたときは、当該通行禁止等を行つた都道府県公家委員会及び当該都道府県公安委員会と管轄区域が隣接し又は近接する都道府県公安委員会は、直ちに、それぞれの都道府県の区域内に在る者に対し、通行禁止等に係る区域又は道路の区間(次条及び第76条の3において「通行禁止区域等」という。)その他必要な事項を周知させる措置をとらなければならない。76条の2 道路の区間に係る通行禁止等が行われたときは、当該道路の区間に在る通行禁止等の対象とされる車両の運転者は、速やかに、当該車両を当該道路の区間以外の場所へ移動しなければならない。この場合において、当該車両を速やかに当該道路の区間以外の場所へ移動することが困難なときは、当該車両をできる限り道路の左側端に沿つて駐車する等緊急通行車両の通行の妨害とならない方法により駐車しなければならない。
 区域に係る通行禁止等が行われたときは、当該区域に在る通行禁止等の対象とされる車両の運転者は、速やかに、当該車両を通路外の場所へ移動しなければならない。この場合において、当該車両を速やかに通路外の場所へ移動することが困難なときは、当該車両をできる限り通路の左側端に沿つて駐車する等緊急通行車両の通行の妨害とならない方法により駐車しなければならない。
 前2項の規定による駐車については、道路交通法第3章第9節及び第75条の8の規定は、適用しない。
 第1項及び第2項の規定にかかわらず、通行禁止区域等に在る車両の運転者は、警察官の指示を受けたときは、その指示に従つて車両を移動し、又は駐車しなければならない。
 第1項、第2項又は前項の規定による車両の移動又は駐車については、前条第1項の規定による車両の通行の禁止及び制限は、適用しない。
76条の3 警察官は、通行禁止区域等において、車両その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害となることにより災害応急対策の実施に著しい支障が生じるおそれがあると認めるときは、当該車両その他の物件の占有者、所有者又は管理者に対し、当該車両その他の物件を付近の道路外の場所へ移動することその他当該通行禁止区域等における緊急通行車両の円滑な通行を確保するため必要な措置をとることを命ずることができる。
 前項の場合において、同項の規定による措置をとることを命ぜられた者が当該措置をとらないとき又はその命令の相手方が現場にいないために当該措置をとることを命ずることができないときは、警察官は、自ら当該措置をとることができる。この場合において、警察官は、当該措置をとるためやむを得ない限度において、当該措置に係る車両その他の物件を破損することができる。
 前2項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、第1項中「緊急通行車両の通行」とあるのは「自衛隊用緊急通行車両(自衛隊の使用する緊急通行車両で災害応急対策の実施のため運転中のものをいう。以下この項において同じ。)の通行」と、「緊急通行車両の円滑な通行」とあるのは「自衛隊用緊急通行車両の円滑な通行」と読み替えるものとする。
 第1項及び第2項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、消防吏員の職務の執行について準用する。この場合において、第1項中「緊急通行車両の通行」とあるのは「消防用緊急通行車両(消防機関の使用する緊急通行車両で災害応急対策の実施のため運転中のものをいう。以下この項において同じ。)の通行」と、「緊急通行車両の円滑な通行」とあるのは「消防用緊急通行車両の円滑な通行」と読み替えるものとする。
 第1項(前2項において準用する場合を含む。)の規定による命令に従つて行う措置及び第2項(前2項において準用する場合を含む。)の規定により行う措置については、第76条第1項の規定による車両の通行の禁止及び制限並びに前条第1項、第2項及び第4項の規定は、適用しない。
 災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官又は消防吏員は、第3項若しくは第4項において準用する第1項の規定による命令をし、又は第3項若しくは第4項において準用する第2項の規定による措置をとつたときは、直ちに、その旨を、当該命令をし、又は措置をとつた場所を管轄する警察署長に通知しなければならない。
76条の4 国家公安委員会は、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、関係都道府県公安委員会に対し、通行禁止等に関する事項について指示することができる。

●損失補償等(第82条)
 国又は地方公共団体は、第64条第1項(同条第8項において準用する場合を含む。)、同条第7項において同条第1項の場合について準用する第63条第2項、第71条第76条の3第2項後段(同条第3項及び第4項において準用する場合を含む。)又は第78条第1項の規定による処分が行われたときは、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。
 都道府県は、第71条の規定による従事命令により応急措置の業務に従事した者に対して、政令で定める基準に従い、その実費を弁償しなければならない。

●立入りの要件(第83条)
第71条の規定により都道府県若しくは市町村の職員が立ち入る場合又は第78条第2項若しくは第3項の規定により指定行政機関若しは指定地方行政機関の職員が立ち入る場合においては、当該職員は、あらかじめ、その旨をその場所の管理者に通知しなければならない。
 前項の場合においては、その職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。

応急措置の業務に従事した者に対する損害補償(第84条)
市町村長又は警察官、海上保安官若しくは災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官が、第65条第1項(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定又は同条第2項において準用する第63条第2項の規定により、当該市町村の区域内の住民又は応急措置を実施すべき現場にある者を応急措置の業務に従事させた場合において、当該業務に従事した者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となつたときは、当該市町村は、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。
 都道府県は、第71条の規定による従事命令により応急措置の業務に従事した者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となつたときは、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。

被災者の公的徴収金の減免等(第85条)
国は、別に法律で定めるところにより、被災者の国税その他国の徴収金について、軽減若しくは免除又は徴収猶予その他必要な措置をとることができる。
 地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、又は当該地方公共団体の条例で定めるところにより、被災者の地方税その他地方公共団体の徴収金について、軽減若しくは免除又は徴収猶予その他必要な措置をとることができる。

国有財産等の貸付等の特例(第86条)
国は、災害が発生した場合における応急措置を実施するため必要があると認める場合において、国有財産又は国有の物品を貸し付け、又は使用させるときは、別に法律で定めるところにより、その貸付け又は使用の対価を無償とし、若しくは時価より低く定めることができる。
 地方公共団体は、災害が発生した場合における応急措置を実施するため必要があると認める場合において、その所有に属する財産又は物品を貸し付け、又は使用させるときは、別に法律で定めるところにより、その貸付け又は使用の対価を無償とし、若しくは時価より低く定めることができる。

第6章 災害復旧

災害復旧の実施責任(第87条)
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関その他法令の規定により災害復旧の実施について責任を有する者は、法令又は防災計画の定めるところにより、災害復旧を実施しなければならない。


第8章 災害緊急事態

災害緊急事態の布告(第105条)
非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ばすべき異常かつ激甚なものである場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、閣議にかけて、関係地域の全部又は一部について災害緊急事態の布告を発することができる。
 前項の布告には、その区域、布告を必要とする事態の概要及び布告の効力を発する日時を明示しなければならない。


第10章 罰則

罰則
113条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
1.第71条第1項の規定による都道府県知事(同条第2項の規定により権限に属する事務の一部を行う市町村長を含む。)の従事命令、協力命令又は保管命令に従わなかつた者
2.第78条第1項の規定による指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長(第27条第1項又は第28条の5第1項の規定により権限の委任を受けた職員を含む。)の保管命令に従わなかつた者
114条 第76条第1項の規定による都道府県公安委員会の禁止又は制限に従わなかつた車両の運転者は、3月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
115条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
1.第71条第1項(同条第2項の規定により権限の委任があつた場合を含む。以下この条において同じ。)、第78条第2項(第27条第1項又は第28条の5第1項の規定により権限に属する事務の一部を行う場合を含む。)又は第78条第3項(第27条第1項又は第28条の5第1項の規定により権限の委任があつた場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
2.第71条第1項又は第78条第3項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
116条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金又は拘留に処する。
1.第52条第1項の規定に基づく内閣府令によつて定められた防災に関する信号をみだりに使用し、又はこれと類似する信号を使用した者
2.第63条第1項の規定による市町村長(第73条第1項の規定により市町村長の事務を代行する都道府県知事を含む。)の、第63条第2項の規定による警察官若しくは海上保安官の又は同条第3項において準用する同条第1項の規定による災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の禁止若しくは制限又は退去命令に従わなかつた者
117条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第113条又は第115条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。