ダイナミカ（ヤン・ヴァンデルロースト）
〜初演によせて 稲垣征夫〜
私たちの吹奏楽団のためのオリジナル作品が欲しいという夢はかなり以前からあった。もし作曲してもらえるなら誰が良いだろうと侃々諤々の話をしたこともあるが、ではいつ？と言いつつしばらく実現に向けて動けずにいた。今回創立４０周年と言う事で、その話が急速に進み出来上がった作品がこれ。
作曲家のヤン・ヴァンデルローストは私が早くから注目していて、事あるごとにその作品を紹介し、あれよあれよと言う間にその作品と人が知られることになり、今では大変人気のある人物である。彼に日本で初めて作品を委嘱したのは私であり（長野市民吹奏楽団のための「オリンピカ」、昨年ＮＥＣ玉川吹奏楽団でも演奏）その時の出会いから今回の作品に対しても快く引き受けてくれ、その作曲にあたってはかなりの熱の入れようだったと聞く。
事実私たちの手元にこの曲が到着して最初に音を出した時、その作品のすてきなことに思わずニヤリとしたものだった。この作品は近年の彼の作品の中でも傑作の部類に入るもので、それを私たちの吹奏楽団が手にした喜びは大変大きいものがある。
タイトルの「ダイナミカ」はＮＥＣが電気関連の会社であることから、その動的な動き、吹奏楽団の活躍してきたそのエネルギーをイメージして付けられた、まさにこの吹奏楽団は会社と団員が一緒になってこの４０年をささえてきたのであり、私たちの活動を記念するにふさわしいタイトルと内容を持つこととなった。曲は祝典的な導入に始まり、活発でエネルギッシュに運ぶアレグロ、中間におだやかな場面を配して私たちの活動的な面となごやかな面を表出している。これは彼の私たちに対する心遣いであるが、ここに彼の人柄が良く表れていることが分かって頂けるだろう。
私たちの記念的なこの作品、今秋には全世界に向けて楽譜が飛び回る「ＮＥＣ玉川吹奏楽団の委嘱により作曲された」とコメントをつけて・・・・・。
（ＮＥＣ玉川吹奏楽団創立４０周年記念演奏会パンフレットより転載）
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