●銚子電鉄

・2007年8月25日  作成
 
訪れた日  
2006年12月2日

銚子電鉄の起点である「銚子」はちょっと異様な雰囲気だった。「鉄」に混じって一般の人も電車の撮影に忙しい。乗車しない制服姿の女子高生がわざわざ銚子電鉄のホームにやってきて携帯のカメラを電車に向けていた。車内も賑やかだった。テレビ取材版も乗り込み、混雑している車内で我が物顔で取材中、カメラに映りこまないように席を移動した乗客達にお礼も無い。こういう傍若無人な振る舞いは許しがたい・・・・。しかし、この賑わい、まるで廃線間際のお祭り騒ぎだった。

銚子電鉄は何度も経営危機を乗り越えてきた。しかし今回は本当に危機のようだ。社長の不祥事、そして補助金も貰えなくなった。そして、車検代も払えない・・・。そこにきて、設備の老朽化からくる安全上の問題が発覚。国土交通省からの改善命令は営業停止にまで言及された厳しいものだった。とりあえず車検代を捻出しようと、副業の「濡れ煎餅」の販売に社員達が必死に取り組んだ。ネットに助けを求めた所、大反響。そして、テレビの取材が相次ぎ、大勢の人の目が銚子電鉄に向いた。

電車は醤油工場の裏手を抜けると畑の中を淡々と走る。畑の向うに犬吠埼灯台が見えると「犬吠」だ。ここには直販店があり、「濡れ煎餅」の売店の前には長蛇の列が出来ていた。ネットとテレビの影響力は本当に凄いものだと関心してしまう。犬吠埼を観光してからさらに一駅、終点「外川」に向かう。他の駅が、リゾート風に改造され(メンテナンスが不充分で、ボロボロになっているが・・・)ているのに対して、この駅は木造の古い駅舎を保存して、昔からの銚子電鉄の雰囲気が残されていた。

日没後、改めて「仲ノ町」の車庫で撮影、「観音」でこれも名物「銚子電鉄のタイヤキ」を購入、そして「外川」を訪れた。昼間の喧騒は消え去り、人も疎らな駅舎内は寂しいが、裸電球の灯火が暖かかった。やがて、時間になると、僅かな乗客を乗せた電車が駅員に見送られ出発していった。犬吠埼灯台の燈光が夜空に舞う中、テールランプが遠ざかり、やがて見えなくなった。

「濡れ煎餅」効果で、なんとか当面の危機は乗り越えた銚子電鉄だが、まだまだ予断を許さない。なんとかこの6.4qのミニ鉄道を残してゆけるよう、僅かではあるが力になりたい・・・。

銚子駅
犬吠駅
犬吠駅前
外川駅
観音駅とたい焼き(直営店)
テレビカメラの光線に浮かび上がった電車

(仲ノ町駅)

外川駅で電車を見送る

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)

back