美しくなくちゃ、生きてる意味がない


まとまりの無い、初日感想をば。

11月20日、初日でございます。出遅れて東京の主要な劇場では指定席が取れず、私の提案でもうちょっと南に下ることにしてもらった一行3人。いつもながら機動力あるOさんが取ってくれた指定席は「いちばん音響効果がいいあたり」ということで、前後で言うと真ん中よりちょっと後ろの、スクリーンに向かって真ん中あたりの席になりました。だって声聴くんだもん。

ハウルさんの声。事前には一度だけ、聴いたことがあった。それは、出張が前のりだったために名古屋のエンゼル東宝で4回目の2046を観たとき。11月の最初くらいかな。その劇場、客層から言って正しいんだけど、中は、次に来るハウルがそりゃもう大宣伝でさ。たぶん、木村にとっては、香港映画は話題になったり出演自体には意味があったりしても、映画館としては興行的にはハウルでしょやっぱり。映画館の力の入れようもわかるってもんですよね。で、予告編でね、ソフィーへの告白みたいな台詞があるじゃないですか、あれが流れました。
ほほー。そう来たか。
………かわいい…
ははは。そりゃもう、愛犬家2人で見てたもので、ちょっとキュンとさせられたさ。
あとは、予備知識はごく普通の人が得る情報くらいの量を持って、今日の初日を迎えました。

主役のような気がしてたけど、本当はあれ、ソフィーのほうが主役だもんね、という出だし。きっとモッタイブッテだいぶ経ってから出てくるんだろうと思ったら、意外に早くご登場。
うお、これか!
こんなか!
なんて甘いんだ。うわー。うわー。どうしよー。あたしは焦る。だって連れと感想が違いそうだから!(笑)えーだってさー。恥ずかしいじゃん。
なんとなく、要らない心配をして、可愛いどうしようと思っていることを悟られないように緊張する私。
絵のハウルはそりゃあ、宣伝文句にたがわぬ美青年ぶりなんだけど、その絵柄とかじゃなく、なんつーか、まずいんです。
いや、絵柄は関係あるかもしれないね。ほんとに美青年だもの。ちょっと時々デッサンが狂ってるというか、感情表現の起伏が激しいだけじゃあ済まされない「顔の違い」があったようにも思うけど、くるくる変わる気持ちや状況によく合わせた、いろんな声が聞こえてましたよ。
金髪のときは気取って。オレンジのときは怒って。黒髪はもっと複雑に。ふぅんこの黒髪に合わせて髪変えたんだー。ふーん。
なんつーか、怯えてお守りだらけにしたベッドで弱弱しく寝ているところとか、タオル一枚のハンケツその後全ケツ姿とか、だんだん羽根に覆われながらがんばって戦ってるところとか、なんつーの、最近たっきゅん本人に対して思ってるようなことを重ねて思わされてしまうよ。
がんばれたっきゅん。みたいな。

飛ぶときだけ、鳥だったのが、だんだん分厚く羽根に覆われていって、黒く黒く、心の中をあらわすみたいに真っ黒になっていくところは、美女と野獣チックだなぁと思っていたりしたのだけど。好きな人ならどんな怪物でもかまわないって。しかしあの黒い不気味な鳥を見ても「可愛い♪」と思っていたとは、口が裂けても言えまい。ふふふ。だって可愛いもん。最初の頃はツバメみたいなのね、飛ぶところが。それがだんだん大型カラス系になってきて、最後はもっと猛禽類みたいに。脚なんかブットイのが1本しかないし。なのに、不気味で可愛い〜♪なんて思っていたとは、言えない言えない。
鳥ハウル、可愛いです。
しばらく、愛犬家じゃなく愛鳥家を名乗りたくなったほどに。
魔法を使うたびに、腕に中途半端な羽根が生えてきたり、顔が羽根でブツブツになってきたり。そういう、不自由な感じがたまらんのかもしれないです。あはは。末期だなあたし。
このブツブツ状態が可愛いと思ってしまうのは、本当にやばいです。
これ、鳥でも相当可愛いんだけど、犬だったらどんなだろう!(笑)
外に出るときは速く走れる犬に。
お肉なんか食べるときも、おいしそうに食べる犬に。
癇癪を起こしたり、悲しかったり、怒りに震えるときにも、犬に。
大事な人を守るために魔法を使うたびに、手に毛が。尻尾が。耳が。鼻が湿ってきましたー!みたいな。
そして、最後には人間の言葉を使えなくなって呪文も唱えられなくなり、魔法使いではなくただの犬人間みたいになってしまう、可哀想な美青年。
そんな役って。そんな役ならどうですか。
鳥でも相当可愛いのに、犬だったら。
いやいや、犬が犬やってもね。

物語としては、実はかなり消化不良です。
蒔いた種を全部回収しきれていないうちにハッピーエンドみたいな。
サリマン先生との確執はどうなるの。
荒地の魔女はもう一波乱くらい起こさないの。
ヒン(原田大二郎名演)は何かののろいをかけられた人間とかではないの?
ハウルとカルシファーの契約って何?
ハウルはどうして孤独な子供だったの。
どうやって呪いが解けたの。ソフィーのも、カブちゃんのも、カルシファーのも。なんで。どうやって。絵で「解けた」と説明するつもりなら、もっとデッサンしっかりしてほしい。
ソフィーのお母さんって何。妹とどう違うの。
妹は最初に登場するだけ?
おばあさんに変えられたといっても案外しょっちゅう娘の姿に戻ってるけど、理屈合ってる?
ハウルの背景(おじさんも魔法使いらしい)ってもう少し説明要らない?
カブ改め隣国の王子も「戦争をやめさせる」サリマン先生も「戦争をやめさせる」って簡単に言うけど、双方の国のたった一人がやめさせるって言うことであんな大きな戦争がやめられるもの?
他にもたくさんありますが。原作があることと、2時間に収めることで生じた制約は結構大きいような気がしますねえ。
絵が粗い・荒いのも気になった。デッサンが。心理描写なのか絵の荒れなのかわからないような乱れが。

しかし、永遠の少年と呼ばれ、ピュアな魂と乙女の感性を持ったたっきゅんには、まさにはまり役なのではと思いましたです。老婆の髪の色のまま少女に戻ったソフィーに、何でしたっけ、星の光の色だとかなんとか言ってたような…。きゅん…たっきゅん…。アドリブ、のわけないよな。
最後、気絶しているハウルには、子供の頃に取られた心臓が戻ってきました。ナリは大きいけど、そう、ハートは少年のままなのです。
……た、たっきゅんのこと言ってる?
あて書き…?!
まさかね。

カブちゃん、とても素敵です。美しい王子に戻ったのに一瞬でソフィーに振られ、カカシのごとく棒に乗って帰っていくのなんか最高です。欲を言えばカブちゃん振られたときにソフィーが押し倒していたハウルちんの顔もちゃんとアップで見たかったです。ふふふ。何年かしてカブちゃんが戻ってきたときにハウルからソフィーを奪ったら素敵だろうな。ふふふ。
見たかったと言えば、お湯を大量に使うハウルの入浴シーンもちゃんと映せ。手元だけなんて。手元だけなんてー!

グッズは大量にあるみたいです。ハウルのピアス欲しい。高い。
ひとまず、パンフレットのみ、買いました。

というわけで1回観ました。
来週おそらく、愛犬家友達が来たときにまたもう一回観ると思います。ふふふ。
以上、まとまりのない初日感想でした。