母島返還祭

 母島の返還祭が始まった。 10年前に来たときは、ビールやら缶入りドリンクを無料で配っていて、飲めもしないのについ勢いで飲んでしまったりもしたが、そんなに経費をかけられるわけは無い。 あの時ですら驚きだったのだから。
 宿で夕食はたっぷりとっていたので、別段食べたいものがあったわけではないが、手作りシュウマイは美味しそうだったし、食べた人の評判も良かった。 以前の自分なら、迷わず食べていたことだろう。
 花火大会があるというので、どこから見たらいいか考えた。 思い浮かんだのは鮫ヶ崎の展望台だが、上ってみると、カメ養殖場の堰堤が目についた。 2つあるのだが、打ち上げ準備をしている堤防のすぐ前はまずいだろうからと、2つめの堰堤の先に歩いていって待つことにした。
 返還祭の演目も進み、花火が上がることになった。 堰堤の上は、会場からは割と離れていて、大潮なのか水位が高くて、漁船が帰ってきたら波が堰堤の半分くらいまでかかってきた。 空は雲がほとんど無く、月もまだ出ていないので星がきれいに輝いていた。 花火大会の前に、一斉に電灯を消したのだが、その時に浮かび上がった星空に、会場から大きなどよめきが聞こえてくるほどだった。
 花火が上がり始めた。 近い。 そして低い。 こちらをめがけて打ち上がって来る。 もし不発弾があったら、自分の居場所に落ちてきそうだ。 不発弾ならいいが、落ちてきたところで、やっぱり爆発しようなんて事になったらどうしよう、と思ってしまうほどの大迫力だ。 「そこの人ーっ」て言われないかと、堰堤にある石の杭に見えないかとしゃがんでいたが、あれだけ明るくなれば、人がいるのは分かっていただろう。 それでも何にも言われなかったのは、母島だったからなのだろうか。 そう言ってるうちにも、花火の燃えさしがバラバラと落ちてきた。 そんなに大きな玉は上がらなかったが、今までいろんな花火大会を見た中で、一番緊張して見た花火だった。

返還祭のステージ ステージから正面のテント
浜に向かってる横にあるテント 昨日に続いて集まってきた
ビール250円、酎ハイ200円 真ん中の舞台は何に使ったのかな
鮫ヶ崎から カメ飼育場の堰堤から
花火大会が始まる すごく近いところで低く上がってるので迫力満点
大団円を迎える ばらばら落ちてきた花火の燃えさし

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