終末医療と告知について、斉藤医院長の所見をお伺い致します。
我国の医療現場においては、患者は正しい説明を受け、理解した上で自主的に選択しているとは、いい難いのが実情であります。
昭和23年7月に制定された医療法が、平成4年に、44年ぶりにやっと抜本的に改定されたのであります。今回の改正の中で、医療を提供するにあたっての基本理念が盛り込まれ、その第一条に規定されている、医療は生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手と、医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための処置及び、リハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。又第2項で、国及び地方公共団体は前条に規定する理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効果的に提供する体制が、確率されるように勤めなければならない。・・・と追加されたのであります。
ようやく国が、患者側に立った医療の構築を明確にしていく為のステップのようであります。欧米ではインフオームド・コンセント(十分な説明を受けた上での患者の主体的に基づく同意)が法制化され、適切な医療を受ける権利が定着しているのであります。日本での法制化はまだまだ時間がかかるように思われます。患者であれ医者であれ、知る権利は国民の、基本的人権であります。
日本では、医療は治療をすることであり、死は別のように受け取られているように思えてなりません。『告知』に対して患者自身が知る事を恐れたり、告知によって患者が生きる希望を失ったり、強いショックを受け、精神的に不安定になることが想定されます。
終末医療を受ける状態の中で、患者に真実を告げることは、患者に残された限られた時間を知らせる事であり、終末医療のケアの中で最も重要な事だと思うが現在の医療現場は、まだまだ消極的なように思われます。
『告知』は『宣告』や『判決』に近いものがあります。日本の場合、担当医師に呼ばれ、なぜか患者本人には病状の説明はせず、家族に告知する事が多いようであります。告知される側と、告知を告げるがわの気持ちは微妙なものがあるはずであり、一歩間違えば、患者と医者の信頼関を失い、これからの新しい医療にも問題を残します。告知する能力のない医者であればなおさらの事、これからの新湊市民病院での責任ある医療従事者として、院内での医者の教育や、インフオームド・コンセントや告知について、なにか所見があればお聞かせ下さい。
又、日本ではまだ、ホスピス・ケアが確率されておりません。終末医療の特別な施設を作ると運営上の困難が予想されます。まずその病棟を何と呼ぶか問題であり丁度、患者が大部屋から個室に移されるた時と同じで、治る見込みのない人が行くんだと言う事にも、なりかねません。
告知され、患者も家族も、病気という現実を受け入れられたとしても、日本人の場合は「クオリテイー・オブ・ライフ」とか、質の高い1日1日を過ごせば良いとか、気持ちがなかなか、切り替えられない民族であります。1日でも長く長く、治ることや、治療だけ求める中で、付き添いの方から『一度でいいから、外の新鮮な空気を吸わせてやりたい』・・・と聞く言葉は、そんな贅沢な事ではないはずであります。
市民病院増改築計画の基本構想の中で、建物の廻りの緑化のための、屋上庭園の設置がみられるが、サンルーフとして温室を兼ね備えた屋内庭園として位置づけ等、もう少し患者にやさしい、快適な居住環境を試みてはどうか、市当局の見解をお伺いいたします。
又、昨日の代表質問の中で、平成8年3月から、完全看護が法律のもとで実施されるとお聞きしましたが、終末医療での家族の付き添いとは、合い反するものがあるが、所見があればお聞かせ下さい。
以上1回目の質問を終わります。
再 質 問
それでは、再質問をさせて頂きます
。
患者に対する配慮の中で、病棟の各フロアーのエレベータ前のナースステーションが設置され、快適な居住環境として、話し声が不用意に漏れないような構造として計画されたとあります。患者や見舞い客の出入りの管理上の問題で、病棟の中心に位置づけされたと思うが、ナースステーションは逆に、患者や付き添いの家族にも見られているいる事を忘れないで欲しいのであります。多くの病院のナースステーションは、外部からレントゲンやCTの断層写真がガラス越しに不用意に見え患者のプライバシーが阻害されています。患者や家族は自分の病状のことにはすごく敏感でありますから、十分看護婦とのミーテイング場所には配慮をして頂きたいと思います。
又、15才以下の、親の付き添いを必要とする小さい子供を、普通は子供でも病種別の分類で、外科や、整形や、小児科と、棟で分かれると思うが、私は小児科だけは手のかかることもあり、病種に関係なく一緒の棟とすべきだと思うが、斉藤院長の所見があればお伺いいたします。
又、医療器具の追加は後からでもできるが、病棟での指摘は、建物の構造物の変更を伴いますので、病棟のプランの、実施設計を慎重に進めて頂くよう要望しておきます。
再質問をおわります。
12月定例議会一般質問要旨 061208
基本計画における新湊市民病院増改築工事について
1)患者に「やさしい」病院づくりとは・・・病棟についてスクラップ・アンド・ビルド方式を通して病棟を検証する
。
@ やさしい病院、親しみのある病院とは。 【局長】
・6人部屋から4人部屋とした設計意図が病床に活かされているのか・・・ゆとり病室?
・トイレの分散方式には本当に患者にやさしいのか・・・畜尿ユニット・音・車椅子・ポータブルトイレ?
・長期入院に対しての生活の場はこれで良いのか・・・ロッカー・冷蔵庫・洗濯機?
・屋上のリハビリ用浴室と展望一般浴場は患者にやさしいのか・・・感染に敏感・手術後の患者どうしが入るの?
・ベランダの機能は病床にいかされているか・・・避難防止・出入口の鍵と自殺防止だけなの?
・医学図書館とは別に、図書の貸出はあっても良いと想うが?
現 実
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患者の一日、トイレ・食事・TV・ラジオ・新聞・雑誌・談笑そして治療に専念
(病院暮らしは窓腰の景色と天井)
A 患者に対する配慮で、現在の市民病院との違いは? 【局長】
・小児科棟の配慮について・・・小児科治療と外科治療患者は病種分類をするの?
・産婦人科の配慮について・・・病気ではない。新生児と母親に対する配慮(民間施設に対抗出来るの)?
・エレベータ前のナースセンターの配慮とは・・・患者や家族にも見られている?
・デイルームと食堂・面接室・家族の待合い室・・・家族はいつも1家族?
・ホテル感覚の病院は大きなエントランスホールとレストランなの・・・レストランの利用者は患者それとも外来患者?
・緑に囲まれた環境とは?・・・屋上庭園は何処の棟から誰が見るの?
現 実
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外来患者のオーダリングシステムと病床患者とのサービスとは
B 終末医療と告知について? 【院長】
・一度でいいから外の空気を吸わせてやりたい・・・温室や屋内庭園?
・完全看護と家族の付き添いについて(心の支え)・・・電動ベッドや介護用ベッドの開発?
・病院での死に際はどうしても痛々しい・・・楽にさせてやりたい?
(スパゲテイと延命治療について)
・告知をされる側と告知を告げる側の気持ちは?
現 実
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病院で死ぬか、在宅で死ぬかではなく、誰に看取られて死ねるかを活かされた病院にしていただきたいと想う。
(1994年12月8日 新湊市議会議場)