ナッチャンRera

2009年8月23日作成
訪れた日 2008年10月12日
 

まるで城のように浮かぶ巨大な船体は、他のフェリーとは異なる専用ターミナルに横づけされていた。日本ではあまり見かけない双胴船、近未来的な船体は従来の船とは一線を画している。高速船専用のターミナルもまた真新しく近代的で感じがいい。何もかもが特別である。日本最大級・最速のフェリーを前に気分が高揚してくる。

青森-函館を結ぶ高速フェリー、「ナッチャンRera」が東日本フェリーから華々しくデビューしたのが今から1年前の2007年(平成19年)9月の事だった。巡航速度36ノット(時速67q)で、在来線では4時間弱の青函間を1時間45分で結んだ。水中翼船など高速船は多々あるが、この船は大型フェリーというところに特徴があった。そして豪華な設備も話題になった。所要時間で互角のJR特急にとってはライバル出現だと思われた。

東日本フェリーはかつて高速船を青函間に就航させた事がある。しかし、燃費の悪さと、欠航多発で初代「ゆにこん」は1990年就航、1996年で撤退。再挑戦の2代目「ゆにこん」も1997年就航、これも同じ理由で2000年撤退。これだけが理由ではないとは思うが、東日本フェリーの経営が悪化して2003年には会社更生法が適用される羽目になった。しかし夢を諦めきれなかったのか大金(1隻90億円×2)をつぎ込んで、再度青函間の高速フェリーを就航させた。2度ある事は3度ある・・・。これが会社経営を圧迫しなければ良いと思っていたが、やはり青函高速フェリーは不振。2008年10月末をもって高速船は廃止、11月で東日本フェリーはフェリー事業から撤退する事になってしまった。

今回奮発したエグゼクティブクラスでは、美人のCAが座席まで案内してくれる。出発すると、ひとりひとりに挨拶があり、お土産まで手渡してくれる。キャビンはクラス毎にわかれている筈で、エコノミークラスの乗客は他のクラスには入れない事になっているが、チェックが甘く、あきらかにエコノミークラスの乗客がエグゼクティブ専用のサービスカウンターの無料ドリンクの列に並んでいた。アルコールにコーヒー、スープを飲んで、専用の液晶パネルで映画を見ていると1時間45分はあっという間。今日は荒天の為、揺れは激しかったが、大型船の揺れとは少々異なり酔う事はなかった。

デビューから僅か1年で撤退。今年の5月に就航した「ナッチャンWorld」については半年未満で運行停止に追い込まれてしまった。船は売却先を探すとの事だが、従業員はどうなるのだろうか、若くて美人のCAを多く集めていたのが印象的だったが。彼女たちの次の今後の雇用も問題になっている。不安もあるだろうが、CA達の笑顔は暗さを感じさせなかった。素晴らしい事である。

世界不況の中、高速船はなかなか売却できない。港でただ係留しているよりは・・・・という事なのだろうか、新しい運行会社である「津軽海峡フェリー」により2009年夏期限定で速度を落として再び運用に就いた。ただし復活したのは「ナッチャンWorld」1隻のみである。


船体塗装のイラストをデザインした小学生の愛称「ナッチャン」に因んで「ナッチャンRera」と名付けられた
新設された青森高速船ターミナル、廃墟になってしまうのだろうか
エグゼクティブクラスのカウンター

ちなみに用意されていたフリードリンクのジュースはサントリー「なっちゃん」シリーズだった

エグゼクティブクラス
液晶画面に表示されるレーダーを見ていると面白い
こちらも新設された高速船ターミナル
ナッチャンWorld就航のポスターが剥がされる事もなくいたるところに・・・・

まさか就航半年後に廃止とは・・・・



http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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