●冠山峠

・2005年11月13日作成
訪れた日 2005年5月21日
 

ダム工事のために廃村となった岐阜県徳山村、そして冠山峠を越えて福井県に至る道が国道417号線。この417号線は国道ファンには、醜道と呼ばれている隘路である。徳山村が廃村となった今、この道はどういう意味を持っているのだろうか・・・。

揖斐から山奥に向けて道路は細くなる。しかし、徳山ダム工事のためだろうか、ダム手前までは国道らしく、新しい立派な道路だった。ダムの工事現場を過ぎると、突然道路は細くなり、先に進もうとすると警備の人に
「落石等の事故に対して、責任はとれません。工事のトラックも走っているので危険です。それでも行くいうなら自己責任でどうぞ」と言われる。私だったら引き返したであろうが、運転の上手い人と一緒だったので、林道のような道路に突撃していった。

それにしても本当に国道とは名ばかり。これは林道だ。すれ違う事も出来ない。工事車両と遭遇する度にバックしてやり過ごす必要がある。かつて、徳山村の集落があったであろう場所は更地になっていた。この道路は徳山村の生活道路であったのだろう。建物は撤去されても、橋梁などに名残を感じる。今、走っている所はダムで水没する地域だ。

沢沿いの集落を抜けて、今度は登山道に入る。ここからは国道417号線の未開通区間であるが、この林道を通して日本海側の417号線と繋がっている。だが、とんでもない隘路だった。標高1000メートルまで登るが、右側は切り立った崖で、ガードレールも無く、その奥は何処までも深かった。車が落ちても、きっと気がつかれる事がないだろう。蛇が道路に横たわり、独特の格好をした冠山をバックにイヌワシが旋回していた。

怖い思いをしながら峠の稜線に辿りついた。ここから冠山の頂上まで1時間ぐらい。登山道入口にはダムのために犠牲になった徳山村の石碑が置かれている。まるで墓標のようだ。さて、ここを越えて北陸に・・・と思ったら通行止め。色々なサイトを拝見したが、ここでは通行止めは普通の事のようだ・・・・。イヌワシを観測していたバードウォッチャー以外には誰もいなかった。すれ違う車も無かったが、また、あの残雪の残る隘路を戻らねばならない。今度は助手席が谷側である・・・・。

ダムの工事に合わせるかののように、高規格の道路が、谷と山を貫く工事の真っ最中であった。ダム工事の見返りなのだろうか・・・。国道417号線全通の暁には、この隘路は廃道になるのかもしれない。東海と北陸を繋ぐ重要な道路になるであろうが、その犠牲になった徳山村の事を思い出してもらえるのだろうか。

徳山村の集落のあった跡
ダムに沈む橋脚
冠山峠へ向かう途中の車窓
奥が冠山
怖い林道。落ちたら・・・。
峠で


http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


back