市が追い求める将来人口について
(菊民夫記1994.3.3)
 
 
 国の広域行政の指導のもとに、近隣地域の国政調査の結果を分析すると、人口30万人以下の市町村の多くが、人口が減少している。農山漁村に若者の定住を図るためには、近隣に人口30万人程度の都市形成が不可欠といわれている。それは若者が、都市文化、ア−バン・リゾ−ト的環境を求めている結果のように思われる。地方の時代といわれながら、全国の2,200余りの市町村が人口減少に苦しみ、大半がその要因を経済的要因に求めようとしている。人口減少は、我が新湊市でも例外ではないのである。平成6年1月末現在で39,382人であり、平成2年の国政調査を基本人口とした新湊市の5年・10年後の将来人口推移は、平成12年には35,507人、平成16年には33,898人と推測されています。今後10年間に5,500人余りの人口が市でも減少することが予想されているなかで、市の街づくりの根幹である市の将来人口を39,000人から42,000人として議会で論議されているところであります。平松大分県知事は、「人口の過疎より、心の過疎の方が恐い」と指摘され、私も、人口の増減のみで地域の活力度、民力度を測ることはそんなに重要ではないはずであると思います。市の地理、地形、自然、文化だけでなく、それぞれの産業構造を冷静に分析し、 適正な規模の将来人口、産業構造、社会資本、公共施設などの目的を中長期的視点でとらえ、地域づくりを進めることが総合計画を進めていく上での基本姿勢であると思うのであります。今年は、第4次総合計画作成(平成7年〜平成16年)の年であり、ようやく見えてきた、市民病院の改築や南部の博物館構想、江柱立町の再開発、新湊大橋、東西埋立用地の開発、ウォ-タ−フロント事業等、多くの事業が今後10年間に盛り込まれるはずであります。ある本に「日本の農村は、ストック指向が強く、貯蓄することばかり考えるから、日常生活は貧しくならざるをえない。」とありました。私は、貯蓄性向が高いことが、良いことばかりというとそうでもなく、なまじっか貯金がたまると、生産性とか労働意欲が低下するのは必然であります。厳しい農作業に従事する農村の人達だからこそ、豊かな生活を送るべきであり、でないと、若者はその地に残らないであろうと思います。
 経済大国と言われ、大多数が中流意識を持ちながら、なお「貧しい」と生活実感としての豊かさをまったく感じられない人達が多いのであります。地方の政治家として、地方の時代に強く生きぬくためには、経済的豊かさの実現だけでなく、生活文化を含めた豊かさの実現が必要であり、私は、市民が「実感できる豊かさの創造」こそ、我が新湊市にとって、政治改革より、もっと大きな政治課題であると思います。(しるべ投稿)