●射水地区広域圏福祉施設について、かねてより精神薄弱者更生施設を早く建設してほしいという強い要望があり、新しい機構改革の中で10月1日付で関係市町村の温かい御協力で、射水広域圏事務組合に福祉施設準備室の開設が行われたところであり、これを高く評価しているものであります。
ことしに入り、当市議会においても何回か論議され、また、今定例議会においても代表質問が行われたところであります。平成3年9月の精神薄弱者実態調査アンケ−トを調べてみますと、回答人員237人であり、当射水地区の271人の対象者の87.45%の回答率があり、その中で入所希望をする者78人、通所希望者44人、一時利用者が24人でありました。管理運営の立場や経営上の観点から想定すると、入所者規模は100人以上が望ましいと言われています。1987年に厚生省は老人ホ−ムを含む社会福祉施設の設置及び運営に関する基準について、精神薄弱者福祉法、精神薄弱者福祉法施行規則、精神薄弱者援護施設基準などを改正する省令を出しました。この省令で初めて「収容」から「入所」に変わったのであり、これまで「収容」が平気で使われてきていたのであります。やっと障害者や老人が被収容者から入所者に変わり、ようやく社会一般に通用する言葉に置き換えられたのは、ほんの5年前であります。健常者が営んでいる生活を障害者や高齢者も当たり前におくるノ−マライゼ−ションの精神は、ややもすると概念を当たり前に暮らすことと解釈し、特別の政策は必要ないという程度に理解される恐れがあります。
社会生活を営む上で制約となる身体的・精神的なハンディを持っている者が、それを理由として差別され分断・隔離されることを克服する政策こそ、この施設に今一番必要とするところなのであります。今までの、地域から孤立した閉鎖的な環境を経て、身近な地域で暮らせる開放的な社会でのいろいろの機会での平等であります。施設の特色を持たせることが大きな課題であり、施設の抱えている問題は精神薄弱者援護施設の改定がなされたものの、施設の基準にとらわれてそれぞれの居室の狭さや閉鎖的なプランニングが目につくのであり、管理部門、診療ぶ門、家族宿泊などを持つ管理・診療棟、そして日常生活訓練の場である食堂や児童寮、成人寮などの居室棟、社会復帰のための治療・訓練・指導が一体に行われる学習指導室、共同作業場、体育館、運動場などの教育・訓練・指導棟、そして将来には授産施設棟などの施設計画には、二重障害を持つ者や障害の程度によりいろいろな創意工夫が要求されるのであります。また、地の利を生かしての民間企業などの障害者雇用にも特色を持たせることも大きな課題であります。特に設計段階において、特色ある精神薄弱者更生施設の建設にはブロックプランを決める上で敷地の立地条件が最も大きく左右されるのであります。施設の性格からいって地元住民の理解と協力が不可欠であると考えています。生活の場面での障害者は、保育や教育、雇用、レクリェ−ション、移動、買い物などが今まで排除されており、その結果、健常者と異なった生活のリズムを余儀なくされています。一班般社会での一人の人間として自然な交わりが必要であります。開かれた施設として住民からも支援いただける施設づくりを目指すときに、今までの地域の閉鎖的な山間部より、人目につく開放的な市街地がのぞましいと思いますが、所見があればお聞かせください。
建設目標が平成6年頃と聞いているが、今後起こり得る社会福祉法人の設立や土地取得、実施設計、工事着工の段階が予想される中で、土地手当てや施設の建設費などに大きな財源を必要としています。福祉施設建設促進委員会の専門的意向を十分尊重して、また関係市町村のトップリ−ダ−として新湊市としても応分の財源協力をしていただくよう、これまで以上に積極的に取り組んでいただけるものと思うが、県の厚生部次長でありました角谷助役より所見があればお聞かせください。
それでは再質問させていただきます。
臨港道路堀岡線の550メ−トルについては、地元自治会の要望も十分尊重していただきますことを要望しておきます。第1点目の、神通川左岸流域下水道事業の処理水の有効利用で、建設省が進めている総合アメニティ−のアイディア事業についてであります。今答弁をいただいた事業は、多分国の第四次全国総合開発計画、四全総の下水道水緑景観モデル事業のようでありますから、県と協議いただき、採択されるよう実施に向けて御努力いただきますよう要望しておきます。
そのほか、建設省所轄の重点投資などの支援措置の講ずるたくさんのモデル事業もあるようですから、十分御研究いただきますようお願いいたします。昨日の夜8時過ぎにテレビをつけますと、偶然にもNHKで「障害者の日、あなたと一緒に働きたい」という番組が目に飛び込んできました。ちょうどきょうの原稿を見直していたときであり、非常に心に残った言葉がありました。「障害者の姿やその仕事での作業を見て、簡単にわかったと言わないでください。わかったという言葉でその人を見ないでください。その人の動きや話し方でハンディがあると片づけてしまわないでください。それはその障害者の人格をも見失ってしまう」ということでした。
障害者や老人にもいろいろの方がおられますが、健常者の中にもいろいろの方がおられるという事実であります。企業での障害者の受け入れの中で、人間の競争意識より、働くことを障害者と健常者がともに分かちあえる社会づくりが必要であるということでした。
先ほど、角谷助役より精神薄弱者更生施設の建設に向けて前向きの答弁をいただき、本当にありがとうございました。タイムスケジュ−ルの中で建設目標が平成6年とすると、おそくとも平成5年末には土地の手当てをする必要があると思うが、再度お尋ねをして私の質問を終わります。
041209
(1992年12月9日 新湊市議会議場)