あさぎり号

・2010年10月3日作成
訪れた日 2009年11月03日
 

沼津駅に鮮やかな白色をベースにと濃紺色をまとった特急列車が入線してきた。JR東海は普通列車から特急列車に至るまで同一色で統一されているが、この車両だけは例外である。車販を担当するアテンダントが乗り込み、古びた沼津駅が華やかになるが、乗客は噂とおり疎らであった。

JR東海の御殿場線と小田急の直通特急「あさぎり」号。乗車前日に指定券を求め、わざわざ東京駅のJR東海のカウンターに行った。しかし、小田急側の端末と接続できない時間帯だったそうで購入不可能。JR東日本の券売機では当然のように購入できない。鉄道界が一体となって協力しないと高速バスや自動車には勝てないと思うのだが・・・・。

小田急と御殿場線の乗り入れの歴史は、1955年(昭和30年)から運行を開始したディーゼルカーから始まるが、御殿場線電化の後は「あさぎり」号として小田急ロマンスカーで運転されてきた。御殿場線側が「急行」として、小田急は「特急」として運転されていた為「連絡急行」という名前で呼ばれていた。1991年(平成3年)に沼津まで延長運転、同時にJR側も専用車両を用意して相互乗り入れになった。この時作成されたJR東海の車両はわずか1編成(小田急側は別仕様の2編成)であった。

車窓左手には夕焼けの中に富士山が映えて見える。中央線、身延線、御殿場線と、富士山を廻る旅の終わりに相応しい景色だった。夕映えも良いのだが、順光の中で眺めてみたかった。車内販売のコーヒーを飲みながら優雅な気持ちで過ごした。JR東海の車両は窓が大きく、本当に車窓を眺めるには適している。2階建てのグリーン車も連結されているが、普通車でも充分に車窓を楽しむ事ができると思う。

御殿場線は、元々東海道本線であったが、丹那トンネル開通とともにローカル線に格下げされ、戦時中の資材供出で1943年(昭和18年)に単線化された。車窓には複線時代の路盤やトンネル跡を見る事ができる。幹線から凋落した惨めな姿が侘しい。車内は相変わらず空いているが、ミニスカートの制服姿の高校生がいたり、ローカル線に乗っているような雰囲気もある。やがて「松田」から短絡線に入り小田急に合流する。それまで線路の繋ぎ目を拾っていた走行音もなくなり、揺れもなくなった。線路のメンテナンスがまるで異なるのであろう。

約2時間の所要時間で「新宿」に到着する。隣がJR東日本のホームであるが、JR東海の車両がライバルの小田急のホームに到着するのが面白い。登場時は話題になった沼津行きロマンスカーであるが近年はネガティブな話しか聞こえてこない。車両の置き換え時期も迫ってきている。今後、どのようになるのか・・・・。


1992年まで走っていた旧ロマンスカー
沼津駅で出発を待つ「あさぎり」
御殿場から見る富士山は、煙突ごしに見る富士市からの景色に勝ると思う
こちらは小田急の車両
複線時代の遺構を数多く見る事ができる
右手が御殿場線、中央が小田急。小田急に入ると列車は静かに滑るように走る。同じ車両にはとても思えなかった。
小田急新宿駅に到着したJR東海の車両

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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