曲目解説

キャプテン・マルコ(広瀬 勇人)

〜21世紀の吹奏楽 第2回『響宴』参加作品〜

 作曲者の広瀬勇人氏は1974年東京都の出身で現在、東京ミュージック&メデアアーツ尚美に在学中です。この曲は昨年作曲されたばかりで、1998年11月佐藤正人指揮の尚美ウィンドオーケストラにより初演されました。

 題名の「キャプテン・マルコ」は13〜14世紀イタリアの旅行家マルコ・ポーロのことで、その著書「東方見聞録」によって初めて中国の広さ、勢力、そこに至る交通路が西洋に知らされました。彼は商人だった父親に連れられ、青年期の3年間を中央アジアで過ごし、そこで知り合ったフビライの招きで、一旦イタリアに帰国した後4年間に及ぶ大旅行の末に上都にたどり着きました。到着後はフビライの信頼を受けて帝国内の各地に派遣され、その道中の人々の生活、習慣、文化等を書き留めていき、この時赴いた土地での伝聞をもとにした「黄金が豊富でバラ色の真珠が大量にとれる」ヂパングについての記載が、西洋に日本が紹介された最初とされています。17年間フビライに仕えたマルコ海路をとってイタリアに帰国後「東方見聞録」を書き著しました。しかしその観察の正しさにもかかわらず当時の学者にはほとんどかえりみられることなく、1324年マルコ・ポーロはベネチアで生涯を閉じました。これらの資料が広く用いられるようになったのは、15世紀の大航海時代に入ってからのことです。

「キャプテン・マルコ」は、このマルコ・ポーロの大旅行を題材にした作品で、その地中海の船旅をイメージして作曲されました。曲の構成は5拍子に始まり大きく分けて4つの部分からなっています。

「21世紀の吹奏楽」は日本の吹奏楽の更なる発展を願って、日本を代表する作曲家や指揮者、出版界が協力して発足し、昨年「響宴」と題した第1回の演奏会が行われました。NEC玉川吹奏楽団は、今年の2月11日に有楽町の東京国際フォーラムで開催された「第2回 響宴」に、浜松交響吹奏楽団、川越奏和奏友会吹奏楽団、土気シビックウィンドオーケストラと共に出演して、そこでこの「キャプテン・マルコ」を演奏しました。他にも、当団は新作初演として、後藤 洋「ウィングス」、小編成作品である織田英子「スプリング・フィールドII」(20人編成)、20年ぶりの再演となった平吉毅州「シンフォニックバンドのためのラプソディ」を演奏しました。

(使用楽譜:作曲者)

Copyright(c) 1999 Shoji Kaneshige, Manager, The Band of NEC Tamagawa
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