「筑前煮」と「がめ煮」はどう違うのか?

◆「ガメ煮」とは何か
     いきなり「ガメ煮」と云われても、福岡に縁のない方はご存じないと思うので、簡単に説明いたします。「筑前煮」のそっくりさんです。ちなみに「筑前」とは、福岡県の北部地方のことです。
     「筑前煮」と「ガメ煮」の違いを敢えて挙げるとしたら、「ガメ煮」の鶏肉が必ず骨付きであるのに対し、「筑前煮」のそれは(クリームシチューに入っているような)骨がついていない場合もあるって点と、「ガメ煮」は福岡県外で見かけないって点でしょうか。
     子供の頃、不思議に思っていたんですよ。
    「ときどき夕飯に出る「ガメ煮」って、給食に出てくる「筑前煮」に似てるけど、名前が違うからには違う料理なのかなあ」って。

◆ROM男さんからの情報(1999/5/18)
     ROM男さんから一言戴きました。
    雀・がめ煮 投稿者:ROM男
    投稿日:04月26日(月)00時23分57秒
    (略)
    がめ煮と筑前煮は…多分同じものだと思います。

    くるくるくりりん掲示板(1998/4/26)より

     あ、やはりそう思いますか。そっくりですものね。

◆やはり同じものでした(1999/5/20)
     「まぼろし小学校」(串間努・小学館)に、以下の記述がありました。
    筑前煮と呼ばれている、にんじん、ごぼうと鶏肉を炒めて煮込む料理も、もともとは『ガメ煮』という九州の郷土料理です。
    「まぼろし小学校」(串間努・小学館)/118頁より
    学校食事研究会事務局長・阿部裕吉氏の言葉

     この本によると、「筑前煮」や「切り干し大根」は、学校給食を通じて全国に知られるようになった料理らしいです。また、給食メーカーの中にはスーパーへの総菜卸を兼ねているところがあるらしく、それらの業者が学校給食と同じ総菜を、一般向けに提供していったことが普及を後押しした、そんな場面もあったとも書かれています。これはなかなか面白いですね。「肉じゃが」と「カレー」の普及の仕方(第二次世界大戦中に、軍隊で作り方を憶えた人たちが、終戦後、それぞれの故郷に調理法を伝えたんだそうです。カレーと肉じゃがの”具”が同じってところがポイント)も面白かったけど、これもなかなか……。「肉じゃが」や「筑前煮」の持つ、「お袋の味」的なイメージとの落差が良いと思います。

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