]

愚  痴 (菊民夫記1990.7.10)
 
 
 ある調査機関の発表で、中学生を持つ母親に対して「子育ては楽しいですか」の質問に「はい」と答えた人の割合は、西ドイツが七二%、アメリカが四八%、日本が十九%・・日本のお母さんは、子育に自信がないのでしょうかとのコメントがついていました。
 父親は厳しく、母親はやさしくとの今までの家庭での「しつけ」のあり方が薄れ、子供の教育について、仕事が忙しいとまったく手をさしのべないべない父親、子供を可愛がることや、誕生祝いのプレゼント、家族旅行で一家の父親の尊厳を一挙に回復しようとする父親、ややもすると、それすらもできない父親(我が家)が、経済的・社会的子供の眼には頼もしい父親として景らないのは当然です。しかし一生懸命「親」でありたいと願っているのも事実です。せめて、物わかりの良い父親になろうとの現れかもしれません。
 我が家の父親不在の家庭では、塾通い、受験、相談相手、PTA行事等、子供の教育の一切が母親任せになり、母親は「父親の厳しさ?」や「強さ?」をも要求され、そのため子供にはうるさい母親に映り、干渉が過ぎると暴走し、子供の領域にまで入り込み、それが満たされた愛情の様に錯覚します。対応の難しい子供を持つ日本の母親には、忍耐と優しさが要求され、子育ては楽しく景らないのではないでしょうか。責任を他(母親)に添加することなく、我が子のいく末は我が手で。
        ・・・・・・俺は父親だ。