1990年3月3日

母島最高峰といってもたかが463m、3時間あれば往復できるそうだ。登山道は2本、集落の外れの乳房橋前登山口からから登り始める。

山に入ってしばらくすると乳房ダムが見える。父島も母島も、飲料水は全て雨水に頼っている。母島ではこの乳房ダムに貯水している訳だ。父島も母島も、水は貴重な資源で、いたる所に「節水」のポスターがある。また、その水も、雨水だからだろうか、とても不味い。余談だが、昔の硫黄島民がいまだ帰れないのは、水事情が相当に悪いからだという。

頂上の眺めは、周りの木に邪魔され、あまりよくなかったが、ちょっと下るところからよく見える。場所をかえて360度の展望を堪能した。
「父の島より見渡せば母の島見ゆ乳房山」
と北原白秋も詠んだ乳房山。ここから東を見れば東崎が、西を見れば、沖港を中心に広がる沖村が、南を見れば南崎や小富士が、北を見れば父島が見える。残念ながら今日も硫黄島は見えない。丁度頂上に着いた時に曇ってしまって必ずしも満足した訳ではないが、なかなかの展望に、それなりの納得をして下り始めた。

乳房山の見所は、展望より、その途中にある植物ではないかと思う。先程の木といい、様々な特有の植物が生えていて、父島よりもさらに強く南国情緒を感じさせる。その植物を観察しながら下って行くと途中に戦跡も沢山ある。

塹壕の跡があり、その一部を登山道に当ててある所がある。その付近には高射砲だか機銃だかの残骸が残っている。また、本土空襲にいった帰りにB29型爆撃機が捨てていった爆弾で開けられた大きな穴もあった。



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