●万葉線

・2006年3月4日作成
訪れた日 2005年9月17日
 

接続すると信じていた特急「しらさぎ」から氷見線への接続。15時すぎに高岡駅着。しかし、乗るつもりだった氷見線は出発してしまい、またしても失敗してしまった時刻表の読み違いにガッカリ・・・。時間を持て余して駅の外に出ると路面電車の姿が見えた。知識として、万葉線の存在は認識していたが、何処へ行く路線なのかも知らなかった。案内図を見ると途中まで氷見線と並走している事が判った。ならば、氷見線と平行区間はこの電車に乗ろう。

万葉線は、前身は加越能鉄道といい、高岡市内の路面区間と、廃止された富山地方鉄道射水線の専用軌道区間を統合した鉄道だった。2001年(平成13年)、第三セクター化され現在に至っているが、予断を許さない赤字鉄道だ。しかし、新車の導入など、積極性も見せ、廃止された岐阜市内の路面電車と大違いだと思っていた。

やってきた電車は今時珍しい、非冷房の旧型電車で、どことなく昔の都電を思い出させてくれる。唸るように湧き上がってくる走行音と、ゴツゴツした乗り心地は懐かしい気分がした。市内区間は、珍しい単線の路面区間が続く。所々にある行き違い施設で、すれ違いながら市内を行くが、15分間隔は地方都市にしては立派な運転間隔だと思う。ただし、乗客は決して多くない。

このまま乗り通したい気分になって、氷見線との連絡駅である「新能町」を乗り過ごす。「中伏木」からは道路から離れ、専用軌道を行く。ローカル私鉄の趣が出てきた。河口間際の大きな河川(庄内川)を細い鉄橋で危っかしく渡ってゆく。残暑厳しい夕方だったが、開け放たれた窓から涼風が車内に吹き込んでくる。冷房車が当たり前の現在、トロッコ以外で、このような季節を感じられる乗り物は本当に貴重になったと思う。

いかにも落ちぶれた感じのローカル駅をいくつも過ぎ、走る事40分。電車はやがて終点「越ノ潟」へ・・・。目の前に船着場があって小さな連絡フェリーが待機していた。富山新港建設によって射水線が分断されてしまった区間を結ぶフェリーだ。人工的な運河だが、昔から海があったような、ごく自然な光景に見えた。自転車でゲートを颯爽と駆け抜けてゆく制服姿の高校生を見ていると、瀬戸内あたりを舞台にした映画のワンシーンを見ているような気がした。

この運賃無料の富山県営渡船だが、建設中の「富山新港東西線新湊大橋(仮称)」の完成(2012年)により、いずれ廃止される運命にあると思われる。現在、渡船と連携をとっている万葉線だが、その頃まで残っているのだろうか。新車を導入したからといって安心は出来ない。岐阜の路面電車は、新車導入から5年で廃止された。


真っ赤な塗装似合わない
単線の路面電車
窓から涼風が入ってくる
新型車
周りの雰囲気とあまりにもアンマッチ

運転士さんに薦められて撮った

終点、奥が渡し舟乗り場
自転車も乗れる
かつて、射水線が走っていたとは思えない光景


http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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