1990年3月4日

周りを崖で囲まれた海岸は結構広い。また、サンゴが風化してできた砂浜は白く、まだ風化されていない枝サンゴの細かな枝も沢山転がっていて、独特の景観をかもしだしている。枝サンゴの破片は、チャラチャラ可愛い音を出していて微笑ましい。

ここの砂浜の特徴として、砂浜ギリギリまで緑の木が生い茂っている事だ。晴れていれば、白い砂浜に、木漏れ陽が光りの斑点を作っている事だろう。周りの崖も、岩肌が丸見えではなく、木などが生い茂っている。そのどこかに、アメリカ軍戦闘機P51ムスタングが墜落しているそうだ。

ここの海岸で最大の特徴は、戦争中に魚雷攻撃を受けた輸送船、「濱江丸」が沖に座礁している事だろう。砂浜からも近くに見える。美しい砂浜と赤錆びた船、妙な景色だ。戦争と平和‥‥。おそらく「濱江丸」は、アメリカ軍の潜水艦に追われて、ここ境浦まで追い詰められて座礁したのだろう。それでも撃沈されるよりマシかもしれない。

座礁船は、10年くらい前にはちゃんと原型を留めていたそうだが、ここ数年で一気に錆びて腐食していったそうだ。船は大きく3つに分裂してしまい、今度、大きな台風が直撃したら、無くなってしまうだろうと言われている。

腐食により、外板は所々に穴が空いていて、波が来る度にそこから噴水のように水が飛び出してくる。沖側の外板は完全に崩れ落ちていて、船の中身が飛び出しているようだ。船の後方より徐々に先頭に向かって泳ぐ。船は後方2/3が大きなブロックとなって残っていて、のこり1/3は、完全にバラバラになっている。その大きなブロックに沿って泳いでいたら、突然、「バン!バン!」と大きな音がした。あわてて船から離れた。死ぬほど驚いた。その音の正体は、取れかけている薄い外板が、波を被ってバタバタと揺れている音だった。

残る1/3のバラバラになっているブロックは、良く見ると、船のマストなどの部品が散乱しているようだった。怖いし危険だから近づかない。最後のブロックは、船の先頭部分で、大きく傾いているが、これは原型を留めていた。これに触りに行く。

先頭部分は、本当によく残っていて、錨を巻き上げる装置やら、パイプなど色々と残っていた。大きく傾いていて、左舷半分が水中に没していたが、右舷は空に向かってそびえていた。甲板の手すりがあったので、それに掴まり、よじ登ってみる。斜めだし、危険だからそんなに上までは行かないが、とりあえず船全体重を載せてみた。

原型を留めているという事は、これが船だとハッキリ判り、余計に悲惨に見える。水中マスクで水没している部分も見てみたいが、死体が転がっていそうな感じがしてそれも出来ない。

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1990年3月6日

海は恐ろしいくらい青く澄んでいる。砂浜はこれも恐ろしいくらい真っ白。その砂浜に南国の木々が木陰を作って、木漏れ陽の光りの斑点を落としている。波は穏やかで、その優しい波が打ち寄せる度に、サンゴのかけらが、カラカラと涼しげな音を、ささやかにたてている。丸太と草の屋根で出来た休憩場は、その景観にマッチしていて南国を思わせる。そして、その海岸には人影がない。私だけの海岸だ!

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