記事タイトル:長木誠司先生の「やれやれ」 


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お名前: 七夕の国   
読賣日本交響楽団が定期演奏会の時に配る
【Monthly Orchestra】の3月号に長木誠司さんが大変興味深い記事を載せていた。
同誌の「ステレオ楽壇トーク」で吉松さんとコンビで毎月掲載されているもの
である。
ちなみに読響の【Monthly Orchestra】はこの手のプログラムとしては内容の密度の濃さ
とおもしろさは抜群でこれを貰うだけでも定期会員になる意味の15パーセント
位あると言っても良い。

内容の正確を期するため、少し詳細に引用させていただく。
(一応引用の範囲だと認識しているが。問題があれば連絡してください
←関係者のみなさま←すぐ削除します)
-------------------------引用開始---------------------------------------
「日頃の教師根性からつらつら考えるに、音楽において最近もっとも教育という
ものが必要で、同時に難しく思われる現場は、インターネットに現れてきた多くの
潜在的「音楽評論家」たちに対するそれだろう」

「教育というものは元来〈上〉から行うものではなく、実り多き対話という相互行為
の中で意味を持つのだと言うことを、あらかじめ確認しておこう」

ネット上で

「いろいろな層やファン」が「忌憚なく自分の意見を述べあうことができる。
などというようなことを、本当にインターネット上に期待するとしたら(略)
その人はかなりの脳天気だと思われても仕方あるまい」

「問題はこうしたネット空間において、発言者たちがいわば「総評論家化」している
ことだ」

「たいていの人はネット上の会話を楽しんでいるだけなのだが、ときたま、
何を勘違いするのか、ネット上でだけ「評論家」を標榜し自称する人がいたりして、
そういう人の発言(分かりやすさを自認するも、単に表現が稚拙なだけのときもある)
が、残念ながらけっこう的はずれであったりする。」

「何か意にそぐわないことを指摘すると、どこか高みから見下しているように勘違いさ
れ、すぐフレーム・アップされて、そのあとに建設的な意見交換を続ける道が閉ざされ
てしまう。
やれやれ。」
-----------------------引用終わり-----------------------------------------

う〜〜ん、「評論家」の一人として内心忸怩たるものがある。(オイオイ(-_-;))
長木先生はユーモアに溢れる方だが、どうも相当ご立腹である。

私の超マイナーページをご覧になるような方は、長木先生ご立腹の背景にある
「ある事件」についてご存じの方も多いだろう。
もしかしたら、さらに以前の「閑古鳥」当時のあれこれも先生のお腹立ちの
遠因かも知れない。

「総評論家化」か!、いかに個人的な嗜好に属する事柄であっても、それを
マス・メディアであるインターネットで公然と行う限りは責任を持ちなさい
、という警告という風に受け止めさせてもらおう。

でも、私もネットサーフィンはやる方だが「実体」として考えてみると
果たして先生の心配する「総評論家化」の問題というのは存在しているのだろうか。
多少意地悪く見てみると先生の論旨には多少の飛躍がある。

「たいていは会話を楽しんでいるだけ」といっていながら、発言者が「総評論家化」
しているというのは厳密に言えば矛盾である。
また「総評論家化」の根拠として自称「評論家」を持ち出しその発言が的はずれだから
というのも論拠としては薄弱で整合性も弱い。
極端なたとえで恐縮だが、殺人犯がいるから日本人の「総殺人鬼化」が問題になる
わけではない。(これは単なるたとえで先生が問題視しているらしいHPは私の見る
限り目くじらをたてるようなものとは思えない。もっとも素人の私の見る目が間違って
いるのだと言われてしまうのだろうが・・・)
第一ネット上で「評論家」を自称しているところは私の知る限り一つしかない。
根拠とするケースとしてはレアすぎるのではないだろうか。

ただでさえ、最近インターネット関連のイメージは悪い。インターネットは危険な
「だめな人」の吹き溜まりのように思っている人も多いのである。
定期演奏会のプログラムを見る人の内、先生の主張の背景となっている
インターネットの問題の実体を知っている人は何人いるだろうか。
そういう意味ではかえって偏見を助長する危険もなくはない、いずれにしても
こうした文章の発表の場としては適した「場」ではないのではないだろうか。

あえて邪推させてもらえば
先生の言う自称評論家氏との論争で頭に来た鬱憤をはらしたというのが実体で
「総評論家化」の問題などいわば社会問題としての「意匠」にすぎない気もする。

でもまあ、この気っ風のよさが長木先生の魅力でもある。
[1999年4月22日 1時43分26秒]

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