その5(98年2月)


    7月の末。またしても詐欺師から、職場に電話がかかってきました。

    詐欺師は言いました。

    ”受講なさっていた講座がほったらかしになっているが、やめると言うことで良いのか?”云々。

    ああ、またしても同じような手口。いい加減にして欲しいものです。でも、以前とは別の詐欺師かもしれないんですよね。なんともやっかいです。

    さて、どうしたものか。
    「つづける」と答えても、「やめる」と答えても、どっちにしたって詐欺師は騙すネタを用意しているはずです。

    私は質問には何も答えないことにしました。答えずに相手の素姓、団体名を尋ねました。

    ところが、今回の詐欺師ってば声がやたらでかいのです。声がでかくて、音が割れちゃってるんですね。 なんて言っているのかさっぱり聞き取れません。これも作戦なのでしょうか。

    2・3度聞いて、聞き取れなかったので、私は確認を諦めました。

    私が質問を諦めたとみるや、詐欺師はしつこく回答を求めてきます。


    うざい!

    私はここで電話を叩き切ろうかと思いました。しかし、詐欺師によっては速攻電話をかけ直して来ます・・・。それもまたうざったいものです。

    「すみませんが、契約した会社に、他の企業や団体から電話がかかってくることは無いと言われてますので」

    とりあえず、そう言ってみました。

    これで電話を切れるものなら、速攻切るつもりでした。しかし、案の定そう甘くはありません(苦笑)。

    詐欺師はヌケヌケと言い放ちました。

    「受講者名簿が流れているとでも云うんですか?そんなことあるわけないでしょう(笑)」

    あるんだよお、そんなことが(^^;)。
    だいたい、名簿なんて無くても電話してくるのが詐欺師じゃないか。会話の中で相手の情報を聞き出して、はじめから知っていた振りをするなんて常套手段じゃんか。

    詐欺師は更に続けます。

    「そんなことを言うのはどこの会社ですか。教えて下さい」

    私がどの会社と契約していた(あ、ちなみに完済してます)か知らずに電話してくるなんて、それだけでも怪しい話です。情報を入手しようとしているのは見え見えです。しかしさすがに詐欺師は上手い説明を用意しています。

    民間で実施されている各種講座について、(販社とは関係なく、また教育機関から任せられる形で)受講者の学習状況を管理しているだけだから、個々人がどの会社と契約しているかは把握していないと言うのです。

    うまいもんです。しかし感心はしてあげても、この問いに答えてあげるわけにはいきません。

    私はきっぱりと言いました。
    「お答えできません」

    詐欺師は言います。
    「何故ですか?」

    何故も何もねえよ(^^;)。逆に質問しました。
    「すみませんが、そちらの電話番号をおしえていただけませんか?」

    詐欺師は教えてくれません。
    それどころか、電話番号を教えるには、私が会社名を答えることが条件だとか寝ぼけたことを言います。

    しばしの言い合い。
    いいかげん頭に来たので、会話の途中で私は電話を叩き切りました。

    直ぐに外線がかかってきます。
    受話器を取るとさっきの詐欺師。
    何も答えず、再度叩き切りました。
    しかし、今回の詐欺師はこんなことで諦める奴ではありませんでした。
    速攻、電話のベルが鳴ります。
    受話器を取る私。
    電話の向こうからドスの利いた声。
    「ウオラ!■■■■(←私の名字)」

    ひゃー、恐い(^^;)。

    ふざけんなと電話を切る私。
    鳴る電話。
    相手を確認せずに電話を切る私。
    鳴る電話。
    相手を確認せずに電話を切る私。
    鳴る電話。
    相手を確認せずに電話を切る私。
    鳴る電話。
    見かねた上司が電話を取りました。

    そりゃそうです。それが仕事の電話という可能性だって十分あるのです。
    ぶち切れかかっていたとはいえ、最低なことをしていました。

    それから5分ほど、詐欺師は上司に私を出せと言っていたようです。
    上司は、私は席を外しているので、後で折り返し電話する。電話番号を教えて欲しいと、ただそれだけを繰り返していました。


    そんなわけで、今回の詐欺師対応は最悪の結果に終わってしまいました。
    私も最初から、「仕事中なので後で電話する」って言えば良かったのかもしれません。

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