名羽線(霧立峠)

2004年9月5日作成
訪れた日 2003年11月3日
 

天塩山地の奥深くから日本海へ抜ける無人の峠道。急峻な坂道と立派なトンネルの連続・・・。国道239号線は立派な道路だが、本当にすれ違う車も無く、感覚がおかしくなりそうだ。このような山奥にこんな立派な道路が果たして必要なのか・・・。北海道には廃村や人口希薄地帯が多いが、ここはひたすら原生林が続く、人口無人地帯だった。

霧立峠で小休止、シーズンオフという事もあるが、ここも誰もいない・・・。車を離れたら熊に襲われそうな気配を感じる。こんな寂しくて恐ろしい所を早く脱出したくて車を飛ばした。

このような、山奥にも鉄道建設が進んでいた。工事中止が1980年(昭和55年)というから近代鉄道の部類に入る。工事跡を訪ねる人もいるらしいが、大自然の中ではそれも難しく、熊の危険性もあるので、極めている人は少なそうである。廃村や廃鉱と鉄道には慣れてきたが、さすがに驚いた。未成線と呼ばれる名羽線・・・起点の曙も、終点の朱鞠内も廃村同然、そして途中は集落ひとつない厳しい山地。完成しても乗る人はまずいなかったであろう。

廃線跡というのも寂しいが、一度も使われる事なく遺棄されたトンネルや橋脚は無念で、作った人の怨念がこもっていそう。それにしても何という無駄使い・・・。建設開始が1962年(昭和37年)との事だが、この頃、鉄道の衰退は見えていた筈である。

約90qの独り旅を終えて突然現れたのが、羽幌炭坑のゴーストタウンであった。炭坑事務所、立坑、石炭積み込み施設、学校、いずれも自然に朽ちるまま放置されている光景は凄まじかった。名羽線はこの街を目指していたのだった・・・。炭坑が閉山したのが1970年、鉄道の工事中止が1980年・・・、どうしても理解できない10年間。


霧立峠(北海道らしからぬ名前) あたりは大自然
突然現れる立坑跡 無残なゴースト地帯


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