��浜について

高浜は長崎半島先端、野母崎4地区（高浜・野母・脇岬・野母崎樺島）の一つで野母半島の入口に位置している。
高浜村は建長7年（1255）より〜天正16年（1588）まで334年間深堀領であった。
その後、天領、公領などをへて昭和30年４月（1955）〜長崎県西彼杵郡４地区合併により野母崎町となり端島と中ノ島は高島町に編入する。
平成17年１月（2005）西彼杵郡野母崎町高浜から長崎市に合併後長崎市高浜町となる。
高浜は16自治地区からなり、北は三和地区に接する黒浜、西南は野母町と接する高浜出口、東側は木場で橘湾と接する。
木場地区は地籍の上では脇岬になっているが昭和33年（1958）に小学校区が高浜地区に編入した、それ以来高浜地区とみなされている。
二の岳(325m)、殿隠山（267m）、遠見山（259m）と小高い山が連続している。
古代3紀層になる弁天山（88m）がインゲリ鼻で海に入る。
海岸は、結晶片岩とはんれい岩といわれる岩石海岸で形成されており、特に、黒浜から以下宿にわたり約4キロの野母へんれい岩複合岩体が露出し、平成6年夫婦岩・綱掛岩が県指定天然記念物に指定されている。
砂浜は黒浜川の入る黒浜と、浜添の海岸にある。
浜添の砂浜は高浜海水浴場として市民に利用され日本の渚88選、日本の水浴場100選にも選ばれている。
高浜海水浴場の東側に丸田を中心とした水田地帯が発達しているが、もともと入江であった。
ここに流入する浦の迫川の沖積地となっている。
浦の迫川は川床の高い天井川をなしており、この附近は高浜の中心で寺院が二箇所あり、集落はまとまっている。
高浜海水浴場南端から、高浜出口にかけては、古里の僅かな湾入をみるが、距離550mまでの海蝕棚を伴い海岸である。
かつては、古里の市営住宅付近から田の子までは、長浜と呼ばれ砂浜だったが沖の砂を堀だしたため浸食したといわれている。
軍艦島（端島）はその砂で出来たと言われている。
また、軍艦島（端島）と中ノ島は高浜村が野母崎町に合併する前まで高浜に属していた。
小規模な農業・漁業がおもな産業であるが、炭鉱の島である端島や高島が廃坑になる前までは、貴重な就労場所であり、野々串港や古里港からは野菜舟が出て農産物の商も盛んに行なわれていた。
以下の資料は　故山田　主氏、松尾秀樹氏や��浜地区の有志によります。

高浜のはじまり

以下の資料は　故山田　主氏、松尾秀樹氏や高浜地区の有志によります。

高浜の名の由来 高浜の文字が始めて記述されたのは天応の頃(1267)深堀文書によって出現している。
当時は、高浜・阿久里高浜・切杭高浜が記されている。
「たかはま」は篁の濱（たけのはま）から発生したものである。三方を小高い山につつまれて西北の一辺が海に面し、山の裾野まで入江となり取り巻く陸地には篁が生え茂っていた。
それから篁の生い茂る水辺「篁浜（たけはま）」と呼称され「たかはま」となる。
（長崎県地名表より）*篁（たけ）とは竹林の意

「幻の千足町」

弁天山は、その昔離れ島で「向い島」と呼ばれていた、この東側の麓に千足町は有った。 しかし、平和な村は（千足町）は大水害によって一夜にして消え去る。
二の岳山の峠の大池で大きな鮒やうなぎが大漁に釣れた、その夕方から夜通し大雨が降り、そして明け方になって二の岳山の8合目にあった大池が満水となり耐えきれず池の土手となっていた大きな山が水に浮かんだようになって一度になだれとなって崩れ落ち、向い島の麓にあった小島と千足町の上に覆いかぶさった。

越地の名の由来
けえぢは東部の山、一の岳（二の岳山の片方）が地すべりして越して来て、ここに止まったと言う村の伝説があり越してきた地の越地の呼称だろう （高浜の字名の由来考より）

高浜の開祖

其の一

伝記の文書 、深堀文書には「深堀三浦公系図書並び家系図證文記冊」野母崎町指定文化財、この文書からみると、能仲公は上総の国（千葉県）深堀の在にて時の鎌倉幕府の頭領源頼朝の命により、戸八浦（野母崎半島西岸）の地頭職としてこの地に赴き高浜野母を治める役職を果たすと同時に高浜を開祖したと深堀文書に記されてある。

其の二

　言い伝え、郷土誌 本村の起源について古老及び世人の言い伝ふるところによれば、平家の滅亡の時に際し其の残党、三浦平六兵衛能仲（みうらひょうろくべいよしなか）の一族及び部下数人当村に来て今の殿が倉山（殿隠山）に隠れる。 しばらくして谷間下り、城山に仮の城を築き住し、しばらくすると人口も増え今日の高浜の形を作る。
しかし、当時すでに今の古里に数戸の民家があり僅かの住民がいたと伝えられている。
殿隠山の名の由来 殿隠れ山の名の由来は、能仲が隠れ住んだことからこの名が付けられた。
別の説によると狩倉(かりくら)が訛ったものとの説もある。
狩倉とは中世、地頭主（殿様）が独占し制限を加えた山野のことを言う。
つまり、殿の狩倉山が殿隠山に変化していった。
平家残党説もその殿隠という名前にこだわって作られたのではないかという説もある。
三浦神社にある石碑にも深堀家に関する記述が有るので深堀との関わりがあったことは認識している。 深堀神社に残されていた資料は2度の火災でことごとく焼失してしまいそれを確認する手段が今は無い。

三浦神社石碑文

高浜と深堀家

三浦能仲（深堀能仲）は、鎌倉時代の初め源頼朝の旗揚げに参加した神奈川県三浦半島の武将で、その巧により千葉県いずみ郡大原町深堀に領土をもらい、その後、1225年長崎の戸八浦（現在の戸町以西）の地頭となり、姓を変えて深堀と名乗った。 直ぐに着任したのではなく、上総の国（千葉県）と兼任だったため孫の時光の頃のようです。
戸八浦への着任は蒙古襲来に備えるため、西区に領土を持つ武将達に対して軍役を負担するように、幕府から命令が、下ったためだそうです。
その時光の子、時仲の時に領土分けを行い、長男時通には深堀総領家を、次男の時綱には高浜、三男仲家には野母を分け与えた。
その時綱が高浜の最初の殿様で、その子政綱が南北朝時代、九州一円で活躍し事実上の高浜を作りあげた殿様だそうです。
1346年、政綱が長男広綱に跡目をゆずる際、次男弥陀安丸は僧になり野母仲家と力を合せて菩提寺を建て、祖先の霊をともらうよう言い残した。
この寺が正瑞寺のだろうといわれています。 武門の神様を祀ったと言われる八幡神社の前身もこの政綱の頃かと思われます。
1868年（慶応4）神仏分離により八幡神社の社名を箭武者大明神から八幡神社へ改名している。
箭は矢と同じ意味で政綱は弓矢の名人で元寇の戦いで手柄をたてその巧を称え建てた神社が八幡神社の前身箭武者大明神と言われている。
伊能忠敬の記録のなかに黒浜の「八武者大明神（やむしゃだいみょうじん）」の記述かある。
おそらく浜添の八幡神社と同系統だとおもわれる。
深堀家は戦国時代に一族集結の必要性から深堀惣領の方へ集約され高浜とは疎遠になる。
深堀家惣領家18代純賢の時に、大村藩の領土長崎へ出入りする商船を差し止めた事が海賊行為とみなされ、秀吉の怒りをかい、領土を没収される。
その後、純賢は親交の有った佐賀鍋島藩の家臣となり、後に家老職を務めるまでになった。
深堀惣領家は、鍋島藩の飛び領となり、高浜、野母は天領となる。
深堀の菩提寺には今でも高浜弥五郎政綱の墓が残されているそうです。

高浜の支配の遍歴

高浜は建長7年（1255）から334年間にわたり深堀家の支配下にあった。
それ以前は記録が少なく詳細がわからない。
深堀家支配の後は公領や天領などになりその移り変わりは激しい。

年代	支配	備　考
保元元年(1156）〜	不明	肥前彼杵庄〜仁和寺領？
正治元年（1199）〜	王政時代	大村家の領地と推定される
建長7年（1255）〜	深堀領	深堀家 （334年間）
天正16年（1588）〜	公領	豊前小倉城主毛利壱岐守
慶長5年（1600）〜	天領	唐津藩主寺沢兵庫頭堅高
寛永15年（1638）	天領	長崎代官末次平蔵茂貞
延宝3年（1675）	天領	島原城主松倉豊後守支配
延宝4年（1676）〜	天領	天草代官今井九右衛門
元禄4年（1691）	天領	長崎代官今井九左衛門
元禄14年（1701）〜	天領	長崎代官山本興三右衛門
元禄15年（1702）〜	天領	長崎代官竹村惣左衛門
正徳4年（1714）〜）	天領	日田代官
享保5年（1720）〜	天領	島原藩主松平主殿預かり
寛延2年（1749）〜	天領	宇都宮城主戸田忠辰
明和5年（1768）〜	天領	長崎代官高木作右衛門
慶応4年（1868）〜	長崎裁判所	大政奉還、天領を没収長崎裁判所の支配下となる
慶応4年5月4日〜	長崎府彼杵郡	長崎裁判所を長崎府と改称、長崎府彼杵郡高浜村となる
明治2年（1869）〜	長崎県彼杵郡	長崎府を長崎県に改める、長崎県彼杵郡高浜村となる
明治11年（1878）〜	長崎県西彼杵郡	郡区町村編成法により西彼杵郡高浜村となる
昭和30年（1955）〜	長崎県西彼杵郡	４地区合併野母崎町となり端島、中ノ島は高島町に編入
平成17年（2005）〜	長崎県長崎市	旧長崎市と合併長崎市高浜町・黒浜町・以下宿町・南越町になる。