●鹿島鉄道(1)

・2007年2月18日作成
訪れた日 2006年4月30日
 

石岡駅に着いて、古びた跨線橋を渡ると昭和中期にタイムスリップしてしまう。ホームの屋根は木製で、屋根瓦が重いのか歪んでいる。ホーム横の車両基地で入れ替えをしていた古典ディーゼルカーの中の1両が転線してきてホームに入って来た。これから乗車する鉾田行きである。昭和30年代(1950年代)に大流行した湘南型と言われる流線型スタイル、木製の床、軽いエンジンの音・・・・懐かしさを飛び越して驚きを感じた。途中駅も昔のままの渋い木造駅舎や、手書きの時刻表などが残り、残しているのか、取り残されたのか判らないが、ローカル鉄道を愛する者にとっては嬉しく、そして楽しい旅となった。

動く鉄道博物館とも言われる鹿島鉄道。勿論新しいレイルバスも走っているが、鉄道ファンにサービスするかのように古典ディーゼルカーも運用に就き、1936年(昭和11年)製の車齢70年の日本最古のディーゼルカーも常時運用に入っている。今、乗車しているのは加越能鉄道加越線の車両で1957年(昭和32年)製造のものである。鹿島鉄道訪問は、首都圏近郊であるにも関わらず今回が初めてである。廃止話が持ち上がったのがきっかけだった。

桃浦で海と間違える程広い霞ヶ浦に出合う。沿線では田植えの真最中で、霞ヶ浦の水が陸に溢れているようにも見える。霞ヶ浦の水際を走り玉造町に到着。ここから内陸へ進路をとり、区間によっては山間区間を思わせるような木々の中を走りる。屋敷の庭で立派な鯉のぼりが空を泳ぐ光景が何度も見えて、田植えの風景とともに、季節を感じられる光景が展開される。窓から入ってくる風は初夏のものだった。ノンビリした雰囲気に酔っていると、終点鉾田までの53分はあっという間だった。

鉾田駅は有人駅で、古びた駅舎内では蕎麦屋やタイヤキ屋もある。実に味のある駅で、駅窓口では硬券を売っている。昔の終着駅という雰囲気で活気もあった。バスターミナルも隣接しており街の交通の要所になっているようだ。

「カシテツを救え」地元の高校生が作成した幕が貼られている・・・・。鉄道ファンにも、地元にも愛されている鉄道会社であるが、自衛隊の百里基地への燃料輸送が廃止された結果、この時点でも廃線は免れない様子だった。帰り路は途中下車をしながらの移動となったが、全て古典車両ばかりに当たりラッキーだった。沿線の雰囲気も、車両も鉄道ファンにとって最高の鉄道であり、今まで訪れなかった事を後悔した。すっかり鹿島鉄道に魅せられた私は、この後、何度か訪れる事になる。

石岡駅で
霞ヶ浦と水田
巴川駅
終点鉾田
鉾田駅内部
玉造町で途中下車
常陸小川からはこの車両

横の車両は静態保存機



http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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