●士幌線

・2001年6月11日作成
・2003年6月14日修正
訪れた日 1986年8月13〜14日
 

帯広〜糠平〜十勝三股(78.3km)のローカル線で、乗車時は糠平−十勝三股間は休止していた。1987(昭和62)22に廃止された。

急行「狩勝」で帯広に着き、17時02分。十勝三股行きのローカル線に乗り込む。帯広を出た時は市街地もあったが、一歩離れるともう広大な畑と牧場・・・。起伏も無ければ景色を引きたたせる物体も無い。鉄道防風林がある一定の間隔で連なっているだけ。速度が遅いのでいくら先へ進んでも走っている気がしない。地平線の向こうには何があるのだろう。列車は私を何処へ連れていってくれるのだろう。不安に思う。

列車は糠平で終点だが、行き先は十勝三股行。糠平と十勝三股間は代行バスだ。代行といっても、臨時の代行ではなく、1978年(昭和53年)からずっと列車は走っていない。一日の利用客が6名という閑散区間を廃止ではなく手続きが簡単な休止としたのだ。鉄道ファンばかり5名乗せたバスは無人の山岳地帯に向けて走り出す。家はおろか燈火ひとつ見えない。とんでもない所に着てしまった。エゾマツやトドマツの森の中を進むと右側に視界が開けた。巨大なアーチ型の石橋が僅かに残照の残る闇の中にシルエットとなって現れた。士幌線の休止線だ。不気味で声も出ない。闇の中を進む事30分。19時30分頃、終点十勝三股到着。戸数2軒(運転手の家と老夫婦の家)・・・ゴーストタウン以外の何ものでもない。

乗客は皆、野宿となる。かつて栄えていた集落だったのだろうが、あまりに凋落ぶりが激しく泊まるのも不気味。それでも懐中電灯をたよりに廃屋の周りを歩き始める。各家は板が打ちつけられていて無残な姿を見せている。正直言って怖い。他の野宿している人達も誘ってみたが誰も来てくれなかった。幽霊でも出てきそう。一番大きな建物を廻り込んだ。草の中で何かに躓いた。「何だろう?」と懐中電灯を照らしてみると線路だった。貨物列車が入替を行っていた構内なのだろう・・・・。すると駅は? 盛り上がった土地を見つけた。ホーム跡? 「とかちみつまた」と書かれた駅名表示板を見つけた。


国鉄代行バスの文字
薄暗い車内は侘しい
糠平付近は山岳地帯
十勝三股の夜・・・・
駅は自然に回帰しつつあった
代行バス


http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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