特急「ヌプリ」

2014年11月24日作成
訪れた日 2013年8月16日
 

「そんな列車はありませんね。JR北海道は事故があって、運休が続いていますからね。運休しているんじゃないですか」と都内某所のみどりの窓口。諦めて帰りかけたが、スマホでJR北海道の案内を表示して、駅員にもう一度つめよった。ようやく発券してもらえたが、何という対応だろう。一方で、エンジンの欠陥や、保線の問題があり、JR北海道の特急列車が大量に運休となり、イベント列車どころではないだろうという客観的な意見もわからないわけではない。

札幌駅と函館駅を結ぶ列車は、現在では全て海線と言われる千歳線経由である。しかし、私が記憶している範囲では函館本線(山線)を走破した、特急「北海」や、急行「ニセコ」、夜行普通列車があった。そのうち、臨時急行「ニセコ」や、夜行普通列車には乗車した事があったが、特急列車には乗った事がなく、残念に思っていた。今回はイベント列車ではあるが、かつて走っていた特急「北海」に思いを馳せてみたいと思う。

8時12分、函館駅で、綺麗なアテンダントに迎えられ列車に乗り込んだ。3両編成の列車は、リゾートエクスプレスであるニセコエクスプレスで、かつての特急車両ではないが、気分が高揚してくる。しかし、乗客は驚くほどいなかった。車掌とは別にアテンダントまで乗せているのに勿体ない。本線を行く特急「北斗」は、車両の問題で減便、減車が続き、大混雑していると聞くが、そんな時期に貴重な動ける車両をこんなイベント列車に回して良いのだろうか・・・。そんな思いになってしまった。

車掌やアテンダントは愛想が良く、気持ちよく旅ができた。JR北海道の不祥事がこの頃からクローズアップされだしたが、この列車に乗っている上では、別世界の話のように思えた。天気は豪雨と晴れを繰り返していたが、列車出発後の函館方面は大変な豪雨となって、貨物列車の脱線事故まで起きる事になるとは・・・この時は知る由もなかった。

長万部駅から所謂、「山線」に入るが、かつての幹線は今やローカル列車が行き交うだけの閑散路線になってしまった。有珠山の噴火の際、この路線が千歳線に変わって迂回路として使用された事があるが、列車の交換設備を削減してしまったので、通常列車が運休したり、充分に機能を果たせなかった事があった。その為、目名駅には撤去した交換設備を復活させたが、その頃には千歳線が復旧し、この設備の使用有無についてはわからない。

11時29分着のニセコ駅では11分の小休止。ホームでは地元の物産の即売会も行われていて、ちょっとした買い物が出来た。ここから羊蹄山を眺めるのが山線の白眉である。特急「北海」の食堂車で、この景色を見ながら旅をしたかった・・・。羊蹄山だけではなく、原生林の中を行く車窓も素晴らしい。夜行列車で目が覚めて、この景色を旧型客車の窓から眺めた80年代の旅を思い出す。

12時39分の余市駅でも8分の停車時間に即売会があった。ちょっとした気分転換で、疲れる事なく旅が出来た。このまま札幌駅まで直通して欲しかったが、13時08分の小樽駅で旅が終わった。乗客は最後まで増える事が無かった。

列車の運転を知らせるリーフレット
函館駅を出発。駅前で見た路面電車(左)。特急「白鳥」と並んだ「ヌプリ」(右)
車内はゆるーい雰囲気。長万部のゆるキャラ「まんべくん」も出迎え
交換設備が復活した目名駅を通過してニセコへ。
車窓はこのような高原のような木々が目立つ。
今日の羊蹄山は頂上が雲に覆われていた。余市まで来ると、小樽まであと一息。
1990年のお盆に乗車した急行「ニセコ」


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