幌舞(幾寅)

2008年1月5日作成
訪れた日 2007年6月30日
 

広い駅前広場に不自然な建ちかたをした建物が点在した。古い木造駅舎は綺麗に整備されて、まるで有人駅のようだった。しかし辺に人気は無い。根室本線「幾寅駅」・・・勿論無人駅である。

ここは映画「鉄道員」の舞台になったロケ地で、映画の中では廃線が決まった幌舞線の終点という位置づけで「幌舞駅」となっていた。駅前ロータリーにロケセットの建物が保存されている。先頭部分をカットされ保存されていた気動車の廃車体も見える。映画の中で旧型気動車に見せる為に改造された車両だ。乗りたかった車両だが、こんな形で対面するとちょっと寂しくなる。

映画「鉄道員」は平成11年(1999年)の邦画で、人気映画で映画館はほぼ満席だった。客層は他の映画とは明らかに異なり、若い女性が少なく、代わりにいかにも鉄道好きな男性客が多かった。映画の中で広末涼子は17歳の鉄道好きな少女を演じており、当時のトップアイドルに鉄道の専門用語を言わせたりしていた。いわゆる鉄道オタクにはたまらない演出だったと思う。現在でこそ、鉄子ブームで豊岡真澄や木村裕子という鉄道好きのアイドルが登場して、鉄道好きな女の子も珍しくなくなったが、当時はかなりの違和感を感じ、清純派のアイドルに汚れ役をやらせているようで嫌だった。

撮影前の「幾寅駅」はかなり老朽化していたようだが、映画の為に改装されたとの事である。現在はそのまま、現役の駅舎として継続使用されている。物語の時代背景の差だと思うが、ロケセットを感じる「明日萌(恵比島)駅」とは異なり、こちらは一昔前の北海道の木造駅舎として違和感が全く無い。

映画がヒットしてから8年・・・。映画セットは残っているが、訪れる人はどのくらいいるのだろうか。同じような寂しさを「明日萌(恵比島)駅」でも感じたが、ロケセットが老朽化して哀れな姿をさらす日が来るのだろうか・・・。あるいは全て撤去されてしまうのだろうか・・・。狩勝峠を目前に控え、山の冷気が降りてくるのを感じた。駅付近にも人影も無く、訪れた人も私たちだけだった。次第に暮れなずむ中、裸電球だけが空しく点っていた。


根室本線といっても列車は1両
映画セットと幾寅駅
幾寅駅なのか幌舞駅なのか・・・
駅舎内は現役の待合室
カット車体が哀れ
駅名標は当然幾寅だった
おまけ、隣々駅の金山

(ロケ前の幾寅駅も似たような駅舎だった)



http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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