曲目解説

ツェッペリン伯爵行進曲(カール・タイケ)

 代表的なドイツマーチの作曲家、タイケ(1864-1922)は若い頃、ウルムの第123連隊の軍楽隊でオーボエ奏者でした。22歳の時に有名な「旧友」を作曲したのち、まもなくしてから軍楽隊を去り、ポツダムで警官になりました。そこでタイケは「作曲するお巡りさん」として親しまれていました。作品に対してはプロイセン風の伝統的な行進曲のスタイルにウィーンの雰囲気を取り入れた新しい様式を開拓した功労者と言われています。

 「ツェッペリン伯爵行進曲」はタイケの晩年の作品で、第一次世界大戦で活躍したドイツの飛行船「ツェッペリン伯号」の初飛行に際し、ドイツの飛行船開発者として有名なフェルディナント・ツェッペリン伯爵(1838-1917)の功績をたたえて作曲されました。しかし、ドイツ以外の国では飛行船「ツェッペリン伯号」はドイツ軍の兵器の名前でもあるため、そのままのタイトルに抵抗があったのか「征服者」と改題されました。日本では、当初「飛行船ツェッペリン伯号行進曲」と紹介され、現在では「ツェッペリン伯爵」が通例になっています。ヨーロッパ諸国では、現在はオリジナルタイトルに戻りましたが、アメリカではいまだに「征服者」のまま出版されています。日本のCDなどでは、混乱をさけるためツェッペリン伯爵(征服者)」となっていることが多いようです。

(使用楽譜:カール・フィッシャー)

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