例えば、こんな小説を

トップページ > 例えば、こんな小説を

工藤一幸税理士事務所ホームページ

 

確定申告、相続等の関係の書籍は、ちょっと大きい書店に行けばいっぱい種類がでています。ここではそういう種類の書籍の紹介ではなくて、小説などで税務の話がちょっと出てきて(書かれた時から時間が経過していて、税法の改正により変わってしまった部分もありますが)読んで面白い小説をご紹介します。ただしこれらは楽しむために読むもので、これで税法の知識が身につくというわけではありませんが...。

 

清水義範は、パスティーシュ小説の作家というイメージが強いですが、ユーモアあふれる(というより笑える)小説だけでなく、特に税務関係が比較的深く関わる小説をいくつか書いています。これらもユーモアあふれていますが。細かく見ていくと、ちょっと惜しい表現の部分もありますけれど、かなり税務や法律を調べられているようで、リアリティー度は比較的高いです。楽しむために読んでみてもいいかもしれません。小説には弟さんが税理士だという記述が出ていますけれど、これもフィクションかもしれず、真偽のほどは定かではありません。

新築物語/清水義範(角川文庫)

‘96年単行本化。’98年文庫化。借地にある家を建て替えた物語。税務方面の記述は、家の建て替えにあたって、お金を出す人と持分や贈与の関係が少しだけ触れられていて、あとはあまり関係ない。しかし、借地権の期限切れ、新たに家を建て替える時の交渉、住宅ローンの問題、建て替えにあたっての道路のセットバックなど、税務以外でも家を建てる時にいろいろぶつかる問題がでてきて、読んでいて面白い。当然家を建てる時にぶつかる建築会社との交渉や手続きも細かく書いてあります。作者ご本人の家の建て替えをもとに記述されていて、けっこうリアル。将来家を建てようとする方は、読むと面白いかもしれません。

家族の時代/清水義範(角川文庫)

‘95年単行本化。‘98年文庫化。長年連れ添った両親が離婚をするというところから話ははじまります。ところが、2人とも仲が良いのは相変わらずで、離婚したあともいっしょに暮らし続けるらしい。そして父親はいとこと結婚か?という不思議な展開です。これはいわゆる相続対策の話で、離婚に伴う財産分与の話も出てきます。最初から最後まで相続対策と財産分与についてあれこれと話が進んでいきますが、それぞれの将来の相続人の思惑も絡んで、面白く読めてしまいます。解説で弁護士の木村晋介さんが、ちょっと補足説明を加えています。

お金物語/清水義範(講談社文庫)

この中で「被相続人」という20ページほどの短編があるのですけれど、これはそのまんま相続税法についての説明の小説といってもいいほど。当然文章も面白い。‘91年の単行本化(‘94年文庫化)だったので、ちょっと基礎控除などの数字が古いですが、相続税法の大まかなしくみ自体はあまり変わっていない ((注 ’03年)その後相続時精算課税制度ができて変わりました)ので、今でも読んで楽しめると思います。

 

B14j13.gif (481 バイト)