日本語名 中越国際列車(南寧→ハノイ)1/2
中国語名 中越国際列車(南宁→河内)1/2
国名 中華人民共和国
・2011年7月24日作成
訪れた日 2009年5月1日

ベトナム国境に到着したのは午前1時近く、眠いが列車を降ろされ、入国審査に向かう。列車の乗客は僅か4名だが、乗務員はざっとみると14名ほどいる。いかにも共産圏の列車だ。入国審査といっても、パスポートを取り上げられ、駅の待合室でひたすら待つ。中国側でも列車を降ろされ出国審査があったがもっとスムーズだった。国際列車の良いところは、乗車しまたま国境を越えられる点だと思うが、この列車では、深夜に両側のイミグレで降ろされてあまり快適な旅とはいえない。

T8701列車は、中国広西チワン族自治区南寧市の南寧駅とベトナムハノイ市の嘉琳(ガーラム)駅を結ぶ国際列車。400km弱の走行距離であるが12時間45分もかかり、表定速度は31㎞/h程度である。深夜に4時間の入境審査もあり、あまり便利な列車とはいえない。政治的な意味合いで走り続けているのだろう。

南寧駅で乗車券を入手(ネットでも、各駅の窓口でも買えない。購入できる駅が限られている)。たったひとつしかない窓口は国内列車のキャンセル窓口も兼ねており、発行に長時間かかる切符を購入していると後の客から苛立ちの声が聞こえてきた。中国側のオレンジ色の快速列車色の6両と、グリーンのローカル列車向けの車両6両を併結した12両は一見ローカル列車に見える。しかし、これはベトナムまで走る国際列車。列車番号もT8701。特急列車の列車番号である(特别快车特急列車)。緑色の非冷房の旧型客車は国境の「凭祥」行きで、満員であった。一方で国際列車の方は・・・・。

18時15分に出発した列車はいきなり単線ローカル線に入る。中国の特急列車はどこもロングレールを滑るように走るイメージがあったが、ジョイントを刻む音も、揺れ方もローカル線そのものだ。ただし、ベトナム語を交えた車内放送はこれが国際列車だと物語っている。車窓は、桂林のようなタワーカルストと呼ばれる奇山や奇岩が続く。時折、通りかかる山村は今でも都市とはかけ離れた生活を営んでいるように見える。今まで見てきた中国都市部とは明らかに異なる。アジアの農村という雰囲気だ。そのような景色を食堂車で温いビールと質素な食事をしながら眺めていた(ちなみに食堂車は乗務員の溜まり場のようだった)。

夜になると何も見えない。灯りが全くない・・・。そんな闇夜を淡々と突き進む、途中、わずか1駅のみ停車で21時41分、国境の「凭祥」到着、国内列車から続々と人が降りるが、こちらは準備ができるまで車内待機。やがて乗務員に呼ばれて駅舎まで出て入国審査を受ける。人気が無く薄暗い中での入国審査は不気味であった。2時間後の23時41分、国内輸送の車両と食堂車を切り離し国境を行く。全く灯りが無いが、立派な建物と国旗が闇夜に浮かび上がった。ここが中越国境だとわかる。


南寧駅。在来線中心の地方駅である。時間になるとハノイ(河内)行きの表示が出るが、実際にはハノイ郊外のザーラム(嘉琳)行きである。
普通列車用の空調非搭載、緑皮車-22系と、快速用の紅皮車-25系が併結されているのが珍しい。見た目はローカル列車なのに列車種別は特急である。
国際列車は紅皮車であるが、乗務員の控え室としても使用される2等寝台(硬臥)は、普通列車用の緑皮車を改造したものであった。22系である。エンブレムが国際列車を物語っている。
この国際列車は1等寝台(軟臥)が中心であるが、2等寝台(硬臥)も連結されている。特別に注文しないと1等寝台(軟臥)の切符を押し付けられるそうだ。この日の乗客は4名であるが、2等寝台(硬臥)は私達2名と、乗務員が乗っていた。実質乗務員専用車両であろう。
車窓の景色は田舎そのものである。上海や深センといった大都市ばかりを見てきた身には、舗装もされていない道や質素な農家にアジアの田舎を感じた。
食堂車。国際列車の食堂車といえば豪華なディナーを想像するが、質素でお世辞にも美味しいとはいえないレベルであった。ここも乗務員の溜まり場で、乗務員がお弁当を食べていたり、打ち合わせをしていたりする。乗客の為にサービスするという基本的な事が出来ていない。車内を撮影しようとしたら恐ろしい剣幕で怒られた。
凭祥駅で入国審査、長時間停車中に写真を撮っていたら、駅員に怒られて、メモリの内容を消すように迫られた。同行者が交渉して、数枚だけ、車両が写っているものだけを消す事で勘弁してもらった。この写真をその後に隠し撮りしたものである。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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