繁体字 北京香港直通列車
簡体字 京九直通车
国名 中華人民共和国
・2011年12月3日作成
訪れた日 2009年11月27~28日
      

単調に列車は進む。時々停車する事はあるが保税輸送されているのでホームにも出れず、空気を味わう事が出来ない。それでも、都市が近づくと携帯電話(中国国内用)に観光案内らしきメールが入ってくる。こんな形で陸路を移動している事を感じる事が出来るとは思わなかった。

香港に乗り入れてくる中国の列車の殆どは、広州と香港を結ぶ比較的近距離列車が多いが、運転時間が24時間という長距離列車も1日1本やってくる。北京と上海と交互に行き先は変わるが、今回は北京行きに乗る事にした。

乗客は少ないが、欧米人も目立っていた。国内長距離列車は庶民で大混雑であるが、香港に来れるような中国人は富裕層であろうから飛行機を使うのだろう。寝台は日本の開放式B寝台と同じであるが、私達は向かい合わせた1区画を占領して24時間、他人を気にせずゴロゴロできる事が約束された。

15時15分、列車は出発した。しばらくは通勤電車と一緒にゆっくり走る。列車内を撮影していたら、すぐに車掌に怒られた。車窓は良いが、設備を撮ってはいけないそうだ。国境を越えると速度があがる。最高速160㎞/hの車両で編成されているので日本のブルートレインと比較にできないぐらい速い。「広州東」では1時間の長時間停車。ここから国内専用車両を連結して17両編成になった筈だ。夕闇が迫る18時05分、再び北を目指して足を進めた。次の停車駅は5時間後の「長沙」

食堂車に行くが、相変わらずたいした料理は無い。ベットに戻ると暇を持て余す。旅の友は会社の同僚だから話題も沢山あるわけではない。全く停まらないし、夜になれば寝るしかない。真夜中の「長沙」で停まるが、香港からきた車両はドアが開かない。少し遅れているようだ。駅には国内を走り回っている他の夜行列車の姿も見かけた。在来線の主役は夜行列車郡である。昔の日本もこんな光景が見る事ができたのだが・・・。次に停まるのは明け方の「武昌」

好調に飛ばしていた列車は速度が落ちてきた。レールを軋む音も苦しそうだ。車窓は見えないが峠道を走っているようだ。1時間遅れで「武昌」に到着。は巨大な駅である。広州から武漢(武昌)までは1100㎞ぐらいであるが、最近できた最高速度350㎞/hの新幹線なら3時間。この列車は10時間半もかかる。


香港から北京まで2,476㎞。寝台車を使っても1万円を下回る料金は安い。客車も機関車も中国のものが使用されている。
香港で見る「北京西」の文字は感慨深い。それにしても2,476㎞「途中駅不停車」とは・・・。最初は通勤電車に混じってゆっくり走る。
寝台車は日本の開放B寝台と同じだが、私達2名で占領できてコンパートメント状態。食堂車は一見綺麗だが、メニューはたいしたものが無い。例によって従業員が写った状態で撮影すると怒られるので厨房側は写せない・・・
未明の武昌に到着し長時間停車。巨大ターミナルには夜行列車数本が停車しており、静かに離合した。向こうの列車は快速夜行列車で座席は満席。寝付かれぬ人が窓から見えた。

昔の夜行急行銀河で静岡駅で味わったような光景、また普通夜行列車で北海道旅行した際に、深夜の駅で夜行急行と離合した光景を思い出した。今の日本では離合するほど夜行列車は走っていない。

夜が明けると一面雪景色だった。南国の香港から列車に乗って、北上すると季節が変わってしまった。移動距離の長さを感じる。車窓も広大なスケールの農地が広がり、アメリカ大陸をアムトラックで移動した時の事を思い出した。最後の停車駅「鄭州」を出ると黄河が近づく。河川が造ったと思われる広大な肥沃な土地が続き、やがて列車は広大な黄河を鉄橋で渡り始めた。日本ではここまで巨大な川は無く、さすがに中国の鉄道のスケールは大きいと思う。

再び6時間近い無停車の旅が続く。雪も無くなり、農地を眺めて最後の旅を感じる。3輪トラックなどを見たり、興味深い景色を楽しんだ。すれ違う列車も石炭を満載した貨物列車もいたりバラエティに富んでいた。終点「北京西」に到着したのは約1時間遅れの15時55分。24時間40分の乗車時間だった。遅れたのは工事中区間があったためとの事である。


朝になったら雪景色だった。南国の香港を出発したのは昨日。一夜明けた北国に来たと思うと距離を感じる。日本ではこれほどダイナミックに景色が変わるところは無い。
黄河の広い河川を渡る。あまりに広い河川敷に唖然とする。そして黄河付近は青々としており肥沃な土地を連想させる。文化が黄河のまわりに生まれたのが判ったような気がした。
北京に近づくとすれ違う列車も増える。旅客列車に混じって貨物列車も多い。中でも石炭を満載した貨物列車が日本の昔の北海道を思い出させる。すべて昔の日本を思い出すのは歳だからなのだろうか
広州駅で連結された車両を含めて17両以上の編成(数えられなかったので想定)。引っ張っている機関車は香港を出た時の青い機関車から赤い機関車に変わっていた。北京到着前にようやく先頭が車窓に見えた。日本の夜行列車も15両編成で走っていた時代もあったなぁ・・・と思う。
到着時刻は15時55分。24時間を越えて到着。香港から到着した車両は乗客も少なく落ち着きがあるが、中国で連結された広州から来た車両は長蛇の列(写真奥に見える人だかり)。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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