替え歌の引用(転載)について考える

    1998年1月、私は某掲示板にて「くりりんHPで行われている、『日曜研究家』『まぼろし小学校』からのレインボーマン替え歌の転載は、著作権を侵害している」という指摘を受けました。
    以下の内容は、その指摘に対し調査、回答したものです。

    これって著作権法に触れるの?
    著作権情報センターに問い合わせてみました(その1)
    著作権情報センターに問い合わせてみました(その2)
    朝日新聞社に聞く

    ※タイトルは、掲示板に投稿した時のものと異なります。


    ◆これって著作権法に触れるの?>■■■■さん


    引用のつもりでやってたんですけど、個々の歌詞にコメントが付いていないから転載になるということでしょうか。問題があるようでしたら、近日中になんとかしておきます。とりあえず【着順】と【地域別】、それぞれのページの転載部分にコメントをつけて、引用の形式にすれば大丈夫ですよね(コメントが思い浮かばなければ、一時削除するしかないか・・・)。

    >一番最後の奥付をちょっと読んでみて下さい(著作権の侵害はまずいです)。

    すみません、手元にその本(『日曜研究家』and『まぼろし小学校』)ないんですよ(弟の所有物なのです)。著作権法の範囲を越えて何かを禁ずるような記述が(奥付に)ありますでしょうか?


    追記:素朴な疑問なんですけど、ああいった替え歌って「著作物」にあたるのでしょうか(^_^;)?今回の場合、おそらく替え歌を含む記事全体が、著作権法第12条で言うところの「編集著作物」に該当するのでしょうが、個々の替え歌は「著作物」ではありませんよね。

    追記2:更に疑問です(^_^;)。「編集著作物」が幾つかの「著作物」によって構成されている場合、個々の「著作物」の著作権は、それぞれの「著作物」の著作者にあるわけですよね。逆に言えば、「編集著作物」を構成する個々の「著作物」の利用については、「編集著作物」の著作者は何ら口を出すことが出来ないということになります。では、「編集著作物」を構成する素材が、「著作物」ではない場合はどうなのでしょうか。

    気になるんで、ちょっと著作権情報センター辺りに問い合わせてみます(^_^;)。

    ◆著作権情報センターに問い合わせてみました(その1)



    替え歌の歌詞の著作権は、替え歌自体の作詞者と元歌の作詞者が有しているということです。串間氏は個々の替え歌については著作権を有していません(串間氏から転載許可をもらっても無意味ということです)。今回のような口伝えで広まった替え歌の場合、替え歌の作詞者は(おそらく)不明ですから、転載許可を求めるとしたら、その相手は「レインボーマン」の作詞者である川内康範氏のみということになります。

    作詞者から許可をもらえるかどうかは、これはもう作詞者次第です。
    (レインボーマン替え歌には、下品なものもありますからねえ。不許可くらう可能性大かも(笑))

    ただ、替え歌は、昔から著作者の許可を得ずに新聞や雑誌上で使われてきた(であろうと推察される)存在です。たとえばスポーツ新聞の見出しに「長嶋は今日も駄目だった〜」と、「長崎は今日も雨だった」のごく短い替え歌を載せる場合でも、本来であれば「長崎は今日も雨だった」の作詞者の許可がいるはずなのですが、現実にいちいち許可を取っているかというと、これは疑わしい。(著作権情報センターの方はそこまでは断言しませんでしたが)無許諾での替え歌の掲載がまかり通っているのが現実でしょう(もちろん「許可を取らなくても良いという話しじゃない」とは仰ってました)。この辺りをどう考えるか。

    尚、著作権情報センターの方からは、編集著作物の著者(串間氏ですね)に対して、レインボーマンの替え歌を掲載するにあたり作詞者から許可をもらったかどうか確認してみるのが良いだろうというアドバイスを戴いております。串間氏がもしも許可を得ずに替え歌の掲載を行っているのであれば、作詞者から訴えられた際に「あちらでもやっているが、それはどうなのか?}と抗弁はできるだろうと(^^;)。

    続きはのちほど。



    ◆著作権情報センターに問い合わせてみました(その2)


    我ながらえらく長い「のちほど」であるなあ。というわけで続きです。

    まず替え歌の著作権の所在の話しから・・・(前の説明が、あまり良くなかったので)。
    前回の補足になりますが、替え歌の歌詞の著作権は、替え歌そのものを作った人と、替え歌の元になった歌(以下、元歌)を作った作詞者の両者が有しています。これについては著作権情報センター[8]の方に疑問を差し挟んだのですが、著作権は重畳的に発生するという説明を受けました。たとえば、日本語に翻訳された外国の小説の場合を考えると、翻訳された日本語版についても、元々の作者が著作権を有しているというのは、なんとなく理解できますよね。それと同じだということです。

    また、元歌の作詞者は、替え歌の著作権者という立場とは別に、元歌の著作権者の立場から、替え歌の利用(雑誌媒体などでの公開)を制限することができます。
    これは同一性保持権と言われる権利です。簡単に言うと、著作物が無断で改変されることを防ぐために存在する権利ですね。なるほど言われてみると、確かに替え歌というのは著作物を勝手に改変したものです。

    そんなわけでして、替え歌の掲示にあたって著作権を本当に気にするのであれば、本来の著作権者である川内康範氏の許可を得なければならない。しかもその場合には転載の許可ではなくて、改変の許可を得なければならないと言うことになるわけですが・・・。

    しかし・・・・、替え歌の利用の現実を考えたとき、果たしてそこまでする必要があるのか(^_^;)?と思うのです。著作者によっては、クレームを出す人もいるんでしょうけどね。


    それから、私のあのページが転載なのか引用なのかという件ですが、実物をみないとわからないと言われました(笑)。替え歌だけが別ファイルにまとめてあるようだと、転載である可能性が大きいとはいわれましたけど。ただ今回の件は、既に転載か引用かという問題じゃないような気がする。

    【参考】社団法人 著作権情報センター TEL:03−5353−6922 (大変親切に回答して頂きました)。



    ◆朝日新聞社に聞く


    先週のことになりますが、朝日新聞社に替え歌の取り扱いの実態に関する質問を行いました。なんで朝日新聞社なのかといいますと、AERAの車内吊り広告で、何度か替え歌を目にした記憶があったからです(先週も「ぴっちぴっち しゃぶしゃぶ ランランラン」だった)。

    問い合わせた先はこちら→朝日新聞社 電子電波メディア局 著作権チーム(電 話 03−5541−8939)

    まず結論。
    TTTTTTTTTTTTTT
    ・車内吊り広告への替え歌使用にあたっては、元歌の著作権者の許可は取っていない。
    LLLLLLLLLLLLLL
    ということでした。

    理由(朝日新聞社の認識といった方が適切か)は次の通り
    TTTTTTTTTTTTTTTTTT
    ・AERAの替え歌は風刺やパロディに該当する。それは、それ自身、独立した作品(著作物)といえるものである。独立した作品である替え歌について、元歌の著作権者の許諾が必要かどうかはケースバイケースであり、実際に裁判で判決が下りないとわからない。AERAの替え歌については、訴えをおこされる可能性があることは認識しているが、現状、作詞家の許可無しに使用している。ただし全く問題意識無くやっているわけではなく、個々に法務部門と相談しているはずである。

    またこれとは別に、ウィークエンド経済で年に一度行っている、”歌詞をまるまる変えた”替え歌の掲載のような場合には、元歌の著作権者に許可を取っているはずである。
    LLLLLLLLLLLLLLLLLLLL
    こんなところです。長けりゃ許可を取るというのは、よくわからない話しですね。

    また、パロディが裁判になった事例について、次のような会話もありました。
    TTTTTTTTTTTT
    朝日新聞「ある写真家が撮った山岳写真に、元の写真とは全く関係ない巨大なタイヤの写真を張り付けたパロディ作品が、写真家から訴えられたことがありまして」
    くりりん「マッド・アマノさんが訴えられた奴ですよね」
    朝日新聞「そうです」
    くりりん「あれって、どっちが勝ったんでしたっけ」
    朝日新聞「いや、そこまでは憶えていないんですけど」
    LLLLLLLLLLLL
    後で調べてみたら、写真家の方が勝ってました。ただ、パロディが絶対にだめってわけじゃなく、ホントにケースバイケースみたいっすね。

                               ★くりりん★


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