菊民夫日記
2007.02.09

ヘリテージングツーリズムで町おこし!
Date: 2007-02-09 (Fri)

■近代建築が見直されている!

 明治から昭和の戦前にかけての近代建造物を”ヘリテージ(遺産)”と呼ぶ。それらの建造物を見て楽しむことを「ヘリテージング」 と呼ぶらしい。ヘリテージングを提唱しているのは2004年に広告代理店を定年退職後ヘリテージングの研究所を設立した阿曽村孝雄氏だ。 古い校舎や教会、工場、駅、倉庫、発電所、鉱山、劇場、住宅など日本中に残るレトロで懐かしい建造物を対象とし「懐かしい、珍しい 、美しい」が定義らしい。現代の生活のルーツを探る旅(ミニ旅行)が受けているらしい。提言旅行業者の観点から見ると産業観光面が どのように映っているのか・・・新しい観光レジャーとして、「ウォーキング・ヘリテージング」、「俳句ヘリテージング」、「赤レン ガヘリテージング」、「天主堂ヘリテージング」とか、ジャンルはさまざま?行政は今、ヘリテージツーリズムによるまちづくりと観光 が始まったばかりである。

 日本の近代建築は欧米建築の導入から始まった。18〜19世紀の欧州ではネオゴシック、ネオクラッシクなどの復興様式が展開された時 期に新しい建築資材、鉄・ガラス・コンクリートが産業構造に組み込まれた。その素材を使い建築物は一変する。明治政府は富国強兵、 産業興業を旗じるしに中央集権国家の形態が整備される中で近代産業は大きな課題であった。1877年に工部省に工部大学(現在の東京大 学)が設けられ造家学科(現在の建築学科)に英人建築家コンドルを招いて日本で初めて建築教育が始まった。その教育を受けた辰野金 吾、片山東熊ら4人は日本古来の良さも残す折衷主義様式のデザインから入る。木造建築から脱皮し煉瓦・鋼材・セメントで造られた。屋 根は瓦や銅板、壁は煉瓦や石積みやセメント、窓はガラスと鉄枠で、世に言う下田菊太郎の帝冠様式である。明治末には鉄骨構造や鉄筋 コンクリート構造法が紹介され地理的条件の中で耐震もいち早く考慮された。欧米の近代建築思想、アーツ・アンド・クラフツ運動やア ールヌーボ、ドイツ工作連盟、バウハウス、チーム10の思想は大いに刺激を受ける。特にフランク・ロイド・ライトやアントニオ・レイ モンド、ル・コルビユジエの影響は大きかった。時が流れ明治・大正・昭和の建築物が遺産(ヘリテージ)として呼ばれる時代に耐震偽 造なる言葉が飛び交うと、建築を志した者としていたたまれない気持ちになる。文化庁が登録する建築物の国の有形文化財だけが近代建 築史の象徴では無いことを国民が思い始めている。今、IT産業が日本の経済の花形のように持てはやされている時代に、自分が生まれた 時代、そして父親が生まれた時代を懐かしく思うアイデンテイが射水市のまちづくりに生かされれば幸いである。

●ヘリテージングのHPのデーターベス(富山県2件)
 高岡市山町筋・下山芸術の森
●福島県いわきヘリテージツーリズム協議会が発足〜福島放送
●愛媛県近代化産業遺産でまちづくり
●観光地づくりデータベス〜国土交通省の観光政策


☆ 元気で行こう菊たみお ☆
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