手の「かきかた」って・・・?


手こぎボートに乗った事はありますか?もちろん「漕ぐ」ほうで。水泳にも似たところがあるよ。「キャッチ」「プル」「プッシュ」の動きはまさにそれ。で、単純に考えて、オールをどう動かすべきか、っていったら当然「進行方向に対して垂直に」オールの角度を保ち、「まっすぐ」漕ぐのがいい、と思うんだ。ボートについて詳しく知らないから、細かな技術的なとこはわからないけど、基本は合っているんじゃないかな。
そんなわけで、S字プルとか、ハイエルボーとか、とかく難しく説明しがちなプルの動きも、基本的には「まっすぐ」かけばいい。
後はボディポジション。体がローリングをするので、難しくなるのだ。



(ローリングって・・・?)

肩の位置を動かさずにクロールを泳ごうとすると、なかなかうまく呼吸もできないし、速く進まない。見た目にも「うつ伏せの死体が腕をぐるぐる回している」ようにも見える。
ここで、肩を大きく回して泳ぐと、前に伸びる手は手2個ぶんくらいより前に伸び、プッシュする手も同じくらい後ろにかける。つまりひとかきひとかきのプルの長さ(DISTANCE)が伸びるんだ。同時に体も軽く開くのでサイドでの呼吸もしやすい。

あらゆるスポーツにおいて、「腰の位置」「頭の位置(視線)」が共通に重要な要素であると思うんだ。
クロールにおいてこの「腰」と「頭」の位置を正確なものにする為には、「キック」が重要キックを一定に保つ事。プルを説明するページで「キックが重要」なんて言うのはちょっと変な気もするけど、それだけキックが重要である事。キックが重要なのは、もちろんキックの推進力を期待してのことではなく、キックの「ボディポジションのキープ力」を期待してのこと。それがあって初めて、プルそのものの話に移れる。

ローリングっていうのはもちろん、体をロール(半転)させる事。頭から足先までの体軸を中心にロールする。このローリングを制御するのがキック(腰の位置)に他ならない。

一方、ローリングを積極的に推し進めるのが、肩の動き。前に伸び、後ろにかき、リカバリーにおいては水面上に積極的に出すように上げる。泳ぎ方もダイナミックになる。パワーを要するけど、「一回一回のかき」でとらえる水の量が増え、大きな推進力を生み出すようになるんだ。ググーっとね。



(プルの軌跡)


もちろん、まっすぐ「かく」。ただ、体(特に上体)はローリングを行っているので、自分ではS字を描くつもり、が結果的にまっすぐ「かく」ことになる。遠くの水をつかみ、できるだけ後ろにプッシュする。これが、積極的なS字プル。正しいローリング動作とS字プルの組み合わせによって、その軌跡は(水底からプルを見たとき)まっすぐであるはず。

また、「てのひら」で水をかくのではなく、腕全体で水をキャッチ。
腕は入水したら、ひじの位置を変えずに(ひじから先全体で)水をキャッチ。どちらかといえば、小指のほうに水圧を感じるように。
プルの軌跡は決してからだの中心線を越える事のないように。プルがぶれると、進行方向に対する推進力が左右に分散してしまう。水泳において、目指すのはゴールのみ。左右にブレている余裕などないのだ。また、同様の理由において、あまりに大きく左右に開くプルもNG。

マット・ビオンディは、「中指を真下に向けて」水をキャッチする、と言っていた。ある意味、ひじを立てたままキャッチする、という意味においては、この言葉が参考になる。

プッシュは小指から水面上に抜く。空手チョップ。チョップ、チョップ。キャッチとは逆に親指で水をひっかける感じ。空手チョップをする事で、空回りする事なくプッシュを終える事ができ、またリカバリーへの連続動作へとつながる。フリーのプルでもっとも推進力を生み出すのがこのプッシュのとき。思い切って押し出そう。
ちょうど「モモ」に触れながら、プッシュが行われるはずである。あんまり体から離してプッシュしないでね。


(リカバリー)

リカバリーっていうのは水面上での手の動き。
リカバリーをリードするのは常にひじ。プルのフィニッシュ(プッシュ)と同時に、ひじが先行してリカバリーが始まる。最初に水面上に出るのは「ひじ」。
リカバリーは力を抜いて。ひじを高く。肩を高く。手の甲を前にし、横にブンブン振ることなく、こちらもまっすぐ前に出す。円を描くように腕を振るのではなくて、前に投げ出す
横にブンブン振ると、この動きが生み出す遠心力の影響によって推進力が左右にぶれる。まっすぐ進むには腕をまっすぐ前に差し出すのだ。前に、前に、って。
で、手のひらが常に後ろから見えるように。手のひらが下に向いていれば、それはひじをもっと高くしなさいってこと。

手の入水は、親指から、手のひらの角度を水面に対し45度の角度で。また、横(斜め)から入れるのではなく、まっすぐ入れよう。水面を強くたたかない(泡を出さない)ように。やさしくね。


(練習方法)

キャッチアップ(両手を前で合わせてから次のプルを始めるクロール)が効果的。前の手を沈めず、またひとかきひとかきを確認しながらプッシュプッシュ。



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