●のと鉄道

・2003年5月3日  作成
訪れた日 2003年3月23日
 

遠く、残雪を残した立山連峰をバックに、能登湾に浮かぶ能登島を眺めて走る景色は長閑そのもの。黒い瓦屋根の家やボラ待ち櫓を見ていると、奥能登の旅情を感ぜずにはいられない。海岸線に忠実な鉄路と、煤けた古い、短いトンネルの連続の路線を単行ディーゼルカーは僅かな客を乗せて走る。乗客の少なさは気になるが、古いローカル線の風情が懐かしく、機能本位のレイルバスも渋く見えた。

輪島のところでも書いたが、2001年3月31日、有名観光地を持ち、JRから直通急行も運行されていた「のと鉄道七尾線」(穴水〜輪島20,4キロ)が廃止された。穴水〜蛸島間の支線的存在の「能登線」も予断を許さない。昨年の10月に急行「のと登恋路号」が廃止されたばかり、運転本数も間引かれて、末端の「蛸島」−「珠洲」間は一日6往復しか運転されない。

本当は七尾から金沢方面の列車に乗るつもりだった。しかし、のと鉄道のディーゼルカーを見ているうちに、魔がさしたのか、反対方面の8時06分発の「珠洲」行きに乗り込んだ。 のと鉄道には、何度か、短い区間だが乗った事がある。しかし、今日は終点の「蛸島」まで乗りつぶしたい。「蛸島」まで七尾から94qもあるが、乗り継ぎがとにかく悪い。始発列車でスタートしても「蛸島」到着は昼をまわる。

前述の通り、車窓は素敵。車内の雰囲気も長閑そのもの。女性運転手が老人の乗客の手をとって乗降を手伝う光景は微笑ましい。列車はひたすら海を眺めながら能登半島の先っぽを目指す。能登島が見えなくなり、海が広くなり、前を見る。それでも能登半島の先端は遠く遥か彼方。能登半島の大きさを感じる。乗車してから2時間15分。ようやく「珠洲」に到着。駅は大きく、かつて、海水浴客や観光客が大勢訪れた事を偲ばせる、雰囲気のある古びた駅だった。今日、乗客は疎ら・・・。観光客らしき人も見なかった。

「珠洲」でなんと2時間近い待ち時間。駅周辺に歩いて行ける観光地も無く、夏は海水浴場になる海岸で時間を潰す。ようやく乗り込んだ「蛸島」行きは私を含めた2名の乗客を乗せて僅か5分走って終点「蛸島」へ。現在は無人駅で、老朽化した駅舎や、まるで廃線跡のような雰囲気に、いよいよ廃線の危機を感じてしまう。

のと鉄道・・・。結構楽しかった。日本にもまだこんなノンビリした味のあるローカル線が走っていた事に感激。趣味的には「甲」駅に保存されている郵便車も珍しい。しかし、営業の存続については予断を許さないと思う。

夕方の穴水駅・・・寂しい雰囲気
能登半島の先端を目指してひたすら進む
有名な恋路駅
人こそいないがリゾートを感じる「珠洲駅」
終点「蛸島」。何も無い
桜が開花したらさぞ素晴らしいだろう(蛸島)


http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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