西武安比奈線

2012年 7月21日作成
訪れた日 2011年10月31日

朽ちた木製架線柱。錆びた線路、立ち入り禁止と書かれているが、住民による獣道が出来ていて、電車の代わりに人が線路を行く。どうみても廃線跡であるが、その割には線路も架線柱も残っているし、遠くから見たらローカル線の線路のように見えない事もない(枕木は朽ちて、鉄橋は廃墟化しているが・・・)。西武安比奈線。2012年現在、休止線である。

西武安比奈線の存在を知ったのは子供の頃に読んだ西武鉄道を特集したカラーブック(文庫版の小百科シリーズ)。その路線図に、見慣れない安比奈線の路線図があった。休止したのは1967年で、当時も営業していなかったが、廃線になっていなかった為、路線図に載ったのだろう。東京近郊の廃線跡として、注目を浴び、雑誌でもWebでも特集記事を多くみかけるようになった。

分岐駅である南大塚駅を出ると、安比奈線は左にカーブして次第に本線から遠ざかる。草に覆われてはいるが、草刈は行われている模様、線路もはっきり判り保存されているかのように見える。最初は線路に沿って車道を歩こうかと思ったが、人が入れるだけの幅で柵は開いているし、獣道を住民も歩いているので線路を歩いてゆく。小川が結構流れていて、葛川橋梁では比較的大きなガーター橋が残っている。近づきたかったが。地元の高校生ぐらいの女の子達が橋の上でたむろしていたので避けて先を進む。

住宅地が切れると、見渡す限りの田んぼの中を一直線に線路が貫く。ありし日の蒲原鉄道を眺めているような気がしてきた。やがて、森が近づいてきた。夕方で暗くなってきているのだが、鬱蒼とした森の中を行く線路は森林鉄道のようだ。森を抜けるとまた鉄橋がある。立ち入り禁止とあるが、どうみても最近になって歩道として整備した形跡があり、公園のような様相を呈してきた。後で知ったのだが、NHKの朝の連ドラの舞台として使ったとか、そして「幻の貨物線、安比奈線跡を歩く」という企画が2006年に西武鉄道の企画で行われたとか。

ここまで順調に来たが、目前を県道114号線、八瀬大橋の橋脚が邪魔をする。橋の下を歩いたが、どうも生活感がある。ここには住民がいるようだ(住民は間もなく帰宅されていたようで、帰りはここを大きく迂回しなければならなかった)。橋脚を抜けると広大な荒地が広がる。バイクの練習場となっているようで、砂煙をあげてオフロードバイクが走りまくる。線路跡もここまでかと思ったが、朽ちた架線柱を発見。雰囲気的に広大なヤードがあった事が想像できる。ここは入間川の河川敷の筈だが、茂った草木で川面を拝む事は出来なかった。西武安比奈線はこの入間川で採れる川砂利を輸送する為に使われた貨物線だった。ありし日はここは貨物ヤードだったのだろう。


南大塚駅の裏から線路は続く。正確に言うとレイルは本線とは繋がっていない。
路地裏を線路はゆく。線路跡は単線の生活道路と化している。人がすれ違う時は脇にそれなければならないのが滑稽だった。
線路跡でピクニック気分?
橋梁も残っている
駅から遠ざかると景色が開ける。
線路は雑木林の中に吸い込まれる。
鉄橋も線路跡も妙に綺麗。立ち入り禁止といわれながら、両側の柵は侵入禁止というより、落下防止に思える。
川原に広がる貨物ヤード跡。複線用の架線柱が立ち並び、かつて、ここで貨物の入れ替えや、積み込みが行われていた事を彷彿させる。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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