一枚247円は安いか?!    PILZ盤80枚体験記

私ははっきり言って「安いもの」に目がない。
何と言っても安いと言うことは、一つの「価値」であり「美徳」である。
ただ、安いものを買うときには、自分の気持ちをおおらかに、優しくしておくことが必要であり
そうでないとしばしば、癇癪を起こすことになる。
つまり安物買いに走るときは、後悔しないだけの「心のゆとり」が必要だと言うことである。

え〜、そんなわけで、新聞広告のクラシックの名曲が一枚247円で、という
宣伝文句にすぐつられて、わたしは80枚組のPILZのセットを買ってしまったのである。
(カメラのドイの毎日新聞の誌上通販である。)
話がつながらないのは、私の心にさざ波がたっているせいであろうか。

これはその、壮絶な体験記である。
PILZはクラシックマニアの間では周知のレーベルで
データがでたらめで、幽霊演奏家の多いことでも知れ渡っているのである。
しかし、要は演奏が良くて安ければ、一応問題ないわけだし(強引かも)
とにかくこれだけまんべんなく、名曲がそろっているのだから
これから、クラシックでも聴いてみようかという人には最適のセットかもしれない。
全てVIENNA MASTER SERIES であるがCD上のデザインは統一されていない。
セットの番号とCDの番号は別に掲載する。

しかし、いずれにしろ聴いてみなければ良いのか悪いのか判らないのだから、
一枚一枚ちゃんと、真剣に聴いてみることにした。

繰り返すが、演奏データなどは余り当てにならない。
演奏や録音の善し悪しも、「安い」というバイアスをかけないように
気を使ったつもりだが・・・・・
ただやはり、正規の価格のものと全く同じ基準というのもフェアではないだろう
多少は甘くはなっているかもしれない。


番号 曲名 演奏者 寸評 備考 略称あり
ベートーベンピアノソナタ集「月光」「悲愴」「ワルトシュタイン」 ドゥプラフカ・トムシク 極めておとなしい演奏、素人臭い。 録音は「ワルトシュタイン」が「悲愴」の前。
ベートーベンピアノ協奏曲第三番 歌劇「フィデリオ」序曲 D・トムシク  指揮ナヌット オケは勢いもあり、響きも中庸の美で柔らかみもある。ピアノは若々しく溌剌とはしているが、元気一本槍の感じがする。もう少し深い情感がほしい。 リュブリアーナラジオシンフォニーオーケストラ
バッハ 平均律クラヴィーア曲集第一集 C・ジャコテット しっかりした演奏。多少杓子定規だが、元気。 録音は明瞭なもの。
バッハ 平均律クラヴィーア曲集第一集 C・ジャコテット ただ、短調の曲ではぶっきらぼうで情感が不足する。 ただし、繊細な響きではない。
ベートーベン交響曲第九番 指揮ユージン・デュヴィエ これほどあっけらかんとした第九も珍しい。珍品だがとても推薦できない代物。 フィルハーモニア・スラヴォニカ
ベートーベン ピアノ協奏曲第一番 序曲「シュテファン王」 D・トムシク指揮ナヌット ピアノは三番の時よりずっとよい。明るく伸びやか。オケは前と同じで良い演奏。 奏者が曲にあっているのか。これは推薦
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界」 指揮ヘンリー・アドルフ 何となく乱暴な演奏。響きが美しくないのがこまる。 フィルハーモニア・スラヴォニカ
ドヴォルザーク「スターバト・マーテル」 指揮マルコ・ムニー 管弦楽、歌唱とも大変情感豊かな、良い演奏。独唱陣はなかなかの美声。 トラック1でノイズ。演奏だけなら推薦。。歌詞なし。
テレマン「ターフェルムジーク」T、フンメル トランペット協奏曲 指揮ユージン・ドヴィエ イ・ムジチから三割方、色彩感とヴォリュームをとったような演奏。しかし、情感もあり爽やかな印象は好ましいもの。二つのフルートも素朴で良い。 カメラータ・ロマーナ
準推薦
10 テレマン「ターフェルムジーク」U、リヒター トランペット協奏曲 指揮ユージン・ドヴィエ トランペットとオーボエのための食卓音楽。トランペットの音にもっと柔らかい風情が欲しい。 カメラータ・ロマーナ
11 チャイコフスキー「ロミオとジュリエット」「眠りの森の美女」他グリンカ 指揮ローレンス・ジーゲル/アルフレッド・ショルツ 「ロミオ」は期待させる出だしだが肝心の所で急に迫力不足になる。「眠り」とグリンカは足早の淡彩の演奏でつまらない。 ニューフィルハーモニック・オーケストラ
12 チャイコフスキー交響曲第六番「悲愴」 指揮ナヌット このコンビのものは総じて録音演奏とも優れているようだ。スケールはあまり大きくないが迫力、情感とも良。もっと歌って欲しい部分もあるが。バランスのとれた演奏。 リュブリアナRSO推薦
13 バッハ オルガン作品集 オットー・ヴィンター コラール前奏曲が中心。引き締まった几帳面な演奏。録音良。トッカータとフーガニ短調では物足りなさもあるが、明瞭、堅牢、誠実な演奏である。最後の幻想曲とフーガト短調は特に見事な演奏。 ジルバーマンオルガン(?)の豪快で美しい響き準推薦
14 バッハ ゴールドベルク変奏曲 他 クリスティアーネ・ジャコッテ がっちりした演奏。もっと繊細な色合いの変化や鮮やかなリズムが欲しい。腰が重い。 私自身が苦手な曲。
15 ヴィヴァルディ 「四季」 指揮 アルベルト・リッツィオ 艶のある響きでなかなか美しい四季。特に目新しい表現でもないが、柔らかく、流麗な歌い口は魅力がある。 ムジチ・ディ・サン・マルコ
16 ヴィヴァルディ 協奏曲集 指揮 アルベルト・リッツィオ チェロ(RV415)フルート(RV533)二つのヴァイオリン(RV524)マンドリン(TV425)他。オリジナル楽器使用。かなり濃厚な響きだが、その分聴き応えはある。
RV124も入っているがオルガン協奏曲となっている!。
(弦楽のためのが正しい)、マンドリンは下手。珍しい二つのオーボエ、ホルンとヴァイオリンのための協奏曲が聴きもの。(おそらくRV562)。
ムジチ・ディ・サン・マルコ
八曲入。推薦
17 ピアノ 偉大な作曲家の小品集1 シルビア・カボバ 全16曲。明るく澄んだ音。率直、平明な演奏で好感は持てる。テクニックもしっかりしていて、何となくピアノ練習用CDのような感じもする。 なし
18 ピアノ 偉大な作曲家の小品集2 マリアン・ビフカ 明るく硬質な音。ただ1より幾分柔らかみが感じられる。(表現にも)。「子供の情景」は抜粋。これは剛直な演奏。 全25曲
19 ベートーベン交響曲第3番「英雄」 指揮ヘンリー・アドルフ 全体に明るく軽量級の演奏。素朴な印象もある。弦の厚みに乏しいが、木管の響きは心が和む。 南ドイツ・フィルハーモニー
20 ベートーベン交響曲第6番「田園」/ピアノ4重奏曲作品16 指揮ハンス・スヴァロフスキー
バンベルク四重奏団
本当にスヴァロフスキーなら懐かしい名前だ。日本人も多く世話になった人。指揮者の表情で音が変わることをハンケチで「実証」したりして、教育者としても有名。スピーディーで闊達な田園。ハンガリー系の特徴?各声部がくっきり描き分けられる。
第二楽章はゆったりと歌われる一方大変明晰な表現で聴きもの、最終楽章の穏やかさも良い。データが確かなら面白いのだが・・。ピアノ4重奏も珍しい。剛毅で情感豊かな演奏。
ミュンヘン交響楽団
田園の第二楽章は推薦
他は準推薦
21 ブラームス 大学祝典序曲・悲劇的序曲・ヴァイオリン協奏曲 指揮ヘルムート・ブッヒャー ピルツのオーケストラものは概してデッドで、ストレートな響き、録音のものが多く、雰囲気に欠ける。序曲の方はやたらに力んだ演奏で好きになれない。ヴァイオリンの方は演奏者不明。演奏は多少キンキンした音だが、纏綿としてよく歌う。ただもう少し肩の力を抜いた柔らかみが欲しいし、一本調子の面もある。 ミュンヘン交響楽団
22 ブラームス 交響曲第2番・愛の歌作品52 指揮リーポー・パゼクゲヒング州 早川雪洲という人はいたが、西洋人で州のつく人が指揮しているという珍品。しかし演奏は誠実ですっきりした良いものである。録音も豊かな響きではないが、清明感のあるもの。オケも堅実。
しかし、聴きものは「愛の歌」でもちろん、四手のピアノと混声合唱付き。ヘルムート・リリング指揮(?)。これはすばらしい。
歌詞はないが、全18曲。優しいブラームスの「憧れ」みたいなものが横溢した、夢見るように美しい合唱。
ロンドン・ロイヤルフィルハーモニックオーケストラ
推薦
23 ブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」 指揮ヘンリー・アドルフ 響きは浅く、腰高で、演奏自体も美感を欠く。 フ・スラヴォニカ
24 ブルックナー交響曲第2番 指揮アルベルト・リッティ 極めて埃っぽい、干涸らびたような録音で、聴きづらいこと甚だしい。
颯爽としているようだが、情感が不足し、雑にきこえてしまう。
フ・スラヴォニカ
25 ショパン ワルツ集 ピアノ ベーター・シュマルフス 明るく、透明感のある音だが、ショパンらしい微妙で複雑な色合いの変化に乏しい演奏である。 なし
26 ショパン ピアノ協奏曲第2番その他 ピアノ マリアン・ビフカ
指揮者不明。何とも味気ない伴奏。これだけ機械的なのも珍しい。ピアノは硬質のタッチ。力強い低音。情感に不足のない演奏であるが、オケに引きずられるのか色彩感が乏しく単調になる面もある。
ピアノ小品は、録音が悪く鮮度に乏しい、鈍重なもの。
スロヴァキア・フィルハーモニー
27 ヘンデル 組曲「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」 指揮アレキサンダー・フォン・ビタミック 中庸の演奏。カラヤンみたいに壮麗でゴージャスでも最近の古楽器の演奏のような美しい響きと、溌剌とした表情のものでもない。
わかりやすく言えば「あか抜けない」演奏。
南ドイツ、フィルハーモニー
28 ヘンデル 合奏協奏曲5番、6番、7番 指揮ハンス・ザノテリ 「水上の音楽」よりは幾分鮮度の良い響きと表情がある。弦は多少硬質の響きだがそれなりに活気がある。しかしもっと表情に柔軟さと、響きの豊かさがないと楽しめない。 北ドイツ、フィルハーモニー
29 ハイドン交響曲第99番、101番「時計」 指揮アルフレッド・ショルツ 99番、101番とも大変ノイジーな録音で、木管などかすれがちである。ハイドンには最悪の条件。前者の演奏はしっかりした標準的なもの。(101番は鈍重)何れにしろ音が悪すぎる。 99番フ・スラヴォニカ 101番南ド・フィル
30 ハイドン交響曲第94番「驚愕」/協奏曲第五番「フェルディナンドWのための」 指揮アルフレッド・ショルツ/アルベルト リッツィオ 相変わらずささくれたような弦の響きが気になる。几帳面で愛嬌のない感じの「驚愕」。協奏曲の方がずっと良い響き。こちらは流麗な演奏で好感がもてる。ただもっと柔らかで雰囲気豊かな録音だとさらによいのだが。曲の詳細は不明。楽器編成等からは確認できなかった。ノットゥルノとは異なる。独奏部はフルートとオーボエ。 フ・スラヴォニカカメラータ ・ロマーナ 
31 モーツァルト交響曲第35番「ハフナー」・第38番「プラハ」 指揮 アルベルト・リッツィオ 大変活気のある「ハフナー」。標準的演奏。演奏は「プラハ」の方が曲のせいもあるがより流麗で、充実している。ただオーケストラの響きにもう一つ、香気というか、美しさが欲しい。いずれにしても名演が多くて、それとの比較になってしまうので、損な曲目である。 モーツァルト・フェスティバル・オーケストラ
32 モーツァルト ザルツブルグ交響曲k136,k137,k138 指揮アルベルト・リッツィオ/ヘンリー・アドルフ 「セレナータ・ノットゥルナ」k239も入っている。こちらはアドルフ指揮。録音も荒れ気味の愛嬌のないもの。ディヴェルティメントは活発だが
もっと鮮やかさや、軽快さ響きの美しさがないと、おもしろくない。
南ドイツ交響楽団/ミュンヘン交響楽団
33 ドビュッシーピアノ曲集 ピアノ ベーター・シュマルフス 明るい音は相変わらず。ひじょーにあっさりしたドビュッシー。二つのアラベスクや月の光などの名曲も。ぱらぱらと弾かれてしまう。
スタインウェイ
34 ドビュッシー弦楽四重奏第1番/ベルガマスク組曲 インターナショナル弦楽四重奏団 大変輪郭の明瞭な演奏。響きに洗練されたところはあまりないが、結構色彩感もあり、艶もあって悪くない。以前聴いていた、イタリア四重奏団のイメージに近いかもしれない。響きの美しさと流麗さではもちろん落ちる。ベルガマスク組曲は素っ気ない感じでいまいち。ベルガマスク組曲にフルートのシュランクスや沈める寺まで入っている。フルートは美音。ピルツの細かいデータは気にしないことである。 ピアノ ベーター・シュマルフス
35 ドヴォルザーク交響曲第8番/ハイドン交響曲82番「熊」 指揮ヘンリ・アドルフ/アルフレッド・ショルツ お国ものなのだろうか、このオケにしては、まともな音の録音。ニュアンスの乏しさ、大きな音になると響きが荒れるのはいつもの通りで、あまり長くつきあえない。「熊」はもっとひどい演奏。 フィルハーモニア・スラヴォニカ
36 ドヴォルザーク 弦楽セレナーデ/スラヴ舞曲 指揮クルト・レーデル 音源からか、ノイズが入る。原音は柔らかそうに聞こえるが、音の状態は特に高音がささくれ気味。演奏は質実なもの。第一曲のゆったりした歌は良い。バッハの時の朴訥なイメージとはひと味違う。やっぱりブラームス風かなぁ。スラブ舞曲はピアノ連弾。明快な標準的演奏。 プロ・アルテ・オーケストラ準推薦
37 グリーク ホルベアの時代から/バラード他 指揮 L・ペセク/ 「ホルベア」の方は豊かな響きではないが、清々とした弦の音が曲想にもあって冷涼感と抒情性のある良い演奏である。ピアノもほぼ同様のことがいえる、明るく明快な音だが、このレーベルにしては珍しく、どこかしっとりとした落ち着きのある響きで、演奏自体も清楚な情感がある。
名曲「バラード 作品24」も入っていて、選曲も良い。ピアノ シュテファン・イェシュコ
スロヴァキア・フィルハーモニー
推薦
38 シベリウス ヴァイオリン協奏曲/抒情小品集 ヴァイオリン ブルー・ツウィッガー ヴァイオリンは振幅の大きな演奏で、情感豊かである。激しい感情の起伏でなかなかの迫力。艶のある音、ただ終楽章などはテクニックに切れ味が乏しくなる。オケは概しておとなしめの演奏。「悲しきワルツ」は大変情感にあふれた演奏。グリーク゛の小曲集はピルツ特有の明快な録音。もっと優しい風情が欲しい。ピアノ マリアン・ビフカ 謎のヴァイオリニスト。指揮はカルロ・パンタリ準推薦
39 ハイドン 交響曲48/59/92「オクスフォード」 指揮 ヘンリー・アドルフ 48番と92番は良い響きで録音されているが、59番はホコリっぽい録音でだいぶ差がある。若い番号ではハイドンの音楽の持つ活気やウイットに乏しく、鈍重感がある。92番は構えのしっかりした、情感に富んだ演奏だが、名演揃いなので響きの洗練度や各楽器のニュアンスが物足りなくなる Phil・スラヴォニカ
40 ハイドン 弦楽四重奏曲63ー65番 カスパーダ・サロ四重奏団 作品64の「第2トスト」と言われる曲集からの三曲だが、見事に「ひばり」が抜けていて、渋い選曲。ハイドンのこれらの作品は正直言ってあまり聴きもしないし、良さもよくわからない。演奏は大変落ち着いて、温厚なもの。ナクソスのコダーイQaほどの爽快感はない。 なし
41 リスト ピアノ協奏曲他 ピアノディーター・ゴルドマン 指揮はアルフレッド・ショルツ。ピアノは最初は度肝が抜けるほど下手である。さすがに本職だけに持ち直すが何となくぎくしゃくした演奏。
少しも情感が伝わらない。オケは時々荒っぽくなるし、これも情感不足。
Phil・スラヴォニカ
42 リスト 交響詩集 指揮アルフレッド・ショルツ 全体に間合いの取り方が浅く、深みがない。特に「前奏曲」等は曲想からしてある程度ドラマを感じさせる迫力がないと物足りない。収穫は「オルフェウス」「タッソー」等聴く機会の乏しい曲が入っていること。「前奏曲」に比べどちらもより叙情性が強く幻想的で良い曲である。 ロンドン・フェステイバル・オーケストラ
43 マーラー交響曲第1番「巨人」 指揮 ウラジミール・ベトロシェフ 何とも思い入れのたっぷりした「巨人」。表情の細やかさや、響きの美しさや色彩感の乏しさを感じることもあるが、朴訥な入れ込み方に説得させられてしまう面もある。怪演というか、自己陶酔型の熱演。 フィルハーモニックフェスティバルオーケストラ
44 マーラー交響、曲第5番 指揮 アントン・ナヌット 大変優しいマーラーである。威圧感や凶暴さは全くない。従って第1・2楽章ではいささかひ弱な印象が残る。反面アダージェットは愛の歌と言うよりアルマの子守歌のような感じで、なかなか良い雰囲気である。 リュブリャーナRSO
45 メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」/ビゼー交響曲第1番他 指揮 フォン・ビタミック/M.Fマガ/アルフレッド・ショルツ 「真夏」は南ドイツPhiをビタミックが振ったもの。録音の編集が杜撰で音が途切れる感じがする。演奏もはなはだ粗雑なもので少しも「妖精の世界」の雰囲気が出ない。ビゼーの「子供の遊び」はマルティノンのような軽妙さはないが、独特の無骨なユーモアとおっとりした風情がある。ニュルンベルガー・シンフォニカー。ビゼーの一番はロンドンフィルとショルツの演奏。堅実だが表情に柔らかさがない。美しい第2楽章も味気ない 「子供の遊び」は推薦
46 メンデルスゾーン交響曲第4番「イタリア」第五番「宗教改革」 指揮 アルフレッド・ショルツ なんとなく生気溌剌としない出だし。生き生きとしない「イタリア」は聴く気が起きない。「宗教改革」は標準的な演奏だが感動の盛り上がりがなく通り一遍の演奏でつまらない。 ロンドン・シンフォニー・オーケストラ
47 モーツァルト ホルン協奏曲第2,4番他 指揮ヘンリー・アドルフ ホルンはおっかなびっくりで相当下手である。おまけに演奏者がコシファン・トゥッテと言う人だったり珍品ではあるが・・・・もちろん序曲もある。 不・スラヴォニカ
48 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第五番、音楽の戯れ 指揮 パウル・カンチーダー ヴァイオリンはユラ・チズマロヴィック。管弦楽は標準的だが響きに明るさや瑞々しさが乏しい。ヴァイオリンは甲高く細目の音。リズムに切れがなく柔らかみもない。「戯れ」の方は愛嬌がないし、響きに美観がない。 カペラ・イスロポリターナ
49 モーツァルト レクイエム 指揮 フェルディナンド・グロスマン ウィーン少年合唱団。 ウィーンコンサートハウス・オーケストラ
50 モーツァルト 戴冠式ミサ モテット「踊れ、喜べ」 指揮 エルンスト・シンライナー 溌剌として元気な演奏で、曲にあっている。歌手は張りのある声ではあるが、あまり繊細感や透明感はない。 オーケストラ 不明
51 モーツァルト歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 指揮者 不明 溌剌としてダイナミックなオーケストラ。タイトルロールはなかなか艶のある立派な声だし、表情も豊か。ドンナ・アンナとレポレロは少し固い。
全体に柔らかで、微妙な陰影に乏しいが一応の水準の演奏。
ハイライト盤
52 モーツァルト歌劇「フィガロの結婚」「魔笛」 同上 最初に「劇場支配人」の序曲。良く意図が分からないが、勢いのある演奏である。少し荒っぽいが・・。歌手は東欧系。ちょっと声も表情も重い。
それにしても一枚に歌劇二つは却って不親切。
ハイライト盤
53 シューベルト「さすらい人幻想曲」、交響曲第6番 指揮 アルフレッド・シュルツ 「さすらい人」はフーゴ・シュトイヤーの演奏。ピルツ特有(?)のパキパキしたピアノの音で、げんなりする。ファンタジーのかけらもない演奏。
交響曲の方はオケの音が幾分ささくれ気味。スピード感のある演奏。
別に悪くはないが、音と表情に潤いが乏しい。
バンベルグ・フィルハーモニー・オーケストラ
54 シューベルト弦楽四重奏曲「死と乙女」他 カスパーダ・サロ弦楽四重奏団 一言で言えば大変丁寧な演奏。しかし何となく平均的でつまらない感じもする。どこが悪いというのではないが、全体に今ひとつ魅力がない。 なし
55 シューマンピアノ協奏曲 交響曲第4番  指揮マルコ・ムニー ピアノ ドゥラフカ・トムシック。オケは情感に富んだもので良い。ピアノも堅実な演奏で好感が持てる。ただいずれもこぼれるような美音と言うわけではないので限界はある。4番はヘンリー・アドルフ指揮。録音が悪い。ラジオ的音響。演奏自体は標準的。悪い音を我慢して聴くほどのものでもない。 リュブリアナRSO/フィル・スラヴォニカ
56 シューマン 交響曲第1番「春」・第3番 指揮 アルフレッド・ショルツ 明るい音だが、録音はまし。弦の音にふくらみが足りないのは、このレーベルの一般的傾向。「春」は明るく元気な演奏だが、デッドな録音のせいか幾分ギスギスする。「ライン」は録音が悪くなる。溌剌としているが情感不足。 フィルハーモニア・スラヴォニカ
57 スメタナ 歌劇「売られた花嫁」から・弦楽四重奏「我が生涯」 指揮リボ・ペセク スメタナにチェコのオケとは何となくできすぎのようだが、信用しておこう。演奏は良いものである。大変生き生きしてた演奏。アンチェルのライブを思い出す。柔らかい響きの弦、鄙びた木管、これは二重丸推薦。「我が生涯」は演奏団体不明。冴えない演奏で×。 チェコ国立プラハフィルハーモニー
58 スメタナ「我が祖国」全曲 指揮リボ・ペセク/デニス・ゾルタイ いきなり「モルダウ」から始まる。やっぱり「高い城」(青い城になってる)の
ハープから聴きたいところである。モルダウは少し川幅が細い感じ。青い城は響きが乾き気味。シャールカも同様。「ボヘミアの森と野から」もせわしなくノイジー。二つの演奏団体が記載されているが。ライブ録音のようである。
チェコ国立プラハ/フィル・スラヴォニカ
59 ヴェルディ歌劇「アイーダ」ハイライト 指揮ハンスペーター・グミュール テノールはファン・ペレス、ソプラノ エヴァ・イレス。生真面目で頼りなさそうなラダメス、のっぺりして固い声のアイーダ。 ニュルンベルク・シンフォニカー
60 ヴェルディ歌劇「リゴレット」ハイライト 指揮ハンス・ザノテリ タイトルロールの声が艶のない、ごっつい声でいまいち。オケの響きも固く、他の歌手も一本調子。 ニュルンベルク・シンフォニカー
61 ヴェルディ歌劇「椿姫」ハイライト 指揮アレクサンダー・ビタミック とにかくオーケストラの音がノイジーで汚い。歌は相変わらずぎこちない、一本調子のもので、とても楽しめるものではない。 ニュルンベルク・シンフォニカー
62 ヴェルディ歌劇「オテロ」ハイライト 指揮イストゥヴァン・ケルテッツ ドイツ語の「オテロ」はやっぱり違和感あり。指揮者にびっくり。でもオケは日本のアマチュアレベル以下のような感じ。デズデモーナはドイツ語のせいか何となく優しくない。 アウグスブルク市立オーケストラ
63 ワーグナー歌劇「トリスタンとイゾルデ」 指揮ロベルト・ワーグナー オケは豊潤な響きではないが、すっきりしてそれなりの情感があるが、歌手の方にほとんどデリカシーを感じない。堅物のトリスタン、幾分胴間声のイゾルデで、色気や狂おしい愛といった風情に乏しいが、一定の水準ではある。ドイツの地方都市レベルか?  インスブルック・シンフォニー
64 ヴェルディ歌劇「トリスタンとイゾルデ」 指揮ロベルト・ワーグナー CD1は第1幕と第2幕第一場。CD2は第二場と第三幕。いずれもハイライト。イタリアものよりは安心して聴いていられる。トリスタンのお試し用。できればイゾルデの歌に透明感がほしいが・・・・。もちろん歌詞はない 同上
65 オペラ名曲集 指揮マルコムニー 充実した、中庸の演奏である。響きも豊かで落ち着いて聴いていられる。
「マイスタージンガー」序曲から第1幕前奏曲。第三幕前奏曲。スメタナ「売られた花嫁」ポロディン「イーゴリ公」合唱もしっかりしている。
リュブリァナRSO
準推薦
66 アリア名曲集 ETC ソプラノの名アリア集である。東欧系のソプラノの輝かしく、強靱な声を聴くことができる。とくにヴェルデイ「ドン・カルロ」のエポーリ姫のアリアなどを
歌っているチェヴェイック。プッチーニの「トスカ」等を歌ったルクフォシック等は凄い声である。ただ歌い口に堅さがあり、ニュアンス、劇的表現とも単調な感じを否めない。
ETC
67 珠玉の序曲集
第一巻
指揮アルフレッド・シュルツ 何とも情感のない響き。録音は悪い。演奏は元気だが荒っぽい。
ささくれた弦の響きを聞き続けるのはつらい。「売られた花嫁」「魔弾の射手」「運命の力」「ウィリアム・テル」「ローエングリン」第三幕前奏曲
南ドイツフィルハーモニー
68 珠玉の序曲集
第二巻
指揮アルフレッド・シュルツ 曲はこちらの方がおもしろい。シューマン「ヘルマンとドロテア」メンデルスゾーン「異国よりの帰郷」スッペ「美しきガラテア」「怪盗団」等が入っている。
録音は相変わらず悪いが、幾分ましな気もする。曲のせいか?
美しい曲が多い、もうちょっと柔らかみのある響きだと良いのだが・・
南ドイツフィルハーモニー
69 ロマンチックピアノ曲集第一巻 (*_*) (>_<) ・・のはずだったが、入っていたのはモーツァルトの「レクイエム」(T_T)
247円のために、クレームを付ける気にもならず、泣き寝入り・・・・・
ちくしょう
70 ロマンチックピアノ曲集第二巻 ベーター・シュマルフス 珍しく幾分湿度のあるピアノの音。タッチの柔らかさはある。テクニックは相当怪しい。そのわりにショパン、リスト、スクリャービン、ラフマニノフと無謀な選曲。全体になまくら気味。 なし
71 瞑想のための音楽第一巻 多数 いわゆる通俗名曲に偏らず、落ち着いた曲が並んでいる。演奏は堅実なものが多い、反面、繊細な情感に欠ける面もある。オーケストラ、ピアノ、オルガン、グラスハーモニカなど多彩ではある。録音は普通。 なし
72 瞑想のための音楽第二巻 多数・不明多し マーラーの五番の第一楽章のトランペットが鳴り響き驚愕する。これで瞑想するのだろうか。録音は第一巻より劣る。 なし
73 瞑想のための音楽第三巻 多数 「シェーラザード」の「王子の物語」は活力のある良い演奏である。オーボエを筆頭にフルート、ファゴット陣が健闘。(レツッカ指揮スロヴァキア国立フィル)。レーガーの「ラルゴ コン グラン エスプレシオーネ」は濃厚な浪漫性と激しい情感にあふれた曲。(レーガーのヴァイオリン協奏曲の第二楽章)録音が悪くオケは霞み、ヴァイオリンはギスギスしているが劇的な表出力のあるもの(Vaラウテンバッヒャー)。「火の鳥」の「子守歌」も良い演奏なのに録音が悪すぎる。 録音状態が悲惨
74 瞑想のための音楽第四巻 多数 解説と曲順が違う。シュボーアの「ロマンス」はあんまり柔らかみはないが堅実なのでクラリネット学習者向き。オーケストラ関連は録音が悪い。ディッタースドルフのチェンバロ協奏曲など良い曲なのに、雑な録音で損している。
それにしてもこのシリーズは曲目表示が半分で不親切きわまる。
録音が瞑想を壊し気味
75 クラシック フェスティバル第一巻 多数 ダンツィ(フランツ、)の交響曲ニ短調から始まる。ベートーベンと同時代のドイツの作曲家だが、あまり聴く機会はない。優雅で趣のある音楽である。演奏も良いが1楽章のみ。ベートーベンの7重奏曲は大変爽やかな演奏。後は標準的な演奏。 なし
76 クラシックフェスティバル第二巻 多数 最初のシンディングの「春のささやき」はほんとに美しい曲だが、味気ない演奏でがっかり。ホルストの「金星」もファンタジーに乏しい。ブラームスの合唱曲「ロスマリン」は素晴らしい。ラヴェル「ツィガーヌ」はしっかりした技巧で熱演だが、切れ味と冴えがいまひとつ。 なし
77 バロックフェスティバル第一巻 多数 ビルツのオムニバスものとしては出色の出来。最初のアルビノーニの溌剌として艶のある響き(ザクレブ・ソリスト)、ロセッティの管楽五重奏の明るく充実した響き(シュトットガルト五重奏団)等1楽章だけなのがもったいない程。ラウテンバッヒャーのロカテルリはVOXBOXのものと同一だと思うが詳細不明。最大の欠点は曲名の表記が半分と言うこと。
ロカテルリやロゼッティ等選曲は多彩なのに・・・・
録音は良
準準推薦
78 バロックフェスティバル第二巻 多数 これも良い演奏である。ヴィヴァルディのオーボエソナタなどほんとに美しい。CPEバッハのオルガン協奏曲、クワンツのフルート協奏曲等ここでも選曲が多彩なのに、全17曲のうち7曲の記載があるのみ。
率直だが、生き生きとした演奏が多い。ヴィヴァルディのマンドリン協奏曲
はマンドリンがお粗末だが・・・。
一巻とともに、バロック入門には良いCDだが、曲名が不親切。
録音良
準準推薦
79 ロマンティック フェスティバル第一巻 多数 スメタナ「ポルカ エピルゼン物語」、バイエル「人形の妖精」、アディンセン「ワルソー・コンチェルト」等珍しい曲が並ぶ。バイエルはピアノ教則本以外にこんな明るいユーモアのあるオーケストラ曲を書いていたのだ(?!)。15分近い中編。正しくはアディンセル(リチャード、1904−1977)の
ワルソー協奏曲は映画《危険な月の光》(1941)のための音楽。大変ゴージャスな迫力があり一聴の価値はある。(
多少ラフマニノフもどきでも・・・。)チャイコの「イタリア奇想曲」。久しぶりに聴いたが、飾らない良い演奏。
「ワルソーコンチェルト」はデートのBGMに最高。
80 ロマンティック フェスティバル第二巻 多数 リスト「ハンガリー幻想曲」はピアノとオーケストラのための、それこそロマンチックな曲。ベーター・フランクルのピアノは線は少し細いが切れ味の良いもの。オケにヴォリュームがないのが弱点。チャイコの「フィレンツェの思い出」は室内オケによるもの。(編成は?)大変に美しい響きの演奏。
ブラームス(ヴィオラソナタ)バルトーク(弦楽四重奏)ともに少し引っ込み思案。最後はトリスタン「愛の死」は普通の演奏。
リスト「ハンガリー幻想曲」は聴き応えあり。