●敦賀半島(立石埼灯台)

・2003年9月7日  作成
訪れた日 2003年6月
 

半島の東側を走れば敦賀湾を臨む美しい漁港を見る事が出来る。実に長閑な光景・・・。やがて半島の突端に到達すると、突然、漁村風景の中に威容を放つ敦賀原発と新型転換炉「ふげん」が現れる。敦賀半島はかつて道路がなく、交通手段として船を使うような陸の孤島だった。原発建設と引き換えに立派な道路が出来た訳で、当時は歓迎されたのだが・・・。

敦賀半島の突端、立石埼は静かな漁村だった。灯台まで200mという看板に騙され、獣道のようなあぜ道をゆく。どうやら灯台への登り口までが200mのようだ。灯台に至る山道を延々と登ると小さな灯台が現れる。1881年(明治14年)に完成した、日本人だけで設計建設した最初の灯台という歴史的灯台なのだが、訪れる人も少なかろう場所にひっそりと佇んでいた。

敦賀半島の反対側へは道路は通じていない。折り返し、迂回して辿り着いた所で目にしたのは小島を全て要塞化したような「美浜原発」。さらに先へ行くと、ドン詰まりの山道・・・。車は走らないが立派なトンネルを抜けて視界を遮るのは、あまりに有名な高速増殖炉「もんじゅ」。資料館を訪れるが、やって来るのは関係者ばかりのようだった。そして建設までのビデオを見ると、何も無かった、道路も無かった集落が変貌してゆく様が見る事が出来た。山が削られ、港が作られ・・・。港も、砂浜も、全て「もんじゅ」と引き換えに作られたものだという事が判った。この日も、夏に向け、大量の砂を整地して人工海水浴場をまさに建設中であった。

帰り道、美浜原発の前の砂浜で、夏にはまだ早いが、派手な水着になって泳ぐ、地元の高校生らしき男女の姿があった。黄色い声を出して水遊びをする姿は若者らしくてほほえましいが、この海には美浜原発の冷却水も流れているのだ。彼ら、彼女らは気にならないのだろうか。原発をバックに海水浴・・・。正直言って怖かった。

現在敦賀半島にある原発は、日本原電が2機、関西電力が3機、核燃料動力炉事業団が2機。原発で作られた電気を使っている者として安易にコメントはできないが、敦賀半島のような静かな漁村の犠牲の上に消費社会がなりたっているような気がしてならない。大昔から海を睨んでいる立石埼灯台はどう思っているのだろうか。


灯台への入口
ひっそりと佇む立石埼灯台
漁村風景
高速増殖炉もんじゅ
美浜原発の前の海水浴場


http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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