風に吹かれてフッシャマンズワーフと乗り物紀行
SAN FRANCISCO SEATLE
1996.7


アメリカ合衆国  米国カルフオルニア州
 米国合衆国は北極圏に属するアラスカから常夏のハワイまで、日本の25倍の国土面積を有し293,027,571人(2004年現在)が暮らす広大 な国である。50の州からなり、各州ごとに独立した行政を持ち人種・習慣・言語など異なる要素が同居した国。
 カルフオルニア州サンフ ランシスコ市は1776年、スペイン人の入植により始まった都市。その後、ゴールドラッシュにより人口が急増した。現在の人口は75万人 (2004年)、世界のITをリードするシリコンバレーも擁している。毎年1600万人以上の旅行者がこの美しいサンフランシスコ市を訪れている。 太平洋とサンフランシスコ湾に三方を海に囲まれた恵まれた地形には、港・空港を通し日本やアジアとの交易が盛んで日系人も多く住ん でいる。ゴールデンゲートブリッジ、チャイナタウン、坂道を走るケーブルカー、ウオータフロントなど絵になる風景でもなじみ深い街。

ゴールデンゲート・ブリッジ 4年の歳月を経て1937年完成(撮影 菊民夫) 写真提供 fishermanswharf ●霧のゴールデンゲートブリッジ
 世界の三大美港を擁するゴールデンゲートブリッジ(吊り橋)は、アメリカ西海岸のサンフランシスコ湾と太平洋に接続するゴールデン ゲート海峡に掛かる吊り橋は日本でも金門橋として有名である。橋の建設は1933年に始まり、1937年に完成した。建設費は2700万ドル。 主塔の間の長さ(中央径間)が1,280メートル、全長2790メートル、海面から230メートル(橋のクリアランスは66メートル:クイーンエ リザベス号も通過)。橋は南のサンフランシスコから北のマリンカウンティ方面へ抜ける唯一の道で、6車線の道路と歩道を持つ。中央 分離帯は、上り下りの交通量によって移動されるしくみで、朝の通勤時間帯であれば南行きが4車線となる。また、南行き(サンフラン シスコ方面へ行く)自動車は通行料を支払う必要がある(2003年現在、$5.00)。歩道は自転車の通行も可能。 橋の色は濃霧にもよく見えるために「インターナショナル・オレンジ」と呼ばれる鮮やかな朱色が「特色」。

ケーブルカ ケーブルカ ●坂の街サンフランシスコにケーブルカーが走る
 サンフランシスコ市内を走る主要な交通機関は、ケーブルカー、バス(トローリーバス含む)、ストリートカー、メトロ、の4種類があ る。天然の良港を擁する米国西海岸最大の商工業、港湾都市に縦横無尽に走るレトロなケーブルカーのまちづくりの本質を見た。

1、ピア39のマリーナ施設(撮影 菊民夫) 2、ピア39のボードウオーク上からアザラシの群れが!背面にアルカトラズ島が見える(写真提供 fishermanswharf) ●ピア39
 民間開発業者ワレシモンズ社は、1970年代の初めサンフランシスコ港湾局所有の古い貨物桟橋であったピア39(サンフランシスコ半島北 端部)の再開発を提案した。港湾局は面積18.2fのうち2fの開発を許可し、施設の建設・維持の全責任を負うこと等を条件に3本のピア (埠頭)と周囲の海面を66年の長期借地(リース)を認めた。その代わり港湾局に対し年間収入の8〜12%を納めることになる。そして 1978年10月に営業が開始された。施設には隣接していたピア37・41の廃材利用がなされ古めかしい雰囲気のレストラン(14店〜)や売店 (125店〜)、サンフランシスコ・エクスペリエンス劇場やウオータフロント公園、350隻のマリーナ施設や遊覧船の発着場、駐車場1000 台等が整備されている。
 開発手法はおおいに学ぶものがある。新湊マリーナ周辺も”トック申請(水際の権利)”で再開発できないものか!!

ウオータフロント開発のフッシャマンズワーフ(写真提供 fishermanswharf) ●フッシャマンズワーフ
 サンフランシスコで一番の観光名所はフッシャマンズワーフである。サンフランシスコ半島北端部に位置し、約12kmにわたって海辺が 整備されている。ウオータフロントの街づくりはフッシャマンズワーフを核として、ピア39、客船タ−ミナル構想・ミッションベイ (干潟60f)の再開発での住宅・オフイス・企業・ホテル・公園立地等、市当局と民間そして港湾局が一体となってこの地域のマス タープランを提案している。そのプロジエクト実現の為に一定の公益をもたらすことを条件として市当局は初めから作成過程を公開し 住民の意見や批判を受け入れているところに共感を覚える。日本での官僚指導での政策実現課程では考えられないことである。
 参考文献


 米国ワシントン州キング郡シアトル市
 シアトル (
Seattle) は、ワシントン州を含めた太平洋岸北西部地域(ワシントン州・オレゴン州・カルフオルニア州)の最大の都市で カナダとの国境まで約180km。面積 約217平方km(東京都の約10分の1)、人口56万3千人、タコマを含めた都市圏人口は380万人(2005年) 。ワシントン州の州都は”オリンピア”。シアトルは”キング郡”の郡都で神戸市と姉妹都市を結んでいる。ボーイング社、マイクロソフ ト社、ワシントン大学がある。
 行政としてのシアトル市は、環境運動の歴史が古く1970年代に原子力投資を拒絶し省エネルギーの効率化技術を推奨した。又、人口増に よる廃棄物の焼却炉の新設よりもリサイクルへの投資を促し、新しい水資源確保より節水を選択し、自然保護活動も盛んな都市である。
 シアトル市議会の定数は9名、その内女性議員7名(1996年7月)、議長は女性。各々の委員会は専門知識を必要とし数人の秘書を置く。人口に比べ日 本の地方議員本当に多いな!(>_<) 合併後の議員は多くの専門知識が必要とされる。片手間にやれる仕事ではないと考えるのだが・・・。

1.シアトルウオータフロントパーク、ピア48〜70 商業・レクレイション施設(撮影 菊民夫) 2.シアトルウオータフロントパーク、ピア48〜70 商業・レクレイション施設(撮影 菊民夫) ●再開発されたエリオット湾のウオータフロントはピア(埠頭)48から70までの1.2Kmの工場・倉庫・港湾・鉄道敷は主に商業、レクリエ ーション、市民の憩いの場として都心(515本のマディソン通り)に活気を取り戻した。 3.貨物線から転用されたレトロな路面電車 隣接する都心地域とは貨物線から転用されたレト ロな路面電車が走る。南北方向に連なる20本の埠頭は木造杭のまま残し桟橋上にボードウオークやベンチが設置されている。改築、新築 された木造2、3階建ての施設には商業施設が形成されている。

●見直された路面電車とトロリーバス
 1990年9月15日に開業したダウンタウンの「バス循環システム」は一日3万8千人の利用者がある。当時この新交通システムはシアトル周辺の人口増大による都心通勤の輸送体系解消のため混雑する都心の2.1qのバストンネル(3駅地下・2駅半地下〜地上走行20分が8分に!混雑40%解消)が計画され将来の鉄道トンネルにも転換されるよう設計された。トロリーバスはデイーゼルエンジンと電気バッテリーを併用するデユアルモードが採用され、トンネルに入る際にはエンジンから電気(トロリーバス)に切り換えて走る。既存のウオータフロント地区を走る路面電車の延伸もこのシステム計画に加えられている。
 メトロバストンネルの建設に当たっては、シアトル市は住民投票を行っている。税の納め方や利率は各々の国によって違うが、米国は住民税は州、消費税は郡・市に納める仕組みで税率も各々の郡・市で定めることができるようである(もっと調べてみないとわからないが!)。サービスを受けるかわりに財源負担と年度(何年負担)を明確にし、消費税(税率アップ)を受け入れた。全体の工事費の負担が大きいため日本式の工事分割方式(工区)を採用したと議長は語った。日本の地方自治も国民負担とサービスを問う住民投票負の条例作に汗を流したいものである。

1.メトロバストンネル入口(ここから電気バッテリに交換されトンネルへ) 2.メトロバス(トンネル構内駅) 3.メトロバス2両車編成内部(乗車) 4.メトロバストンネル内部(鉄道も走るトンネル内部)
1995.12.開業のメトロバストンネル

515本のマディソン通りを歩く(宿泊先:ルネッサンス・シアトル・ホテル)
515本のマディソン通り 1996.7.12



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